太田述正コラム#14925(2025.5.6)
<皆さんとディスカッション(続x6245)/映画評論245:武則天(その26)>

<rCiUfumE>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 杉山元の考えた通りに日本は勝利したってとこがわからん。

⇒そんだけじゃ、何が分からんのか分からん! で片づけるところだが、一応・・。
 私の場合、商社での勤務先の支那で現地招集で将校になった父親から、耳タコになるほど、いかに戦争が楽しかったかを聞かされて育ったもんだから、被害者意識に立ったところの、先の大戦で日本が壊滅的敗北を喫した、という戦後の、一種噴飯物のコンセンサス的社会通念、から、最初から自由だったってのが大きい。
 それに加えて、物心ついた時から、長い間ずっと、日本は高度成長だったし、人口も増え続けた、もんだから、私は、「敗戦」後の戦後って感覚、と、殆ど無縁のまま大きくなった。
 また、小さい時の海外経験から、日本とは何ぞやってことを考えざるを得なくなった、ということもある。
 こういった背景の下、先の大戦で日本は勝利したのではないか、いや、大勝利を収めたのかも、と、私は早い時期から勘ぐるに至ってたってわけだ。
 だもんだから、なのか、単にそして、なのか、はともかくとして、防衛庁(当時)に入った当時、再軍備に冷笑的な内局文官達にショックを受け、やがて、仕事で接した在日米軍軍人達の占領軍意識に呆れ、怒っ、たんだよな。
 となると、一体どうして、日本は、殆ど単独で世界中を相手に戦って勝てたのか、また、そういう認識を誰も抱かないどころか真逆の認識を抱いてしまってるのか、を、解明したくなったんだが、こいつは一筋縄ではいかない難題だった。
 悪戦苦闘の末、ようやく解明する糸口を見つけたのが、今から7年ちょっと前における、私が島津斉彬コンセンサスと名づけたものの発見だ。(コラム#9692)
 長くなり過ぎるのでこれくらいにするが、私が何が言いたいかというと、先の大戦に日本が勝利した、という認識に立ちさえすれば、日本の、幕末から始まり、1945年に概ね終わったところの、日蓮主義(島津斉彬コンセンサス)完遂戦争のことも、また、その最終フェーズである杉山コンセンサス完遂期のことも、更には戦後における岸カルトの日本支配のことも、自ずから・・私の関連コラム群を読むことを通じて・・理解できるはずだってことだな。(太田)

<太田>

 安倍問題/防衛費増。↓

 なし。

ウクライナ問題/ガザ戦争。↓

 <そりゃあよござんすね、と、言いました。↓>
 Israel approves plan to expand Gaza war, including ‘occupation’ of territory・・・
https://www.washingtonpost.com/world/2025/05/04/israel-gaza-war-expansion-reservists/
 Israel plans to seize parts of Gaza and stay indefinitely–The Israel Defense Forces will gradually enter tracts of northern and southern Gaza and stay long term to root out Hamas fighters and destroy their tunnels.・・・
https://www.washingtonpost.com/world/2025/05/05/israel-gaza-reoccupation-plan/

 妄想瘋癲老人米国。↓

 なし。

 それでは、その他の国内記事の紹介です。↓

 私と同じようなことを指摘してる人がいるねえ。
 但し、『君たちはどう生きるか』には、「父親へのコンプレックスを乗り越える物語という側面」などないし、「エディプス・コンプレックスを克服するための物語」でもないな。
 宮崎駿のこれまでの人生を、自ら、エディプス・コンプレックスでもって説明しようとした物語なんだよ。↓

