太田述正コラム#10212005.12.29

<徒然なるままに(その6)>

5 クリスマス(続き)

 遠藤ゆうき(勇貴)君のお母さんからメールがあったので、転載します。

 筆者のアイデンティティーを隠しようがないので、一切手は加えませんでした。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

太田様

はじめまして、勇貴の母遠藤洋子です。

同胞の方にも、あの勇貴の記事を読んでいただけたかな?といった思いでブログ検索をしたところ、太田さんのブログをみつけることができました。

年の瀬のお慌しい中、概要ではあれ翻訳までしていただき、ありがとうございます。ただ、文中にあります「知恵遅れ」という表現は些か適切ではないように思われます。と言いますのも、数字やIT関係に強く、中学では数学の授業はメインストリームで受けておりましたし、成長不完全には違いないのですが染色体の欠損部が微量であるため、平均的な症状に当てはまらない、といった感じなのです。決して苦情を申し上げているのではないのですが。

「かねてより私は、同紙の日本についての記事・論説の多くは米国中心的なバイアスがかっていると思い、そのように記してきたのですが」については、まったくおっしゃる通りだと思います。そんないただけないNYタイムズの取材に協力したのは、地方版でヒューマニズム系のテーマを扱う記者からの申し出であったことや、勇貴が単純に喜んでいたからに他なりません。

実はこの勇貴の記事はフロントページを飾ったのですが、その担当記者の「クリスマスの朝、Cityへこの心温まる話を是非届けたい」といった想いがあったようで、エディターもこの記事を大変気に入り、フロントへ、と相成ったそうです。

そのような次第で、太田さんの――とても人間味のある繊細な視点で――指摘されている他二人の日本人の方の記事との関連性は、残念ながら特に無いかと思われ、NYタイムズのあの傲慢な姿勢は同紙が存続する限り、あるいは読者の意識が変わらない限り、期待は持てないような気がします。ですが、今回の勇貴の記事は、一地方版記者の素朴な視点で捕らえた、まさにヒューマンタッチな作品で、傲慢NYタイムズとは言え、地方版のこういった記事は捨てたものではない、といったところでしょう。最後になりますが、フレッド是松さんの件、大変参考になりました。

プロフィールを少々拝見させていただきました。今後益々のご活躍を期待しております。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 勇貴君、不適切な言葉を使ってしまってゴメンね。

 洋子さん。メールをありがとうございました。

 ご一緒に良いお年をお迎え下さい。

(第一部:完)