太田述正コラム#3083(2009.2.8)
<皆さんとディスカッション(続x392)>
<Nelson>
≫急ぎませんので、Ms.Nelson、気が向いたら「続き」、(ドイツ以外を扱ってもいいので、)自由に書いてみませんか。≪(コラム#3081。太田)
 同じ旧敵国同士でほぼ同じ法体系に属するはずなのに、海賊問題で浮かび上がった日・独の対応の差は興味深いですね。多少お時間を頂くかもしれませんが、しっかりしたものができるかどうかはわかりませんが、トライしてみようと思います。
<太田>
 Ms.Nelsonは、(質問投稿には典拠は必ずしも必要ではありませんが、コメント/批判)投稿をまともな典拠付きで出来る数少ない(太田コラム読者たる)女性の一人ですが、男性読者でもほとんどいないところの、コラムが書ける最初の女性読者になれるかな?
 期待して見守ってます。
<michisuzu>
≫最後に私は「天皇擁護派」でなく、「天皇無責任論者」です。「擁護」とは、危害を加える者から守る意味がありますから、「反擁護派」の方に失礼です。ずっと気になっていましたので、細かいようですが、指摘させて頂きました。≪(コラム#3081。Nelson)
 Nelson様は天皇無責任論者だったんですね?!
 うれしいなあ^^
 日本人は感情的なまた天皇に対して常に擁護する人が多くて理論自体がバイアス掛まくりの人が多くてげんなりしていました。
 同好の士に会えた気がします。
<Nelson>
>日本人は感情的なまた天皇に対して常に擁護する人が多くて理論自体がバイアス掛まくりの人が多くてげんなりしていました。
 私は天皇陛下を畏敬しています。とはいっても、天皇責任論を論じる時には、陛下への忠誠心という主観とは別個のことなので、客観的に判断してどうなのかで論じていました。
そうじゃないと、互い建設的で有意義な議論ができませんからね。
<michisuzu>
 そうですね、そうゆう姿勢が日本人には欠けていますね。
 同感です。
<moshika>
≫当たり前の発想です。 明治憲法も現行憲法も一度も改正されていないけれど、どちらも憲法の変遷(公定解釈の変化)があった。他方、憲法を持つ先進国で、第二次世界大戦後だけをとっても、一度も憲法が改正されていないのは日本くらい(典拠省略)です。これらの事実から出てくる結論はただ一つ。日本では憲法に規範性がない、ということです。≪(コラム#3079。太田)
 そうですか。
 太田さんの指摘した日本の憲法に関する状況は常識の範囲かもしれませんが、そのくせ「日本の憲法に規範性が無い」とまで割り切って発言されている方を他には寡聞にして存じませんし、国民の常識となっているとも感じていませんでしたので引っかかった次第でした。
<雅(商人です)>
 –かんぽの宿の報道のヨミカタ (書き直し)–
 日本郵政の「かんぽの宿」の一括譲渡問題で、譲渡の対象になっている社宅9カ所を含む79施設の個別の帳簿価格の最高が「ラフレさいたま」(さいたま市)の約15億6000万円だったことが5日、分かった。最低は「かんぽの宿三ケ根」(愛知県幡豆町)の500万円。譲渡の08年9月末時点の簿価で、全施設の総額は123億円。 日本郵政はこれまで個別の簿価を明らかにしていなかった。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090206ddm002020074000c.html
 ここにかかれている価格は「簿価」であり、「誰かが評価した取引価格」ではない。「「簿価という言葉が一般的に使われていない」」 のは新聞記事をいつも書いている人なら分り切ったことでしょう。それを知りつつ多くの方が知らない「簿価」という言葉を使い、「ラフレさいたまは15億円であり、また、全施設の総額が123億円」と言われれば、一般読者は、「そうか、そんな価格んだ!、けしからん」と思ってしまう。
 もし、「簿価」と書くのであれば、日刊スポーツのいうとおり、日本郵政によるオリックス不動産への「かんぽの宿」一括売却契約問題で、売却対象の79施設の簿価が大幅に下がったことについて鳩山邦夫総務相は「(簿価を)ものすごく低くして、それより上で売れば利益が出るような形にするのは、ある程度の作為でできるのではないかと疑っている」と述べた。
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp3-20090205-457718.html
の様な文言を付けないと正しく事実を報道する記事とはいえない。
もっとよく書くのであれば、どこかの不動産業者などにラフレさいたまの取引価格を調べてもらって独自に調べたら、○○○億円くらいではないかと評価してもらった、と書くべきでしょうね。
 –補足説明–
 簿価というのは、会社の(帳簿上の)価格であると言うこと。
 不動産への投資というのは、本来は、不動産鑑定士、近隣不動産の評価ばかりに頼るのでなく、その物件が毎月毎年いくらの収益を生み出しその物件の耐用年数が何年か、だからいくら投資しようと判定するのが現実的な考えだと思います。
<太田>
 もう一度お聞きしますが、それで、雅さんは、鳩山総務相/野党の言っていることと、郵政が言っていることとどちら乗りなんですか?
