太田述正コラム#3245(2009.4.30)
<皆さんとディスカッション(続x472)>
<ISC>
 <コラム#3164>「ナルシストが世界不況をもたらした?(その1)」<を読み>ました。
 「イングマール・ベルグマン」ではなく、イングマール・ベルイマンです。スウェーデン語では、gはyと発音するようです。ゲルマン子音推移というのでしょうね。
 ナルシストの特徴の説明を読むと「オレのことか」と思わざるを得ません。たいていの人格障害についてもそうですが。
≫自分が特別な存在であって、例外的に知能が高い、あるいは業績がある、あるいは美しい、あるいはそのすべてであって、自分より劣った人々・・大部分の人がそうだ・・は自分に頭を下げなければならないかのように≪(コラム#3164)
 これはたいていの優れた人の特徴ではないでしょうか。こういう感覚を自分の基本として持たない人は、ひとかどのものになることはないだろうし、尊敬にも値しないように思います。
<太田>
 そのコラムの続きの#3166で、ナルシスト的人格障害者達「は無意識的に世界は常に自分達に脅威を与えていると思っている。その結果、ほんのちょっとした批判を感じ取ると、説明しがたい憤りと激しい過剰反応をする傾向がある。」とか、彼らは「自己偉大視感(grandiosity)が一層肥大し、成功するに至ったのは通常のルールを無視したおかげだという<誤った>感覚を増幅させてしまう」、また「感情的に密な人間関係にほとんど価値を認めない」を読まれて、本当に「オレのことか」と思われました?
 Ingrid Bergmanについては、おっしゃるとおりです。
 英語読みでバーグマンと我々が呼んでいるIngrid Bergman の読みに引きずられて、Ingmar Bergman をベルグマンと書いてしまいました。
<globalyst>
 –宇宙基本計画:計画案、早期警戒衛星研究盛る 安保など積極活用(毎日jp)–
 「・・・計画案によると、地球環境観測や高度情報通信、宇宙科学など9分野に分けて人工衛星の開発を推進。09~13年度に現状の2倍にあたる34基の衛星打ち上げを目指す。・・・」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090428ddm003010058000c.html
5年間で人工衛星34基!!
日本の人工衛星は、1970年2月11日に発射された「おおすみ」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8A%E3%81%99%E3%81%BF
以来、2006年12月末で119基だそうです
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E8%A1%9B%E6%98%9F#cite_ref-0
から、5年間で34基は、過去の実績と比較して、かなりの高頻度といえそうです。
 ちなみに、産経では
 「政府、早期警戒衛星の導入検討 米国依存のMD脱却」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090425/plc0904250917003-n1.htm
となっていますが、少し違うように思えます。
 毎日にある「宇宙科学など9分野」の内訳は、
A アジア等に貢献する陸域・海域観測衛星システム
B 地球環境観測・気象衛星システム
C 高度情報通信衛星システム
D 測位衛星システム
E 安全保障を目的とした衛星システム
F 宇宙科学プログラム
G 有人宇宙活動プログラム
H 宇宙太陽光発電研究開発プログラム
I 小型実証衛星プログラム
で、
特に、プログラムEの「安全保障を目的とした衛星システム」には、
・情報収集機能と警戒監視機能の強化
・安全保障分野での新たな宇宙開発利用
→情報収集衛星の拡充・強化
早期警戒機能のためのセンサの研究
電波情報収集機能の有効性確認のための電波特性についての研究
が列挙されています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/senmon/dai7/se7_siryou2-1.pdf
 この点、The U.S.-Japan Alliance
http://www.csis.org/media/csis/pubs/070216_asia2020.pdf
の「Security and Military Cooperation」の項目には
 ・・・We welcome Japan’s interest in the use of space to enhance security cooperation in the areas of communications, early warning, and intelligence・・・
という記載があり、これによれば、宇宙分野におけるアメリカの日本への期待は「通信」「早期警戒」「諜報」の分野ですから、ちゃんと「宇宙基本計画」の中に反映されていますね(プログラムC、E)。
 つまり、産経の言う「米国依存のMD脱却」ではなく
≫端的に言えば、…属国日本のソフト・パワー(経済力と技術力)と軍事力を…徹底的に用いる…だろうということです。≪(太田。コラム#3076)
ということでしょう。
 同じ話題で申し訳ありません。前のポスト
≫軍事力利用の方は、最後のSecurity and Military Cooperationの項目にあるようなことが、この先、折に触れ出て来るんでしょうネ。≪(globalyst。コラム#3185)
をフォローしてみました。
<太田>
 おっしゃるとおりですね。
 朝鮮日報もそこのところが分かっていないようです。
 「・・・早期警戒衛星導入をめぐる論議はこれまでもあったが、1基当たり5000億円という莫大な予算が必要なため、なかなか順調に進まなかった。しかし、今月初めの北朝鮮によるロケット発射以降は論議が加速化し、今回事実上決定した。日本は北朝鮮のロケット発射情報を米国から入手していた。・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20090429000015
 どうせ警戒衛星用技術の共同開発を日本にさせつつ、研究開発費の半分と、衛星/ロケット製造費用と打ち上げ費用を日本に負担させようというのが米国のねらいでしょうね。
<globalyst>
≫中共も将来は自由民主主義に転向せざるを得ないのでは。≪(けんちゃん。#3243)
 先日、全人代で呉邦国(Wu Bangguo)氏(全国人民代表大会常務委員長(議長) )
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%91%89%E9%82%A6%E5%9B%BD

China will never adopt Western-style democracy with a multi-party system…
と言ったそうです。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/7932091.stm
 中国が自由民主主義に転向するとすれば、国共産党が倒れた後でしょう。
<太田>
 ご指摘の呉邦國(国)発言については、コラム#3143で既に取り上げていますよ。
 なお、昨年の5月初めにも、呉邦國は同趣旨の発言をしています(コラム#2525「支那の体制(その1)」)。
 彼は、中共当局のホンネを語る憎まれ役を引き受けさせられているのでしょうね。
 では、記事の紹介です。