 「・・・『君たちはどう生きるか』は多層的な物語で、何を示唆しているのか、さまざまな考察を見ても人によって解釈が多数分かれており、父親へのコンプレックスを乗り越える物語という側面もあります。・・・ 
 宮崎監督はこのように明言しています。・・・
 ここに出てくる勝一という父親は自分の父親(名前は宮崎勝次)にそっくりです。・・・
 「エディプス・コンプレックス(母親を手に入れようと思い、また父親に対して強い対抗心を抱くこと)」に踏み込んだ物語であることについて、宮崎監督はガイドブックで「そういう闇の部分もちゃんと書いた上で、一人の少年が最後自分の人生を全うする事が出来た、そういう話です」とも語っています。・・・
 『君たちはどう生きるか』は宮崎監督自身も少なからず持っていた(同じような感情を抱いた経験のある多くの人にとっても)、エディプス・コンプレックスを克服するための物語だったのかもしれません。・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/entertainment/%E5%90%9B%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%86%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%8B-%E3%82%AD%E3%83%A0%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%81%8C-%E7%88%B6%E8%A6%AA-%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E6%84%8F%E7%BE%A9%E3%81%AF-%E5%AE%AE%E5%B4%8E%E9%A7%BF%E3%81%AE%E7%88%B6%E3%81%A8%E3%81%AE-%E4%B8%80%E8%87%B4-%E3%81%A8%E3%81%AF/ar-AA1E3oKk?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=d437a921863b4234aea22a4d83632ef0&ei=30

 目の付け所が・・。↓

 We’re having sex inside Moby Dick! The wild architectural world of Japan’s love hotels–From cruise ships to UFOs, from King Kong to a giant whale, half the sex in Japan may take place in its dazzlingly imaginative love hotels. But have some become just too seedy? Our writer checks in・・・
https://www.theguardian.com/artanddesign/2025/may/05/japan-love-hotels-moby-dick-ufos

 母校シリーズ。
 今回は(も?)記事の内容は関係ない。
 それにしても、なんで、スタンフォード大の写真ときたら、みーんな同じ回廊の同じ場所のやつばっかしなんだよ?↓

 The U.S. welcomed Indian students. Under Trump, they fear for their future.–U.S. colleges host more than 300,000 students from India. As the Trump administrations targets foreign students for deportation, many are rethinking their plans.・・・
https://www.washingtonpost.com/world/2025/05/05/india-student-visas-revoked-trump/

 日・文カルト問題。↓

 <そういう類のこと自体が恥なんじゃなくって、韓国じゃあ、そういう類のことが多過ぎることが恥なんだし、そういう風に論点がズレ気味なことこそが恥なんだぜ。↓>
 「・・・韓国・聯合ニュースによると、韓国文化広報専門家として知られる誠信女子大学の徐ギョン徳教授が、女性のスカートの中を盗撮した疑いで逮捕された男を「国の恥」と強く批判した。・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b952620-s39-c30-d0195.html
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/05/06/2025050680004.html

 太田コラム的視点からこの論考の引用部分を批判してみよ。↓

 「・・・アメリカが世界で最もローコンテクストな国<(=KYの人ばっかしの国(太田))>であり、それからカナダとオーストラリア、オランダとドイツ、そしてイギリスと続く。・・・
 アメリカの開拓者たちは、その多くが母国の確固たる階層主義的構造から逃れてきた者たちで、スピードと個人主義に大きな比重を置いていた。アメリカの平野の西を目指す開拓者としての成功は、誰よりも早く着いて懸命に働くことが何より重要で、そのうえで大切なスピードを追求する過程でのある程度の失敗はやむを得ないと考えられるかどうかにかかっていた。
 当然の帰結として、アメリカ人はスピードが落ちるだけだとして長過ぎる議論を嫌うようになり、たとえ不十分な情報に基づくものであっても、リーダーか投票によって素早く決断を下すのを好むようになった。
 もちろん、現在のアメリカ人のビジネスパーソンたちはカリフォルニアで黄金を見つけようとしているわけでも、耕作に適した農地を探しているわけでもないが、決断はいつでも修正できるという考えのもと、個人が素早く決断することを重視する風潮は、いまでも国民的文化として色濃く残っている。
 対照的に、多くのドイツ企業は合意に基づく決断を好み、権力はCEOひとりにだけでなく、それぞれがグループの合意をとってきたシニアマネジャーたち数人にも与えられる。
 大企業には「Aufsichtstrat(監督役会)」と呼ばれるものがあり、彼らが「Vorstand(執行役会)」を選任する。執行役会は会社の方針に対する最終決定権を持っているため、会社の会長は他の多くの国に比べて遥かに力を持たない。・・・
 アメリカはリードの指標では平等主義に位置づけられているものの、決断の指標ではトップダウンの方に位置づけられている。一方、ドイツはリードの指標では階層主義的な文化として位置づけられているものの、決断の指標では合意志向に位置づけられている。・・・」
https://overseas.courrier.jp/news/392544

