太田述正コラム#0576(2004.12.27)
<プーチン大統領の罪状(その2)>

3 腐敗し切ったロシア

 (1)始めに
 各国の腐敗度を調査しているTransparency International(ベルリンに本部)の最新の2000年のレポート(http://www.transparency.org/。12月23日アクセス)によれば、ロシアの腐敗度は133カ国中の86位であり、インドやマラウィやルーマニアより下とされています。

 (2)政府
 2000年の大統領選の際にプーチンは、当選したら賄賂・縁故主義・権力濫用と断固戦う、と高らかに公約しました。この三悪は「社会全体を堕落させ、行政府と国家の諸機関の権威を損なうからだ」というのです。
 しかし、それから4年以上たった時、プーチンは「大声での宣言と大がかりな諸計画は残念ながらほとんど何の成果もあげなかった」と告白し、それ以来、本件については口をつぐんだままです。
 プーチン自身が腐敗に手を染め出した(後述)以上、他人の腐敗を追及する意欲など消え失せたということなのでしょう。
 ロシア政府の官僚機構はソ連時代の二倍にふくれあがり、利権の巣窟になっており、各省の次官ポストは50万ユーロで取引されている、と噂されています。利権で稼ぐのが政府に入る目的ですから、公務員は地位の高低いかんにかかわらず、仕事はほとんどしようとせず、やっても手抜きだらけの仕事しかしていません。
(以上、特に断っていない限りhttp://www.nytimes.com/2004/06/07/international/europe/07SPIEGEL.html(6月13日アクセス)による。)

(3)民間
当然ロシアでは民間も腐敗しきっています。このことはロシアにおける富の偏在ぶりが裏付けています。
世界銀行モスクワ事務所は、今年6月末にまとめた報告書の中で、ロシアを「世界で最も富の偏在した国の1つ」と結論付けています。
例えば、ロシアでは10人の株主が実に株式市場の60%を支配しており、インドネシアの58%、韓国の37%、シンガポールの27%を押さえて世界一の集積度です。また、最も裕福な26人の資産がGDPの19%相当に達しています。更にロシアでは、22の企業グループが全労働力の11.3%を傘下に置き、工業生産売上高の30.8%を占めています。(統計は2003年6月時点のもの)
(以上、http://www.sankei.co.jp/news/040701/kei001.htm(7月1日アクセス)による。)

(4)ユーコス問題
12月19日に世界有数の石油会社であるロシアのユーコスが「公売」に付されました。
国際的な会計規範や法規範に違反して、本来の市場価格の約半分の93。5億ドルで競り落としたのは、名もないロシアの会社でした。そして22日にはこの会社から、旧ユーコスの主要生産施設を、(話を少し単純化させてもらいますが、)政府が株式の51%を保有する独占天然ガス会社のガスプロム(Gazprom)が購入したことが明らかになりました。
その背後には、利権を求めて蠢く、プーチンのお友達の旧KGBやFSB関係者達とプーチン自身の姿が透けて見えます。
つい一年前までは、ロシアの超優良会社で透明性も高かったユーコスでしたが、そのユダヤ系ロシア人の経営者を拘束し、継ぎにユーコスを差し押さえ、更にユーコスを「公売」に付することによって、ついに彼らは自分たちの政治的かつ個人的ねらいを達成することに成功したのです。
(以上、http://www.washingtonpost.com/ac2/wp-dyn/A15142-2004Dec20?language=printer(12月22日アクセス)及びhttp://news.ft.com/cms/s/73657840-5462-11d9-a749-00000e2511c8.htmlhttp://www.washingtonpost.com/ac2/wp-dyn/A16512-2004Dec21?language=printer
(どちらも12月23日アクセス)による。)

(続く)

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