 話は全く変わりますが、私はショスタコービッチ(Dmitri Dmitriyevich Shostakovich。1906~75)の、彼としては珍しく軽い曲である「ジャズ組曲第2番 ワルツ2」
http://www.youtube.com/watch?v=zSaYnQD7EpY&feature=related
が大好きで、ピアノでこの曲をアレンジして弾いたりするのですが、このユーチューブをご覧になると分かるように、この曲は、映画「アイズ・ワイド・シャット」(キューブリック監督遺作。主演トム・クルーズ・ニコール・キッドマン夫妻(当時))
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%88
で使われていることでも有名です。
 この映画を昨夜遅く、初めてTVで見たのですが、相当エロティックな映画であろうという「期待」が裏切られる、一種の高級心理サスペンス映画でした。
 これに刺激されて、朝方から、ショスタコービッチの曲をユーチューブで何曲か聴いています。
 ちょっと解説しましょう。
 ショスタコービッチの最も有名な曲は、「第5交響曲」
http://www.youtube.com/watch?v=ogJFXqYEYd8&feature=related
ですが、ナチスドイツによるレニングラード(現在のサンクトペテルブルグ)包囲戦中に、作曲されて初演され、同じ頃に英国や米国でも初演されたところの「第7交響曲」は、対ナチスドイツ抵抗曲として有名です。
 襲来する「ファシズム」のメロディーが執拗に繰り返される、この曲のさわりの部分
http://www.youtube.com/watch?v=iAzP54py0qI&feature=related 
をどうぞ。
 しかし、これは実は、暴虐なる「スターリニズム」のメロディーであって、この曲はスターリニズムも合わせ批判している、という説
http://www.youtube.com/watch?v=2l_kig4J9WI&feature=related
http://simple.wikipedia.org/wiki/Dmitri_Shostakovich
が後に唱えられることになります。
 私は、この後の方の説に説得力を覚えています。
 この関連で、ショスタコービッチの唯一の歌劇、「マクベス夫人(Lady McBeth of Mtsensk District)」を1936年に鑑賞したスターリンが途中で席を立ち、その直後からショスタコービッチ批判が始まったという事件も、私は、この歌劇の音楽そのものよりも筋が、スターリニズム批判を含意したものであることを(若き頃詩人であったところの)スターリンが鋭く見抜いたからだ、とする説に説得力を覚えます。
 (上記二つの典拠及び、下掲
http://www99.epinions.com/review/mvie_mu-1087809/content_197306519172
参照。)
 さて、記事の紹介です。
 
 青少年がずっと長時間TVを見続けていると、鬱病に罹りやすいことが明らかになりました。コンピューターゲームや音楽やラジオではそんなことはないのだそうです。
http://www.nytimes.com/2009/02/10/health/research/10beha.html?pagewanted=print
 1920台後半から30年代にかけての、米国の高金利、輸入規制という近隣窮乏化政策を改めて糾弾する論説がニューヨークタイムスに出ました。
 ・・・The beggar-thy-neighbor policy-making that spread in late 1920s and early 1930s should provide a bleak warning. The United States first sparked depression across the world when it started raising interest rates in 1928 to curb stock-market speculation, forcing other countries, whose currencies were fixed under the gold standard, to do the same to stem an exodus of reserves. But it spread and deepened as the United States and other countries responded to slower growth and falling exports by erecting trade barriers.
 World trade contracted 60 percent between 1929 and 1932. Industrial production in the United States and European countries fell by more than 35 percent. Unemployment topped 30 percent in Germany. The price of Malaysian rubber fell 84 percent, and that of Argentine wool tumbled 72 percent. Beginning in 1931, all big Latin American countries defaulted on their debt. Japan invaded Manchuria in 1931. Hitler came to power in 1933.・・・
http://www.nytimes.com/2009/02/07/opinion/07sat2.html?ref=opinion&pagewanted=print
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太田述正コラム#3084(2009.2.8)
<人間にとって青年期とは何か(その1)>
→非公開