太田述正コラム#13932(2023.12.26)
<映画評論104:ジョジョ・ラビット>(2024.3.22公開)


1 始めに

 「『ジョジョ・ラビット』(Jojo Rabbit)は、2019年の<米>国のコメディ映画<で、>監督はタイカ・ワイティティ。主演はローマン・グリフィン・デイヴィス。共演はトーマシン・マッケンジー、タイカ・ワイティティ、レベル・ウィルソン、スティーブン・マーチャント、アルフィー・アレン、サム・ロックウェル、スカーレット・ヨハンソンら」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%88
であるところ、これは、ストーリーがたまたまナチス・ドイツ末期を舞台に展開するだけで、要は、制作者達と出演俳優達の魅力を十二分に堪能するための映画、といったところでしょうか。
 なお、ストーリーは、上掲にもこの映画の英語ウィキペディア
https://simple.wikipedia.org/wiki/Jojo_Rabbit
を含め、どこにも載っていなさそうですが、ストーリーの「感じ」を掴むだけなら、下掲
https://eiga.com/movie/91654/special/ α
があります。

2 本題

 まず、主演の子役のローマン・グリフィン・デイヴィス(Roman Griffin Davis。2007年~)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%B9
の、(Mr/ビーンの)ローワン・アトキンソン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%88%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3
の面影をやどす、その可愛さと演技力にはただただ脱帽するほかありません。
 彼、お母さんがフランス人だからでしょうが、ロンドン生まれの英仏二重国籍者です。(上掲)
 次に、この子役の母親を演じるスカーレット・ヨハンソン(1984年~)は、「2018年と2019年に世界で最も稼いだ女優」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3
であることに納得の魅力溢れる美女ですが、この映画のおかげで、NY生まれで母親がユダヤ人である彼女(上掲)を知ることができました。
 そして、脚本・・と言っても書き下ろしに近い(注)・・、監督、そして、この映画の中で重要な登場人物たる「ヒトラー」・・なぜ「」内なのかはα参照・・を演ずる、という八面六臂の活躍をしているタイカ・ワイティティ(Taika Waititi。1975年~)という人物に遭遇することもできました。

 (注)原作のクリスティン・ルーネンズ(Christine Leunens。1964年~)・・米国生まれでニュージーランド国籍取得・・のCaging Skies(2007年)は、’a World War II historical novel set in Vienna, which was described by Le Monde as a “beautiful novel, powerful, different, and ambitious” about “love so total that it locks up, isolates and colonises the partner until destruction annihilates the outside world”.’
https://en.wikipedia.org/wiki/Christine_Leunens

 彼は、「ニュージーランド北島の<田舎>・・・で生まれ、ウェリントンで育<ち、>・・・母方の家系はロシア系ユダヤ人で、「アイルランド人が少し混じっている」など<欧州>の血が流れており、父方の家系は「マオリとフランス系カナダ人が少し混じってい<て、>」・・・。・・・オンズロー・カレッジに通い、その後ヴィクトリア大学ウェリントン校で演劇を学び、・・・芸術学士を取得した<ところの、>・・・ニュージーランドの映画監督、テレビディレクター、脚本家、俳優、コメディアン」、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%82%AB%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%86%E3%82%A3
という、ちょっとした万能人です。
 彼が「ヒトラー」を演じたのは、「ヒトラーは自分にユダヤ人の血が混じっているのではないかと、いつも悩んでいた<が、> 同じことは、ハイドリヒ、シュトライヒャー、ローゼンベルクなど、多くのナチス幹部にも当てはまる」、
http://www1.s-cat.ne.jp/0123/Jew_ronkou/NazisGermany/Hitler_yudayajin.html
ということが、「ユダヤ人の血が混じっている」彼の念頭にあったからでしょうし、彼がヨハンソンを重要な助演女優に起用したのは、ユダヤ人を家に匿うとともに、対ナチ・レジスタンス活動に従事して処刑される、という役に、「ユダヤ人の血が混じっている」彼女がふさわしいと考えたからでしょう。
 とにもかくにもユダヤ人は恐るべき人々だ、と、改めて思った次第です。