ソ連脅威論は冷戦時代の大嘘でした

第208回:2007年11月04日 放送 視聴率:14.7%
司会: やしきたかじん、辛坊治郎
パネラー:三宅久之、志方俊之、勝谷誠彦、宮崎哲弥、橋下徹、桂ざこば、安藤和津、上地雄輔
ゲスト:太田述正(元防衛庁審議官

たかじんのそこまで言って委員会まとめ

防衛白書の行間を読め

辛坊 じゃあ参りましょうか。先週の放送は、実は、大いなる予兆、「オーメン」だったのか?

 <VTRスタート>

ナレーション(男) 先週、当委員会で・・・。

太田(VTR) あの、日本をその・・・。大体そういうその・・・。こんな感じでね、テレビに・・・。(会場 笑い)

ナレーション(男) 元防衛庁審議官、太田述正氏。東京大学法学部卒業後、1971年に当時の防衛庁に入庁。98年に官房審議官となり、その後防衛庁を自ら退職。事なかれ主義がはびこる防衛庁を告発する、『防衛庁再生宣言』を出版。2001年の参院選に、民主党比例代表から出馬するも落選。先週、そんな太田氏をゲストに迎えて取り上げたテーマは、ズバリ「防衛省の闇」。「防衛省のドン」と呼ばれていた守屋武昌前事務次官の、200回にも及ぶ過剰なゴルフ接待。インド洋で給油されている燃料の転用疑惑などを受け、防衛省の抱える様々な問題点について考えるはずでしたが、前半のスタジオトークが守屋氏と山田洋行の癒着に終始したことについて、太田氏は・・・。

太田(VTR) まるで皆さん、論点がずれてらっしゃる。皆さんが仰っておられることは、防衛省のお話に限ったことじゃなくてね、全省庁共通の話なんですよ。何でそこで防衛省の随契とか仰るんですか、全省庁が同じことをやっているじゃないですか。

ナレーション(男) 我々の血税から捻出されている、多額の防衛費に関して議論が及ぶと・・・。

太田(VTR) 5兆円弱の防衛費全部、本来の目的に使うなと言って、国民の皆さんが渡しているわけよ?防衛省に。だってその、「軍隊として絶対使うな」って、自衛官に対して「絶対死ぬな」って言っているわけ。だから、要するにその、「目的外使用を全部していいよ」って言って・・・。(時折笑いつつの発言)

ナレーション(男) あまりにもシニカルなコメントの数々に、さすがの委員会メンバーも・・・。

宮崎(VTR) ああ、この人頭良いわ。その通りだ。

原口(VTR) だけど頭良すぎて一般には分かりにくいから。

宮崎(VTR) これは誤解されるわ~。

ナレーション(男) そして、いつも以上に収録時間を費やしたにも関わらず・・・。

たかじん(VTR) 太田さん、多分、おしゃべりしたいことの中の、まだ十分の一も言っていないという・・・。

太田(VTR) 五十分の一ですね。(エコーがかかる。会場 笑い)

ナレーション(男) そこで、先週喋れなかった五十分の四十九をお話し頂くため、当委員会は再び、あの太田氏に出演を要請。本日、再登場して頂くことになった。(会場 笑いと拍手)

ナレーション(女) そして今週、国会では守屋前事務次官の証人喚問が行われ・・・。

守屋(VTR) まあ、利害関係者とゴルフをやるっていうのは、私としましては、たいへん不適切な行為だったと・・・。

ナレーション(女) 山田洋行の元専務、宮崎元信氏から頻繁に接待を受けていたことを認めたが、接待の見返りに政治調達に便宜を図ったかどうかについては・・・。

守屋(VTR) 一切ございません。

ナレーション(女) と、否定。宴会で政治家が同席したことに関しては事実を認め、その中に大臣経験者がいたことも明らかにしたが、政治家の名前を口にすることはなく、今後スキャンダルは永田町に飛び火し、「平成のロッキード事件」とも言える一大疑獄事件に発展する可能性が出てきたが、その後、宮崎元専務から飲食接待を受けていたことが明らかになっている、自民党の久間元防衛大臣が、突然、解離性大動脈瘤の手術のため入院。そして今週、あの小沢一郎氏が動いた。

ナレーション(男) 安倍前総理との党首会談を頑なに断っていた民主党の小沢代表が、福田総理との党首会談に応じたのだ。二回にわたる会談で、福田総理は何と、連立政権への参加を打診。小沢氏は「党内で協議する」として持ち帰ったが、その日の夜、民主党は拒否することを決めた。

ナレーション(女) そんな中、太田述正氏は自身のブログの中で・・・。

ナレーション(男) 「守屋喚問は、私が予想したように自民党と民主党の裏取引が行われた模様であり、守屋の倫理規定違反だけで決着させるというシナリオの下での、上辺だけの質疑で終わりました。」

*コラム#2153「防衛省不祥事報道に思う(続x9)」の記述。下も同じ。

ナレーション(女) と述べ、さらに太田氏は、「最大の問題は接待などではなく、山田洋行への天下りであるにもかかわらず、民主党議員は、小沢氏が山田洋行から貰っていた政治資金の疑惑を自民党からちらつかされ、萎縮し、天下り問題を追及できなかったのでは?」と、疑問を呈している。

ナレーション(男) 今、防衛省で一体何が起こっているのか?自民党と民主党の間で、どんな取引が交わされているのか?全てを知り尽くした男が、今週こそ、その思いの丈をぶちまける!

