太田述正コラム#13235(2023.1.11)
<増田知子等『近代日本の『人事興信録』(人事興信所)の研究』を読む(その5)>(2023.4.8公開)

 「・・・『人事興信録』(大正4)を見ると、養子制度が多用されていたことがよくわかる。
 採録者の華族(1万3917家)に限ってみても「養子」の記述は4339名について存在していた。
 養子制度の活用は、家を存続させかつ女戸主を回避する方法として有効であったと考えられる。・・・

⇒現在の日本の場合、養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組がありますが、後者については、数の推移がネット上で分かるけれど、前者については、特定の年のもの(両者の合算数?)・・令和2年度で約6万5000件・・
https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwjN-d3k9L78AhUdh1YBHXp5BBwQFnoECAwQAQ&url=https%3A%2F%2Foasis-lawoffice.com%2F%25E6%2599%25AE%25E9%2580%259A%25E9%25A4%258A%25E5%25AD%2590%25E7%25B8%2581%25E7%25B5%2584%25E3%2581%25A8%25E3%2581%25AF%25E3%2581%25AA%25E3%2581%25AB%25E3%2581%258B%25EF%25BC%259F%25E7%25B5%2590%25E5%25A9%259A%25E3%2581%25A8%25E4%25BC%25BC%25E3%2581%25A6%25E3%2581%2584%25E3%2582%258B%25EF%25BC%259F%25E3%2581%25A9%25E3%2582%2593%2F&usg=AOvVaw1QeUb5twRTCCTni98jJvbx
か、アバウトなものしか、少し調べた限りでは分かりませんでした。(アバウトな方。↓)
 「年間に成立する養子縁組の数はアメリカが約11万件、日本は約8万件。あまり知られていませんが、日本とアメリカは世界有数の「養子大国」です。でも、円グラフに示したように、その内訳は大きく異なります。まず日本をみると、67%が婿養子など大人を養子にとる「成年養子」です。そして、25%が配偶者の子どもを養子にする「連れ子養子」、7%が孫や甥、姪を養子にする「血縁養子」。血族でも姻族でもない子どもを対象とする「他児養子」はわずか1%に過ぎません。
 一方、アメリカは、養子縁組の対象はほぼすべて未成年という「子ども養子大国」です。そのうち40%が「連れ子養子」、10%が「血縁養子」で、「他児養子」が実に50%を占めます。さらに「他児養子」の内訳をみると、3割強が国内の生まれてまもない婚外子を対象とする養子、4割強が州立の公的機関に保護された児童を養子にする「里親養子」、そして2割が海外の養護施設などに保護された児童を養子にする「国際養子」であることがわかります。
 言いかえれば、アメリカでは年間およそ6万人の要保護児童(=さまざまな理由で実親の保護に恵まれない子どもたち)が養子縁組によって新しい家庭を得ているのです。これに対して、日本は家名や家業の継承を目的とする養子縁組が圧倒的に多い「成年養子大国」で、子ども養子のなかでも特に「他児養子」が非常に少ない。」
http://www.hit-u.ac.jp/hq-mag/chat_in_the_den/220_20180306/
 現在の日本では、普通養子は、「「家(不動産その他)」を継承させるため<や>税金対策として利用するため」が多い
https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwjN-d3k9L78AhUdh1YBHXp5BBwQFnoECAwQAQ&url=https%3A%2F%2Foasis-lawoffice.com%2F%25E6%2599%25AE%25E9%2580%259A%25E9%25A4%258A%25E5%25AD%2590%25E7%25B8%2581%25E7%25B5%2584%25E3%2581%25A8%25E3%2581%25AF%25E3%2581%25AA%25E3%2581%25AB%25E3%2581%258B%25EF%25BC%259F%25E7%25B5%2590%25E5%25A9%259A%25E3%2581%25A8%25E4%25BC%25BC%25E3%2581%25A6%25E3%2581%2584%25E3%2582%258B%25EF%25BC%259F%25E3%2581%25A9%25E3%2582%2593%2F&usg=AOvVaw1QeUb5twRTCCTni98jJvbx
ようであるところ、前者についても、家制度はなくなっているのですから、広義の事業承継のためであって、後者同様、税金対策として利用されている、と見てよいのではないでしょうか。(太田)

 実業界、言論界、教育界に大きな影響力を有した渋沢栄一と福沢諭吉の家庭観、女性観を取り上げる。・・・
 渋沢は、・・・女子教育の必要性を次のように述べていた。
 「・・・言ふ迄も無く女子も社会の一員、国家の一分子である。果して然らば女子に対する来旧の侮蔑的観念を除却し女子も男子同様国民としての才能、智徳を与へ、倶に共に相助けて事を為さしめたならば、従来五千万の国民中二千五百万人しか用を為さなかつたものが、更に二千五百万人を活用せしめることとなるのではないか。・・・」
だが、実際に渋沢が推進した女子高等教育は、富裕層におけるエリートの女子教育であった。
 渋沢は次のように述べていた。
 「・・・一般家庭の主婦としては高等女学校程度で足ることと考へる。」
 「・・・極端な例を挙ぐれば車夫の妻が女子大学を卒業して居ても、それだけ努力した効果はないといふ様に、総て教育も身分地位に相当した所に於てするがよいのである。」」(196、199~200)

⇒「一般」抜きの「家庭の主婦としては高等女学校程度で足ることと考へる」ならば、私も、あくまでも概ねですが、同感です。(太田)

(続く)