太田述正コラム#15372(2025.12.14)
<2025.12.13東京オフ会次第(続)>(2026.3.10公開)

O:ところで、実は、カルパチア盆地で、どうして自由と平等に取りつかれた人々が生まれたかについて、日本人の説に二つの典拠で出っくわしたが、二つとも、この盆地の土地がやせているために、まとまって住んでいては飢えてしまうことから、人々は分散して住まざるをえなかった、めいた説で、「講演」原稿に取り入れるべきか最後まで迷ったのだが、英語文献はどれも土地は肥えていた、としていたので、思いとどまった。
 また、ケルトについてだが、もともとは印欧語族ではなかったのではないか、という新説があり、少数説にとどまっているが、私は、ゲール人(アイルランド人)もブリトン人もバスク人だとする説に拠っているところ、このことはケルトについてのこの説と親和性があると思っている。

(参考)「コッホ<(John Thomas Koch。1953年~)>は、「西方起源ケルト語仮説(Celtic from the West hypothesis)」の主要な提唱者である。この仮説は、ケルト語が印欧語族の一分枝として、従来考えられてきたようにドナウ川上流域から西方へ放射状に広がったのではなく、むしろ大西洋沿岸欧州の一部、すなわち南西欧(フランス西部およびイベリア半島北部・西部)において、印欧祖語から派生した言語と、先住の非印欧語(アキタニア語〔バスク語の祖語〕、イベリア語、その他未証言の言語)との融合によって成立した、という考え方である。
 そこから、この仮説は、彼らは南中欧へ東進し、カルパチア盆地を含む地域に広がった。その地では、すでに印欧祖語から独立して発展しつつあった初期の原イタリック語が存在していた。この言語、あるいはこれらの言語は、原ゲルマン語の直接の祖語である「前原ゲルマン語」にも影響を与えた、とする。」
https://en.wikipedia.org/wiki/John_T._Koch

E:今回の「講演」原稿には、Copilotが登場したな。
O:英語典拠の邦訳の下訳には十分過ぎる能力を持つに至っているが、私固有の言い回し(・・例えば、Englandはイングランドではなくイギリスと訳す・・)に直さなければならないのは当然として、やはり、私が手を入れなければならない場合が再々あるので、まかせっきりという訳にはいかない。
 ネットを使った調べものをCopilotにやらせるのは、カネを出して高級なAIを使えばそうではないのかもしれいけれど、まだ荷が重過ぎる印象だ。
 それにしても、Copilotに「アングロサクソンはヴァイキング的ではないのか」と問いかけたら、「あなた、鋭いですね。」と、返してきたのにはびッくら仰天した。
B:ウェセックスだけではなく、秦もブルフならぬ城郭、と、道路網を整備したのではなかったか。
O:その通りだが、天下統一を成し遂げた後、耕戦の士制度(総動員体制)は維持せず、城郭と道路網の整備は手を抜き、長城による騎馬遊牧民対策に切り替えてしまい、この体制を漢以降の諸漢人王朝も踏襲することになるわけだ。
C:アングロサクソンの中で最も弥生性が高いのは米国人だと思うのだが・・。
O:米国はアングロサクソン文明と欧州文明のキメラだから、「アングロサクソンの中で」はいかがなものか。
C:カナダに渡ったのはまっとうなイギリス人、米国に渡ったのは落ちこぼれのイギリス人、という、ご指摘の違いが両者の間にあるとすると、弥生性と言っても、微妙に違いがありそうではある。