太田(VTR) ふぉっふぉっふぉ。(会場 笑い)

ナレーション(女) そこで皆さんに質問です。守屋氏の証人喚問を見て、あなたが感じたことを、ぶちまけて下さい。

 <VTR終了。それぞれのパネルに表示される>

たかじん まあ、この番組も(放送)4年を超えまして5年目に入っているんですが、同じゲストの方が二週続けて来るというような、異常な状態は初めてでございます。

宮崎 なんて言うかな、議論自体を馬鹿にしたような「ふっふっふ」っていうの、なかなか良いですね。(会場 笑い)他にはちょっと見られない光景ですよね。

たかじん 今日も十二分に皆さんに見て頂こうと思っております。(会場 笑い)

勝谷 僕のところにもお叱りのメールがいっぱい来てね、「どうしてあの場に勝谷が居ないんだ!」というメールが来て。

たかじん あ、そうか(先週、勝谷が居なかったことを思い出した)。

勝谷 だから今日は(太田に)お目にかかれて非常に光栄ですね。迷彩服着て来ましたよ、わざわざ。(会場 笑い)

ざこば 出にくいやん。(笑いつつの発言。会場 笑い)

辛坊 太田さんの話はですね、この後、本人お出で頂きますから、まずは守屋さんの喚問の方から、一つ・・・。

たかじん まずてっちゃん(宮崎哲弥の愛称)から行こうか。「よくあれだけの嘘をついたもんだ」(パネルの文言)と。

宮崎 うん。これはね、まさに東京新聞で太田さんがおっしゃってましたけど、「まあよく嘘をつかれたなあ」と。例えばその、「山田洋行とGE(ゼネラル・エレクトロニック社)の関係なんていうのは、代理店契約していたっていうのは知らなかった」と。知らないわけないわけですよ。しかもそれはどういう文脈で出てきたかというとGEの幹部と、山田洋行の専務と自分が同席した一つの宴を同じくしたと。宴会を開催したというような話の中で、「じゃあ、あなた知っていたのか?」と聞かれたわけ。そしたら例の三~四人の弁護士と話し合った末に、「その関係は知らなかった」と。つまり、何て言うのか、法的に問題がありそうな箇所っていうのは全部、「知らない」と。知らぬ存ぜぬで通したと。で、これは太田さんもおっしゃっているけれど、例えば「天下りに対する斡旋なんていうのは一切していない」と。官房長であってそんなことを知らないわけはない。他の省庁だって認めているわけですよ、それに関しては。それを「知らなかった」なんてことを言うってのは、もう大嘘つきだと。嘘ばかり言っていると。まあ、少なくとも私が・・・つぶさに精査したわけでは(ないけど)、ざっと見た中でも、偽証の可能性がある所が八か所ありましたから、そういう意味では、まあ「色々なボロをお出しになったなあ」という感じがしますね。

*太田はコラム#2154「守屋喚問とマスコミ」にて、この東京新聞の「間違いだらけ」のインタビュー記事を批判している。

たかじん うん。橋下君はそれ、「上手い!」(パネルの文言)ってのはどういうこと?

橋下 まあちょっと皮肉も込めてなんですけれども、要は守屋さんの方は完全に収賄容疑を否定しにかかって、収賄さえ成立しなければ、どれっだけ世間から批判を受けようが、もう倫理規定違反というものは全部それは受けた上で、「収賄だけは否定しよう」と思ってですね、要は、収賄っていうのは自分の職務に結び付くようなお金を受け取ると収賄になるんですけれども、これ結局は幅広~く長期に渡って、いっぱいいっぱいお金を受け取ると、収賄になりにくくなるんですよ。ですからこれ200回っていう風に、もう自ら(証言した)。最初は100回か何かって言われていたのを・・・

たかじん そう、こっち側は120回とか言うてんのに、向こうから「200回以上や」っていう風に・・・。

橋下 そうです。あれは長期に渡って、ず~っと定期的に貰ってたんで、「今回の山田洋行の問題とは関連性がないんですよ」というところを持って行ったわけなんですよね。で、さっきの「山田洋行がGEの代理店ではない」っていう、あそこを否定したのは、ちょっと失敗だったと思うんです。

宮崎 もう一か所ね、「随意契約っていうのは自分は示唆したことはない」と言っているわけ。でもすでに防衛省の幹部が、多数の新聞メディアに対して「随意契約を示唆された」と言っているわけですよ。明らかに矛盾はあるでしょう?これ捜査機関がちゃんと証言取ってきたら、やっぱり議院証言法違反の可能性が出てきますよ。

橋下 ただあそこも上手いこと誤魔化しているのは、「「随意契約にしろ」とは言っていない」と。だから一般競争入札、自分の認識違いでね、「一般競争入札と随意契約が並行して出来ていると思った」って・・・

宮崎 「外務省の指示を知らなかった」という風な言い方をしていますよね。でもそれが通用するかどうか・・・。

橋下 だから、かえって山田洋行が代理店じゃなかったっていうことを知らなかったっていうのは、これは周りがね、検察が捜査を固めていったらこれは通用しないと思うんですよ。あの立場で、山田洋行が代理店なんていうのを知らないって有り得ない。

宮崎 有り得ないですよね。

橋下 そこは(追及に)使われてしまうのかなって思うんですけど、ただ、まあ~、よくもまあ、200回なのか300回なのか分かんないですけど、たくさんお金を薄~く広~く貰っていればね、収賄にならないというような戦略で出たんでしょうねえ。

たかじん さあ、防衛庁大OBとしての志方さん。

志方 「やっちゃおれない!」(パネルの文言)

たかじん 「やっちゃおれない!」

志方 やっぱりね、防衛省って言ったって、自衛隊は25万の隊員から成り立っていますよね。それで、防衛庁長官っていうのは短い期間、何人も通り過ぎて行くわけですね。ですから、事務次官っていうのは本当の意味での防衛庁・防衛省のトップですよね。その人は、まあ、自衛隊にも色々小さい事案はいっぱいありますけどね、それでもね、それに対していっつも綱紀粛正を言っていた人が、こんな状態であればね、もうインド洋でこの熱い中でやっている人達はね、「やっちゃおれない!」と、これが本音だと思います。これはね、だからやっぱり許してはならんと思いますね。

宮崎 志方さん、事務次官になるような人が、20万ガロンという燃料の量というのが分からないということが有り得ますか?