 「東京大学の・・・研究チームは英語の文法能力が高い人は脳の一部の体積が、右脳より左脳のほうが大きくなっていることを突き止めた。脳の部位と語学習得の適性が分かったのは初めて。将来は脳の大きさから語学の適性を判断し、個々の生徒にあった語学教育に生かせるという。・・・」
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090430AT1G2901429042009.html
 また、気味の悪い日本ヨイショ記事が人民網に出ました。
http://j.peopledaily.com.cn/94473/6646500.html
 現行の、国会図書館以外の公共図書館は全廃し、コピーできない形でインターネット上で貸し出すネット公共図書館にしたらどうなんですかね。
 もう一つ、極めて重要な記事が人民網に出てます。
 「・・・中日両国は世界の今後の発展に向けて、多くの智慧を提供することができる。金融危機により西欧式の発展モデルが危機を迎え、世界はさまざまな考え方が混在する時期に突入した。中日両国はいずれも極めて特色ある国だ。双方ともに独自のアジア的特色を備えている。一方は「中国の特色を備えた社会主義」であり。一方は「日本の特色を備えた資本主義」だ。このことは中日両国がいずれも西欧式モデルから学び、これを出発点としながら、独自の現代化を遂げて発展してきたことを物語る。・・・
 中日両国は潜在意識の面で米国の影響を脱するよう努め、両国関係の正常な発展に向けて米国の過度の干渉を排除するよう努めなければならない。・・・」
http://j.peopledaily.com.cn/94476/6647953.html
 (かつての国民党及び現在の共産党の)支那は欧州式モデルから学んだ民主主義独裁/資本主義国家であるのに対し、(明治維新以降の)日本はアングロサクソン式モデルから学んだ自由主義/資本主義国家である、という基本的な知識を中共の知識人達に早く教えてあげたいものです。
 一つだけ確かなのは、日本が米国から「独立」することを中共当局が熱望していることです。
 ・・・Men who drink less than half a glass of wine a day may live up to five years longer than teetotallers, and could have less chance of a heart attack, a study has found. ・・・
 Long-term wine consumers had about five years longer life expectancy at age 50 compared with non-alcohol users. Of these five years, about two years can be attributed to an effect of alcohol intake. The remaining three years can be attributed to an effect of wine consumption.” For the study, 70% of the wine consumed was red.・・・
 Although the findings are not the first to link a moderate intake of alcohol with certain health benefits, the study is the first to examine the effects of different drinks, claiming that wine is much healthier than beer or spirits. ・・・
 ・・・Research earlier this year found that drinking a small glass of wine per day increases the risk of cancer in women. ・・・
http://www.guardian.co.uk/society/2009/apr/30/alcohol-life-expectancy-live-longer
 パレスティナ・シンパの日本人写真家の個展がロンドンで開かれているようです。
http://www.guardian.co.uk/artanddesign/2009/apr/30/photography-ryuichi-hirokawa-best-shot
 ホンネとタテマエが乖離したエンゲルスの女性観と、彼のタテマエがいかに大きな影響を及ぼしたかが、彼の新しい伝記の書評で紹介されていました。
 欧州文明が(エンゲルスを通じて)ロシアとシナに及ぼした、ほとんど唯一のプラスの貢献が、女性の全般的社会参画の実現であったと言えるのではないでしょうか。
 ・・・Friedrich Engels・・・was a socialist who condemned the use of prostitutes as “the most tangible exploitation – one directly attacking the physical body – of the proletariat by the bourgeoisie”, but then regularly enjoyed their services. He demanded female equality, but couldn’t bear the company of high-minded women. Engels was the intellectual architect of socialist feminism, and an old-fashioned sexist.・・・
 ・・・there was a concerted attempt by many communist states during the 20th century to confront the economic underpinnings of inequality by bringing women into the labour force, socialising the family unit and ensuring equal access to education. Nowhere more so than in China, where “the face of Engels,” as one sociologist in the 1980s put it, “is familiar to every Chinese citizen.” From its inception, the People’s Republic of China theoretically committed itself to improving the economic rights of women.
 In the west, Engels has inspired numerous feminist socialists.・・・
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2009/apr/29/friedrich-engels-prostitution-suffrage
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太田述正コラム#3246(2009.4.30)
<女性を惹き付ける方法(おまけつき)>
→非公開