太田述正コラム#9079(2017.5.7)
<二つのドイツ(その1)>(2017.8.21公開)
1 始めに
 ジェームズ・ホーズ(James Hawes)の『ドイツ最短史(The Shortest History of Germany)』のさわりをその書評類をもとにご紹介し、私のコメントを付します。
A:https://www.theguardian.com/books/2017/apr/24/the-shortest-history-of-germany-review-james-hawes-mystery-heart-of-europe
(4月26日アクセス)
B:http://www.theoldie.co.uk/article/the-shortest-history-of-germany-by-james-hawes
(5月3日アクセス(以下同じ))
C:https://www.spectator.co.uk/2017/04/europes-best-hope/#
 なお、ホーズ(1960年~)は、オックスフォード大卒(独語)、ロンドン大ユニヴァーシティ・カレッジで博士課程に一時在籍してニーチェとカフカを研究。スワンシー大等でドイツ語講師を歴任、現在、オックスフォード・ブルックス大創造的作文科最上級講師(reader)。小説家でもある。イギリス人。
https://en.wikipedia.org/wiki/James_Hawes_(author) 及び(C)
2 二つのドイツ
 (1)総論
 「著者の、広範囲に及ぶ、自信作のこの歴史書は、テュートン騎士団(Teutonic knights)、ユンカー達(Junkers)、プロイセンの軍国主義者達(Prussian militarists)、そして、ナチの帝国主義者達が、みんな、エルベ河以遠の地においてスラヴ人達を覆う帝国を樹立しようと決意したことに伴って、どのようにドイツの東と西への分断(division)が深まったか、を示している。」(A)
 「ワインとビールの境界線(wine-beer line)<(注1)>は、欧州の帝国<たるEU>の首都のブリュッセルに新たに到着した観察者達を歓迎する、旧き政治的鋸(のこぎり)だ。
 (注1)ワインの帯(地域)、ビールの帯(地域)、蒸留酒の帯(地域)、からなる、欧州のアルコールの帯(Alcohol belts of Europe)
https://en.wikipedia.org/wiki/Alcohol_belts_of_Europe
における、ワインの帯とビールの帯の境界線。
 欧州大陸を横切っている、この想像上の地殻的(tectonic)断層は、ワイン飲みの南部を、可愛く、感情的で、しかし、基本的に(essentially)腐敗し統治不能、と特徴付けている。
 対照的に、ビール飲みの北部の諸地は、仏頂面(hard-faced)で、一般に魅力的でなく、しかし、概ね効率的で、民主主義と良い政府について、リップサービスを超えるものと考えている、と見られている。
 あらゆる良い決まり文句群同様、それは、そのことに関する真実の一要素を持っている。・・・
 「地理は運命なり」、は、ヘロドトス(Herpdptus)の言明(dictum)であるところ、ホーズのテーゼは、ドイツの西部と南部のかなり多くの不幸は不寛容なプロイセン人達とのその諸繋がりに直接的に起因する、というものだ。
 ホーズは、二つのドイツ群が存在する、と主張する。
 西部のドイツ・・それは、基本的に我々<イギリス人達>的だ・・、と、エルベ河の東のドイツ・・そこでは、プロイセン人達、ザクセン人達、そして、ブランデンブルク人達、が住んでいる。
 これらの東部諸領邦(Lander)には、我慢のならない、天辺が尖ったヘルメットを被った(pointy-helmeted)、面白くも何ともない、踵をカツカツと鳴らす、ユダヤ人嫌い、すなわち、野蛮人達の直系の子孫達、が生息していた。
 その表紙が「午後に読み、生涯記憶せよ」と自慢しているところの、このドイツ史の本は、いかに、「悪い」ドイツ人達が、良い連中を虐めて地獄のような目に遭わせたか、についての物語なのだ。」(B)
(続く)