志方 これはね、私は例えば、航伯日誌が無くなっているとかね、それから現地から来たデータが本部の方で間違っていると、こういうことは通常は有り得ませんね。航伯日誌っていうのは船乗りの命ですから。そんなものが無くなるはずがない。それから、どの船がどの船にやったっちゅうことは一番重要な情報ですから。

勝谷 そうです。本来任務ですからね。

志方 うん、そんなものを打ち間違えるということはない。そんな海上自衛隊なら辞めてもらいたいね。だからそういうことはないということですよ。そういう意味でも、「やっちゃおれない!」ですよ。

上地 政治家だからいけないんですか?奢ってもらっちゃったから。

宮崎 政治家じゃないんだよ。

橋下 公務員。国家公務員だから問題なんですよ。

辛坊 民間企業もダメなものはダメなんですよ。法律に違反してないだけで、じゃ、私がどこかのプロダクションの方に「うちのタレントさん・・・」どうのって言われて飲み食いなんてことで、私は絶対そういうことはしませんから。

宮崎 でもやっている人いっぱいいますよね。

辛坊 そうね。(会場 笑い)

上地 高校のときマック奢ってもらって、ボクの女友達紹介したんですよ。それと一緒でしょ?(会場 笑い)

たかじん だから俺言うたやろ。黙っとれ言うとるやろ!(会場 笑い)

安藤 あなたの少ないギャラから取られた税金を、こういうおっさんたちが飲み食いするものに使ったりしたら、腹立たない?

上地 まあ、みんな大人の人はやってんじゃないかな~。

安藤 こういう若者が増えるから世の中・・・

宮崎 でもね、若い子の感覚ってこういう感じなんだよ。

安藤 そうなの~?

三宅 あのね、「やまじ」君ね、せっかく褒めたんだからね・・・

上地 いやいや、「上地」です。(会場 笑い)三文字中一文字しか会っていないんですけど!(笑いつつの発言)

たかじん 一文字しか合うてへんやん!

三宅 あの、上地君。少し黙ってた方が良いんじゃないかな。(会場 笑い)

辛坊 ということでですね、いよいよ登場して頂くわけですが、その登場の前にですね、出てきたら一体どんな質問をぶつけたいかというのをね、もうすでに聞いておりますので先にそっちを見て行きたいとおもいます。一斉にドン!(それぞれのパネルに表示される)はい、まもなく登場の太田さんに何を聞きたいか、ということでございます。

宮崎 官僚制一般の話にすると太田さんの思う壺のような気もするので、やっぱりカギになるのはあなた(橋下)が(パネルに)書いたことと、まあ私が書いたことと、ちょっと三宅先生の(パネル)は見えないからちょっとまだ・・・

橋下 三宅先生は「聞くことない」って書いてある。(会場 笑い)

三宅 私はね、週刊文春の11月1日号にね、「守屋氏と同期入庁の元防衛審議官、評論家の太田述正によれば、「当時の防衛庁は、大きな声では言えないが三流官庁で、敢えて防衛庁を選ぶ人間は、あぶれ者か、成り上がってやろうというばくち打ち」」、こういう風に書いてある。(太田自身も、)その通り(の人間)なんでしょう。(会場 笑い)

*コラム#2150「防衛省不祥事報道に思う(続x7)」に転載されている実際の記述によると、「昭和46年入庁組は守屋氏を合わせて八名。守屋氏と同期入超の元防衛審議官で評論家の太田述正氏によれば、「大きな声ではいえないが、三流官庁で、あえて防衛庁を選ぶ人間は、あぶれ者か、成り上がってやろうというバクチ打ち」という雰囲気だったという。」と、三宅の言とはややニュアンスが異なる。

辛坊 三宅さん、三宅さん。一応これから(ゲストとして登場しますので、今はもうちょっと抑えて)・・・。(会場 笑い)

宮崎 とはいえさ、聞きたいことっていうのは、先週もちょっと示唆されたように、「民主党側の防衛利権の問題っていうのもある」っておっしゃったわけですよ。

辛坊 さ!そんへんも含めて、じゃあ聞きましょう!ご登場いただきます。二週連続の登場という、当委員会初の快挙でございます!元防衛庁審議官、太田述正さ~ん!(会場 拍手。太田 登場)

辛坊 (前回出演による)反響、大きかったですか?

太田 う~ん、そうですね。私のブログとか、いろいろ掲示板も沢山あるんだけれども、結構そういうところでは・・・

辛坊 ということは、あのHPのアクセスがドーンと増えた?

太田 そうですね。もともと大してアクセスはなかったんだけども、それに比べると増えた。

辛坊 増えました。ということはあれ、有料のブログだからガッツーンと・・・。

太田 いやいやいや、有料なんてホントの一部ですよ。もともと無料に全部するつもりなんだけども、まあやはりその、そうも言ってられないんでね・・・。

勝谷 でもあそこに書いてあったのはその通りですよ。僕も有料でやってますけど、「情報はタダだと思うな」ってその通りだから、有料化は良いと思いますよ。

*コラム#2149「大阪とんぼ帰り紀行(その1)」の記述か。「・・・一人の女性記者<から、>私の直近の非公開コラムをFAXででも送ってくれないか、と言われたこと<があった>。・・・一期限定で有料会員になれば・・・バックナンバーをすべて差し上げると謳っている<にも関わらず>。日本では記者の皆さんまで情報はタダだと思っているのでしょうかね。」

辛坊 さ、色々聞いて行くわけでありますが、じゃあさっき言うてた民主党の話、行ってみます?

橋下 前回も、「接待なんかよりも天下りの方が問題だ」と言われるのはホントに「それはそうだな」と思うんですよ。金額からして、ま、接待のお金といえば、行っても二十年間で一億も行かないでしょうけど、天下りになればもう、ホントに数年で一億以上の給料になると思うんです。で、僕は民主党の問題が、宮崎さんにも教えてもらったんですけれども、東祥三さんですか、ずっと小沢さんに付いてきた人が・・・

宮崎 小沢さんの防衛政策の核の部分を作った人が、東祥三さん。

橋下 で、それが山田洋行の方の顧問になって。だからこれ、自民党だけじゃなくて、そうなると民主党、小沢さんも含めて、そういう利権というものは相当持ってた訳なんですか?天下りだけじゃなくて、その他の天下り以外の何か利権というものもあるんですか?