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <総体継受、継続中。↓>
 「「日本には二度と来たくない」中国人女性の投稿に反響=「気にしすぎ」の声も・・・香港メディアの香港01・・・」

https://www.recordchina.co.jp/b952597-s25-c30-d0052.html

<太田>

一 衣類スチーマー

 週6日使ってきたところの、パナソニックの表記の蒸気が出なくなって数日経つが、これは買ってから1年9カ月(コラム#13647)であり、1年保証が切れてからほどないこの時期にイカれるのは一番頭に来る。
 で、本日、ようやく決断して、同じ製品を、たまたま楽天で5年保証で出ていたので買った。
 先日、最寄りのコジマ/ビックカメラを覗いた折、日立の非最高級製品だけが並んでいて、日立の最高級製品を週1日使ってきたところ、保証期間中に壊れて修理してもらってからはそちらの方はピンピン状態が続いていることもあり、日立の非最高級製品、等・・但し、どれも無条件5年保証ではない・・、等、との間で迷いに迷った挙句、上述のように決断したもの。

二 生きがい

 当り前田のクラッカーやがな。↓

 「やるべき仕事や、日々の楽しみなどを指す「生きがい」。生活にハリを与える生きがいの有無は、高齢者の健康にも深く関わっているという。・・・」

https://news.yahoo.co.jp/articles/9f9f30c0e54646679db65941b0b4f72be5c1d0c0

 祝日の臨時一人題名のない音楽会です。
 昨日の続きです。

Bach Sonata for Solo Violin No.2 Ⅲ.Andante 4.43分
https://www.youtube.com/watch?v=KYp8jE5FpSc&list=RD5FDY7EVwe18&index=23

F.Waxman Carmen Fantasy 11.21分
https://www.youtube.com/watch?v=UanlnKL4kcw

Tchaikovsky Violin Concerto in D major, Op.35, 1st movement 15.21分

https://www.youtube.com/watch?v=5FDY7EVwe18

          –映画評論245:武則天(その34)–

 話では、武則天が、後の「安定思公主」を身籠った挿話が出てくる。
 「北宋に成立した『新唐書』や『資治通鑑』は、母である武照が幼い我が子を手にかけ、それを王皇后のしわざに見せかけたと記す。・・・高宗は王皇后が公主を殺したと激怒した。武照もまた泣きながら皇后の罪だと訴え、王皇后は潔白を証明することができなかったため、高宗は王皇后を廃して武照を皇后に立てた、という。ただし、『旧唐書』や『唐会要』は、公主がにわかに没したとのみ記している。則天武后に対して反乱を起こした徐敬業のために駱賓王が記した檄文「為徐敬業討武曌檄」は則天武后を批判するものであるが、この件について言及はされていない。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E5%AE%9A%E6%80%9D%E5%85%AC%E4%B8%BB
 このシリーズでは、武則天がこの高宗の子を身籠る前に、(高宗の父親の)太宗が亡くなる直前にその子を身籠っていて、王皇后が武則天を堕胎薬の合わせ技で流産させたことになっていて、太宗が自分と武則天との間の子は殺すように遺言したことになっていることと併せ、武則天が唐そのものに恨みを抱くのも不思議ではないように視聴者に思わせることに成功している。

(続く)

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太田述正コラム#14926(2025.5.6)
<渡辺信一郎『中華の成立–唐代まで』を読む(その6)>

→非公開