太田 いやそれもう出てくるんじゃないですか?ちらほらと。なんか「お車代もらった」とか、それから政治資金の話ももちろん出てますよね。いろんな形で防衛関係の費用から政治家にお金がキックバックされていると言いますか・・・。

橋下 その、「民主党側の方の議員に」っていうことですか?

太田 いや、この前もちょっと私が言いましたように、基本的に自民党か自民党系。自民党系っていうのは、要するに元自民党の議員の方に限ると、ほぼ、言ってもいいと思います。

橋下 ああ、民主党の中の、ああそうかそうか。

宮崎 いや、その時に私が、「「自民党系」というのは、今民主党の中にいらっしゃる方々も居るわけですね?」と言ったら、原口さんが「そんな余計なツッコミは入れなくてよろしい」と言ったんだよ。

橋下 で、結局その防衛関連の装備なんかを調達する業者の方からのキックバック、それは政治献金って形をとるんでしょうけれども・・・。

太田 ええ。で、話題の中でも出ているように、ああいう元政治家の天下りっていう形でのキックバックもあることが明らかにされた訳ですよね。

橋下 でもうこれで小沢さんがその辺を、まあ、自民党の方からどういう形で言われたかは分かんないですけれども、そこで小沢さんの方が及び腰になってしまったというのが、太田さんの考え方なんですよね?

太田 ええ。私はそういう風に見てますけどね。

宮崎 それは何かと言うと、当然、例えばですよ?山田洋行と小沢さんの関係。これは単に600万円の政治献金というだけではなくて、実は金丸時代から、山田洋行というのはもともとその派閥、つまり経世会の利権の中心の一つだった訳ですよ。そういうことを考えると、何かこう、山田洋行と小沢さんの間にもっと深い関係があるのではないか、そこを実は自民党が掴んでるのではないかというような噂が出ている。

勝谷 どこも書いてないけど、小沢さんと自衛隊の繋がりっていうのは深くてですね、実は、これは僕は立派なことだと思うんだけども、小沢さんの息子さんは、江田島出てますよね。要するに、幹部自衛官、幹部候補生です、海上自衛隊の。自分の息子をそこに入れるっていうのはなかなか決心は出来ない。これは僕は、よくアメリカの上院議員が「自分の息子はイラクへ送らない」って話題になっているから悪いことじゃないと思うけれども、そこに何らかの思惑や利権はなかったのか、ということも考えられる。

たかじん それを太田さん、どうお考えですか?

太田 うん。あの、何で自民党あるいは自民党に居た方々はいろんな噂が出るかと言いますと、当然、権力側におられたわけですから、そういう議員から口利きがあればですね、役所もそれなりの対応をしなきゃいけないということになる訳ですよね。対応しなければ、それで昇任もストップということになりますから、どうしても言うことを聞かざるを得ないということになりますよね。で、一旦言うことを聞いちゃうと、もう、それがそれよりも下がることはなくて、次同じような話があったら、それと同じかあるいはそれ以上のことをやらなきゃならないってんで、どんどんエスカレートしていく訳です。で、じゃあ自民党を去った議員は権力から去った訳だから、どうしてそんな人が口を利くし、またそういう人たちが口を利いた場合に役所が言うことを聞くかというと、それはからくりを全部ご存知な訳ですね。ですから今度断ったら、議員側が「ばらしちゃうぞ」と言う可能性がある訳ですから、やはり言うことを聞かざるを得ないということになる訳です。ですから純粋に、純粋っていうのも変な形だけれど、民主党の議員とかあと野党の、その他にも野党はありますけれども、議員の方が口利きをしないかというと、当然そんなもの、口を利いて来られてもですね、役所が相手をしない。で、そういうことを知っているから誰も頼まないという、そういうことなんですね。実に単純明快。

橋下 太田さん、装備が大体1兆7000億ぐらいの予算があって、当然普通に考えれば、商品を納入する業者、1兆7000億のお金を受け取る側の業者の方が、何らかの形で政治家にキックバック出したり、天下りを受けたりというのは何となく分かるんですが、その他に、もっと防衛省絡みでの何か利権というのは、装備以外にも何かあるんですか?

太田 防衛関係企業とか産業って言うと、ハードのですね、飛行機とか戦車とかいうのをイメージされる方が多いんですけれども、だけど二十数万の職員が居る訳ですから、ありとあらゆる業者の方々が関わっておられる訳ですね。寝泊まりしている隊員だと、ご飯も食べなきゃいけないし、そういった糧食の調達とかね、着る制服とか何かの話もありますしね。それから銀行とか保健とか、みんな絡んでくる訳ですよ。

橋下 で、みんなそこに、調べて行けば天下りが入っている可能性もある・・・

太田 ええ。入ってないところは少ないでしょうね。

橋下 あ、「入ってないところの方が少ない」と。

太田 ええ、もちろん小さいところは別にしてね、主だったところには必ずOBが入ってますよ。

勝谷 今おっしゃったように、衣食住全部、利権に繋がるわけ。戦車や飛行機だけじゃなくて。意外と知られていないのが、すごく大きな土木工事をするんですよ、自衛隊っていうのは。今、沖縄の問題っていうのはどっちかっていうとそれなんです。だから土建利権も、全部それ、防衛土建利権があるわけですよ。

宮崎 もちろんそうですよ。

勝谷 それで聞きたいんですけれども、太田さんは最後に仙台の防衛施設局長をなさってましたよね。これはそういう、ものを作ったり何かするという方向(の部署)なんですけれども、その時に、政治家から働きかけとか、「この業者使ってやってくれ」とか、そういう話とか圧力ってなかったですか?

太田 (失笑しつつ)ってかその、私が、まあ笑っちゃいけないんだったな。(会場 笑い)

橋下 今日なんか笑いが少ないですよね。(笑いつつの発言。会場 笑い)

太田 随分攻撃されたんで、一生懸命堪えていたんですよ。(会場 笑い)うん、いや、仙台に居た時に一番、何と言いますかね、そういう生々しい話というか、に接したと申し上げていいと思いますね。(勝谷 感嘆の声を上げる)接したっていうのは、別に私がどうこうしたという事では必ずしも無くてね、むしろそういう話が、もうシステマティックに、整斉と、事務的に流れていると。だから局長の私の所になんか、基本的にそんな話上がってこないんですよね。

勝谷 そこもっと聞きたい。具体的に、例えば「こういう滑走路を作る」とか、「こういう港湾を作る」とか、そういう場合、「こういう業者を使ってやれ」みたいな話が来る訳ですか?

太田 まあね、単純に言えばそうですね。

勝谷 あ~。

辛坊 あの~、太田さんの頭の中にですね、今の話をされているときに、具体的な政治家の名前や顔というのが、何人かこう「わ~」っと浮かんだりするのか、それとももう全然、「みんながやっている」っていう、「自民党ならみんなやっている」っていう話なのか、そのあたりはどうなんですか?

太田 実は土木建設業関係のそういう口利きっていうのは、非常にやりにくい時代になってたんですね、私が仙台にいたときも。ご存知のように、21世紀直前の時代ですけれども。もう談合の話が随分話題になって、かなり落札率も下がって来たという時代なんですね。したがって、自民党ないし自民党系って言いましたけれども、防衛省と関係のないような議員の方から、そういう方面で口利きっていうのはなかったんですよね。だから、かつて防衛省におられた議員の方と言いますと、防衛庁長官された方とかね、あるいは政務次官された方とかね、そういうところから話が来る。

辛坊 具体的に言うとどういう人ですか。

太田 いやまあ、そこは止めておきますよ。(会場 笑い)

辛坊 太田さんの頭の中には、具体的な名前がパッパッパッと何人か浮かんでいるということですな?

太田 まあそうですね。

辛坊 「まあそうですね」。(会場 笑い)太田さん、言いましょう!

太田 う~ん、いや、そこはね、やはり・・・(会場 笑い)

辛坊 え?何が?太田さん、何か困ることがあるんですか?

太田 いやいや、名誉棄損で訴えられたときにね、果たして勝てるか・・・

辛坊 いや、嘘なら名誉棄損で訴えられるけど、これは公共にまつわることで、なおかつ事実なら絶対負けないですよね、橋下さん?

橋下 僕に聞かないで下さい。(笑いつつの発言)

太田 いや、事実だって言ったってね、やっぱり資料ではっきり残っているとかね、そういうことがなければ駄目な訳ですよね。そこまで私、そもそも本来、局長なんかのところに上がってくるような話じゃないのを、私がたまたま関心があって色々聞いたっていう・・・

辛坊 ああ、なるほど。じゃあ具体的には名前は聞きませんけども、その、今頭に入っている何人かの政治家の人というのは、現在、現役でも割とバリバリやっているような人たちが居ます?

太田 まあ、バリバリやっている方が、そういう方面でも活躍をされているという・・・。(会場 笑い)

上地 聞きて~。

 <CM挿入>

太田 自民党系の先生でも、防衛省と関係ない、全くなかった方からは、ほとんどなかった・・・。

志方 今回の船の問題、データの入れ間違えとかね、日誌がなくなったこととか、それからああいいう次官の不適切な行為とかね、こういうのが出たときに、文民統制というかシビリアンコントロールの危機だって言いますよね。だけど、シビリアンコントロールという言葉は日本だけの造語でね、アメリカではポリティカルリーダーシップって言ってる訳ですね。政治が軍事に優先すると。(宮崎と勝谷 同意する)日本では背広を着ている人が自衛隊員、制服を着ている人達をコントロールするというように誤解されちゃって、それが取りざたされる事があるんですけれども、太田さんはホントに人も羨むような文官としてのキャリアをずっと行かれて、そういう感覚を持たれました?「あいつらは自衛官で、俺たちは文民だから、文民が自衛官を統制するんだ」と、そんなことはなかったんではないですか?どっちですか?

太田 いやあ、そういうご発言を聞くと、大変その、残念ですね。私の本を読んで頂いてないということですよね。

三宅 うん、読んでません。売ってないよそんなもの、どこに行ったって。(会場 笑い)

太田 売ってますよ、申し訳ないけども。(おそらく、怒りを堪えつつの発言)

志方 いや、「自衛官のあるべき姿」なんて書かれてますよね。

*『防衛庁再生宣言』第三章「あるべき自衛官像とは何か」(95頁~)のことだと思われる。

太田 あ、読まれたんですか?じゃそこに書いてあったでしょ、シビリアンコントロールっていう言葉は日本だけでしか存在しないってこと。

*同著第六章「消えゆく「シビリアンコントロール」概念」(151頁~)参照。

志方 いや、だから(その話題を振るために敢えて)質問したんですよ?

太田 いやですから、そんなものもちろん、政治優先っていうことですよ。シビリアンコントロールって言葉を極力使わないようにしないと駄目なんですよね。

志方 先生は、政治学でやっておられる(コラムでの政治評論(?)のことか?)訳ですから、政治が官僚をコントロールしなければ、その官僚が自衛隊をコントロールは出来ませんよね。今回のこともですね、ずっと四年半もああいう状態があったのに、政治が何にもしてないじゃありませんか。そういうところに私は問題があるのであって、シビリアンコントロールというのが文民統制という言葉になってるからおかしいんですね。やっぱり政治優先。そして政治が官僚をピシッと押さえると。しかし悲しいかな、日本には、官僚が全部情報を持っててね、政治家の方には政策決定能力がほとんどないわけですよ。情報がなければ政策を作れませんからね。そういうことで、だんだんだんだん、官僚漬けになるんですよ。で、官僚は接待漬けになるという・・・。

三宅 私はあなたの話を聞いていちばん不愉快だと思ったのは、あなたは「防衛庁なんて三流官庁だ」と、「山師か一丁成り上がりかヤクザみたいなやつがなるんだ」ということを平気で週刊誌に語るようにね、あなた自身に防衛庁に入って何をやろうと思ったのか、志がないじゃないか!要するに「五兆円近い予算をもらっても、それは「何を使うな」ってやらせるのが悪いことに使って悪くない」ってなことをあなた言ったけども(前回出演時の、「だってね、5兆円弱の防衛費全部、本来の目的に使うなと言って、国民の皆さんが渡しているわけよ?防衛省に。だってその、「軍隊として絶対使うな」って、自衛官に対して「絶対死ぬな」って言っているわけ。だから、要するにその、「目的外使用を全部していいよ」って言って、国民の皆さんが防衛省にお金を渡しているんです。」という発言のことと思われる)、その中にあってだね、国を守るためにどうしたらいいかということを考えるのが、防衛庁の役人じゃないか!

太田 よくおっしゃって頂きました。

三宅 ええ?あなたに褒められても困るよ。(会場 笑い)

太田 私が(防衛庁)に入ってから、(スタンフォード大学)留学から帰ってからも、その頃から、どうして、なかなか自衛官の方は在職中はもちろんOBになってからも発言しにくいという部分が有りますからね、そこは内局キャリアが、まさに国民に向けて発信してかなきゃいけない訳です。でもそれを、OBになってすらおやりにならない方がほとんどだったので、私は在職中にPNでいろんなところに書きましたよ?「こうしなきゃいけない」とか、「ああしなきゃいけない」とか。で、何となく圧力めいたものがかかって来て、結局止めちゃったんだけれども、だけどそういう志があったからこそ私は、もちろん当時から「絶対天下りはしない」という風に決意を決めてたし、だから時期を待って、たまたま選挙に出るというお話も持ち上がったもんだから、「ここが時期だ」と思って飛び出て、本(『防衛庁再生宣言』)も出してですね、訴えてきたけれども、申し訳ないけれども、マスコミの方々も含めて、ほとんど注目しなかったと。六年半経って、ようやくこういう機会が与えられたという、まあ非常に残念に思っていますけどね。

勝谷 そのね、太田さんが入庁したころの志っていうかね、思い描いている日本の国防の姿というのはね、「こういう日本の軍隊の形でなきゃいけない」というのはどういう像なんですか?

太田 う~ん、いやあ、ちょっとその話に入るとテーマがずれちゃうんじゃないですか?その、もちろんいくらでもしゃべりますけどもね、それは今止めた方が良いと思いますよ。

辛坊 いやいや、良いですよ。ぜひね、そのあたりは、太田さんの本音がね、実は日本の防衛、例えば憲法についてどう思っているんだとか、自衛隊は軍隊なのかどうなのか、どうあるべきなのか、武力行使はどうなのかっていう、そのあたり集団的自衛権の行使はどうするんだとか、そのあたりの像が実はまったく分からない!

勝谷 つまり、すごく不満を抱きながら、「だけどしょうがない、官僚だから」(と)中にいたのか、「ホントはこうやりたいんだ!」っていう・・・

辛坊 本当は日本の自衛隊はどうあるべきだという・・・

太田 例えばですね、防衛省の内局あるいは内局キャリアっていうのが酷いという話はさておいて、当時一番私が問題だと思ったのは、「ソ連の脅威論」というのは覚えておられますか?

勝谷 はい。

太田 あれその、嘘なんですよね(太田 失笑)。で、陸上自衛隊の方はひょっとするとホントだと思っている方もいらっしゃるかもしれないけども、私自身、いろいろ、米国で出ている公刊資料なんかも読んで考えたんですけども、明らかに嘘なんですよね。ソ連にとって一番弱いのは極東正面だった。で、だからヨーロッパのNATO正面で何かことが起こった時は、極東から反攻するというのが、当時のアメリカの戦略だった訳です。いや実はね、「私は軍事専門家です」っていう人に、割と最近(この件について)話すと「ああ、そんなこと知ってましたよ」と言われるんだけれども、だけど、じゃあホントにそういうことを書かれているかというと、あまり書いておられないでしょう?で私は、まさに二十年前、三十年前に、そういう話を書いてるんだけれども、誰も関心を示さない!

志方 太田さんはね、防衛白書をまとめられた中心人物だから、その時に嘘を書いたということじゃないか!だったらそこで辞めないかんじゃないか!「嘘は書けん」って!

太田 いや、それは志方さん、ちゃんと私の関わった二つの防衛白書を読んでおられないからそういうこと言うんで、ちゃんと読めばですね、これはジャーナリストの方だったら私の言っている意味分かるけれど、行間を読めばちゃんと私の意図が・・・(やや失笑しつつの発言)

勝谷 行間を読まされたら堪ったものじゃない。(苦笑しつつの発言。会場 どよめきと笑い)

ざこば あんたの本(防衛白書)、そない(な風に)見なあかんのか?(「行間」なんて)読む訳ないがな!(会場 騒然)

太田 それは違う!当時ね、ちゃんと『防衛白書白書』というのが出てたんですよ、どちらかというと左翼系の人達が出してる。ほぼ的確に、私の意図を読み取っていますよ!

宮崎 だからね、太田さんは先週もおっしゃったように、「今に至るも日本は脅威が一番少ない国だ」と、そういうご認識ですよね?

太田 ええ。

宮崎 適正水準というのはどのぐらいですか?自衛隊の。

太田 それは私個人ではなかなかはじけないけれども、いや、適正水準はやはり現状よりは増やさなきゃ駄目でしょうね。それは世界相場に照らせばね。今、冷戦が終わって先進国はどんどん一時軍備削減、国防費も縮小したんだけれども、その後対テロ戦争なんかも起こったし、また反転して増やしてきてますよね。だから当然、世界各国の動向に応じて増やすべきだし、日本の周辺諸国、とりわけ中国なんてのはどんどんどんどん軍拡してますからね。

宮崎 海軍力を増やしてますよね。

太田 そういうことを考えれば、日本は、客観的に見ればですよ?軍拡せざるを得ないってことなんだけれども・・・。

勝谷 あのね、僕さっきの志方さんとの論議が一番、日本の戦後の一番の悲劇だと思うんですよ。だって、(太田さんは)内局じゃないですか。内局の枢要な地位にある人が、「ソ連は脅威ではない」と言ってるんだけれども、志方さんは現に、北海道で、将兵を率いて、前線で対峙したわけでしょ!?

志方 私は防衛白書の行間を読む能力がなかったんだね、ええ。字面通り読んだからね。もうこれは、やっぱり「北海道は守りきらにゃいかん」と思って、やっぱり・・・(怒りを堪えつつの発言)

三宅 ちなみに申し上げると、志方さんはね、在職時代に北部方面総監と言って、北海道の四師団を統括していた・・・

勝谷 俺が志方さんなら、腹の中今煮えくり返るけどね!

宮崎 太田さん、何でソ連の脅威論は流布されたんですか?

太田 そりゃ都合が良いからですよ。

宮崎 誰にとって!?

太田 いやあ、別に損にはならないですよね、脅威があるんだから。減らす方向にはいかないという意味では。

宮崎 それは要するに、防衛庁の意図としてそれが流布されたということですか?

太田 「流布された」っていうか、それほど防衛庁の方からそういうことを流布したっていうんじゃなくて、いつの間にかそういう・・・何と言いますか、空気が出来ちゃったっていうか・・・。

宮崎 「空気」!?要するに予算を取るのに都合が良いからということじゃないんですか?

太田 いや、だから敢えてそれを訂正しなかったっていう、そういうことですよ。

宮崎 ああ、間違っているのを間違ったままにしておけば良いと!

志方 あの当時はね、米軍が「これが脅威である」って言って、我々に情報をくれる訳ですよ。我々は情報を取る手段がないから、米軍が「脅威だ」って言えば「脅威だ」って思う訳ですね。だったら、米軍から違った情報を取ろうとしたら、日本にもCIAとかね、NSAみたいなものが要るんですが、太田さんはCIAを作った方が良いと思いますか?

太田 いや、あったり前ですよ。そんなのはないのは国じゃないですよ。

勝谷 「ないのは国じゃない」。それはその通りだな。(笑いつつ、つぶやくように発言)

太田 こんな話でよろしいですか?(会場 笑い)

辛坊 よろしいと思います。(うなだれるような、力が抜けたような発言)

 <CM挿入>

宮崎 すごく次元の低い話をちょっと最後うかがいたいんだけど、東京新聞で太田さんは、「結局山田洋行に対する最大の便宜供与っていうのは天下り回数だ」っていう風におっしゃっていますよね?じゃ、なんのためにあの元専務は、あんなに接待したんだろ?目的が分からない、守屋さんの。

太田 いや、そりゃホントに友人になっちゃったのかも知れないし、しかしそのことも含めて、そんなのどうでもいい話でね、私の物凄く荒っぽい計算によると、まあ、守屋だけに接待してた訳じゃないんだけれども、やっぱりこういうご時世ですからね、自衛官の人とか何かにはそんなに接待してないはずですよ。そういうものをひっくるめて一(イチ)とすると、天下りした防衛省OBに対する給与額っていうのは、百ぐらいにはなる。

宮崎 まあそうでしょうね。

太田 ですからあの喚問の中で、守屋が、唯一と言うと語弊があるんだけれど、偽証じゃないことを言っているのは、「いや、私は何もしていません」と(いう発言だ)。あれホント、絶対ホントですよ!そんな、次官ともあろう人間がね、「百」の方を少しは心配するのは分かるけども、「一」なんてさ、ゴミじゃないですか!だから何にも、接待されたことに対してさ、ありがたいとも思っていないし、お返しするなんてさ、夢にも思っていないですよ!

宮崎 ああ、守屋さんとしては、ホントに利益供与を受けたつもりは全くないということですね。

太田 そうそう。

橋下 僕、守屋さんがあの接待を受けて、結局は国民に利益になっているんだったら僕も良いと思うんだけれども・・・

太田 うん、だからそれはなってない!なっていないんだけれども、形式的な点だけ捉えるってのはナンセンスだ!

三宅 だけどね、よく分かったじゃないの。つまり守屋さんの精神構造の中では、「山田洋行には、自分が接待を受けた分の何十倍も何百倍もやってるんだから、自分は何らやましいところはない」みたいなこと言ってるってことでしょう?

宮崎 そういうことです。

三宅 そう思えば、あの人のアレは分かるわな、守屋さんのアレは。あの人は少なくともそう思ったんだろう。

橋下 ただその「何百倍もやっている」っていうのは、自分の金をやっているんじゃなくて、税金をやっている・・・

三宅 そうそう、もちろんそうなんだよ・・・

太田 「やってもらって」・・・

辛坊 違う違う違う。あのね、違う。(太田が誤解を訂正するために発言しようとするのを抑えつつ)ああ、分かります。「何百倍やっている」っていうのはそういう意味じゃないんです。つまり、「天下りという形でたくさんの関係者を受け入れてもらってて、自分が受けている利益なんて、天下りで供与されている役所に対する利益に比べりゃ、百分の一ぐらいに過ぎない」と。

宮崎 ただね、そこはその通りなんだけど、やっぱり私が気になるのは、この山田洋行はやっぱりその元専務を中心に分裂してしまったということですよ。つまり天下り先、山田洋行っていうのは、これで防衛省と縁が切れて、下手すりゃ潰れちゃうかも知れない訳だ。そこで日本ミライズという会社、まあ敢えて言うなら、新しい天下り先かもしれない。これが出来ちゃった、内紛が起こった訳ですよね。ここのところっていうのは、私は何か、守屋さんが関与しているように思えて仕方がない。

太田 いやですからね、関与はこれもしていないと思いますよ。というのは、そんな個々のね、防衛関係企業との契約とか、裏契約である天下り受け入れ契約ですね、そんなものに次官がタッチなんかしていたら、そんなのやってられないですよ。

三宅 通常天下りを斡旋するのは、官房長がやるんですよね?

太田 ええ。

三宅 次官が直接指図するということは、まあ、あるのかも分からんけれど、ほとんどは官房長がやるんだよ。

安藤 太田さんは、今まで何にもそういうことはなさったことはないんですか?守屋さんみたいに接待を受けたり・・・。

太田 私?いや、あれですよ?我々が入ったころは、そんなの当たり前だったですよ?(会場 笑い)

ざこば 当たり前のごとく言うとこが不思議なんよ。

太田 問題はね、だからその時の「わ」(?)なんですよ。守屋等、守屋一人じゃないけれども、だからその後時代が変わったっていうのがどうもよく分かっていない・・・。

橋下 だから2000年まではまあ、当たり前だった訳ですよね?

太田 2000年じゃなくて・・・

橋下 90年代で問題になる前・・・

太田 いや、もともとの1971年(太田が入庁した年)、だから70年代の話ですけどね。だから、最初に(防衛庁に)一緒に入ったもう一人の同期と一緒に、同じ課にいたんだけれども、「印刷を頼んでいる印刷所に行って校正してくれ」と上司から命ぜられてね、どっか場所は忘れたけれども、東京の随分辺ぴなとこだったけれですけれども、そこへ行って、校正が終わって帰ろうとしたら、そこのおばちゃんが、「ちょっとちょっと」と呼びとめてね、で二軒ぐらい脇にあった焼肉屋に我々を連れて行って、それでご馳走になりましたけれどね。だからそういう時代ですよ。

勝谷 その程度ですか。

安藤 もっと大きいの・・・

勝谷 今までに受けた一番・・・(会場 笑い)

太田 ああ、あのね、その、こんな話・・・

勝谷 良いんです。(会場 笑い)

安藤 良いんです、聞きたい。

ざこば そんなん興味あんのやがな。(笑いつつの発言、会場 笑い)

太田 あのねえ、例えば仙台局の時ね、これこの前にもちょっと言ったことと関係してんだけれども、要するに特定の業者の接待受けるっていう形じゃなくて、ある個人あるいはある法人に、いろんな官庁の所管にまたがっているいろんな種類の業者の人がカネを拠出してね、その人またはその団体が、今度は役人に声を掛けて、それで宴会をやったりゴルフをやったりする。そうすると、これも厳密に言うと倫理規定違反だし場合によったら違法なんだって言うんだけれども、立件するのはほとんど不可能だと思うんですよ。(ざこば 忍び笑い)だからたまたまその関係する業者さんが居たっていうような話ですからね。それは、私だって、幸か不幸か、仙台、大体そういうのは東京中心の話だから、ほとんど出ませんでしたけれども、出れませんでしたけれども、出ようと思ったら、例えば一年間で、ゴルフだって一万円で週末ゴルフは四回は出来たし、あとその、三千円ないし、かなりいい料亭だったら五千円ぐらいなんだけれども、それでもって、じゃあご接待を受けるという機会だって、二十数回、この前計算したらありましたからね。そりゃ東京でそういうのが好きだったら、せっせと出ている人もいるかも知れないし、で、せっせと出ている人随分知ってますよ?

勝谷 ということは、全くもう、ミニ守屋じゃないけれど、あれのコピーみたいなのがいっぱいいるってことじゃないですか。システム化されている訳ですね、その接待が。だから、みんな固唾飲んでいません?「守屋がやられたら、じゃあ俺もやられる」と。

太田 いやいや、だからその・・・

宮崎 やられないよ。

太田 そこがね、守屋は脇が甘すぎる訳ですよ。(笑いつつの発言。会場 笑い)ちゃんとこういう風にばれにくいように・・・。(会場 笑い)

宮崎 太田さん!再び国政に、選挙に出られるというお考えはありますか?

太田 いや、これだけの言いたい放題のことを言う習慣が付いちゃうと、無理です。(会場 笑い)

宮崎 いや、かえって良いかもしれない。

たかじん はい、今日は二度に渡って来ていただきました。

辛坊 前回は五十分の一しかお話になれなかったということですが、今日はどのぐらい喋れましたですか?

太田 う~ん、そうですね。これでようやく五十分の五ぐらいになったと・・・。(会場 笑い)

たかじん 他の段取りもございますので・・・。(会場 笑い)

辛坊 ありがとうございました。(会場 拍手。太田 退場)

たかじん ああいう話をつらつらと聞いてますと、若干不感症になって行ってしまうと言いますかね、「目くじら立てている俺らのが変なんかな?」と。

宮崎 そう、不思議なもんで。(笑いつつの発言)

三宅 でもね、あの人は正直な人だと思いますよ。そうなんでしょう、実際、感覚なんかもね。だから「守屋の場合は脇が甘くてなったけども」っていうようなことなんでしょうな。

宮崎 でも、私たちが話を聞いているだけで不感症になってくるでしょう?お役所の中にいる人たちは完っ全に不感症になるんだよ!

たかじん ああ。もうそれを、先輩を見て当然・・・

宮崎 そうそうそう、もうシステマティックになっている・・・

たかじん ね、それをずーっと見て育つ訳やから。それが常識になっている。

宮崎 そうそうそうそう。

勝谷 しっかしね、厳寒の地でね、数万の将兵を率いて、まなじりを決していた人生はなんだったんでしょうかね?(皮肉っぽく笑いつつの発言) 

志方 さっき書いたように、「やっちゃおれない!」(会場 笑い)

たかじん 制服(組)が聞いたら怒ってるやろなあ。

宮崎 戦前だったらクーデターが起こっとるわ。(笑いつつの発言)

辛坊 うちの父親ね、自衛隊のね、下級の、調達っていう、小さいものをこう調達する所の部署におったんです。そうするとね、盆暮れに石鹸の包みを業者さんが贈ってきはる。うちの親父はね、贈ってきた石鹸全部、そのまま送り返してましたよ。石鹸一個でも受け取らなかったんです、現場の自衛官は。今多分、現場の自衛官はそうだと思うの。ホントに腹立っていると思うよきっと。

三宅 いや、その程度は受け取っているんじゃないの、みんな。(会場 笑い)