太田述正コラム#15231(2025.10.5)
<皆さんとディスカッション(続x6397)/映画評論446:沈黙の歌>

<o0hwWE9I>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

≫伊勢神宮は天皇家の神棚(神社)、宇佐神宮は日本国(ヤマト王権)の神棚(神社)。≪(コラム#15215。太田)

八幡神は、元々はローカルな神様だったのではないかと思われますし、日本書紀にも出てないように思いますね。
https://washimo-web.jp/Report/Mag-Usa.htm (☆)
https://castles.xsrv.jp/category/a/page/25/ (★)

⇒☆が典拠としている http://www.usajinguu.com/lineage/ は、「元々はローカルな神様だった」に反して「御祭神である八幡大神さまは応神天皇のご神霊で、571年(欽明天皇の時代)に初めて宇佐の地にご示顕になったといわれます。」ですし、「日本書紀・・・」については「宇佐の地は畿内や出雲と同様に早くから開けたところで、神代に比売大神が宇佐嶋にご降臨されたと『日本書紀』に記されています。」としているので、御主張は間違いでは?
 なお、☆がもう一つ典拠としている http://www.coara.or.jp/~futagoji/ は、アクセスできなくなっていました。
 次に、★の方ですが、仮に書かれていることが根拠あり、ということであれば、こちらはこちらで、むしろ、私の説を補強するものです。
 というのも、宇佐神宮に祀られているのは、「ローカルな神様」ではないのであって、「八幡神は、・・・その成立の時から、国家というものを背負って登場し<たものであるところ、具体的には、>・・・古代国家が九州の「隼人」と戦う中で神として現れたもので、その直接の契機は、和銅7年(西暦714年)、隼人側の大隈国の真っ只中(辛国城)に古代国家が豊前の国人衆を入植させたこと」だったということから、「ローカル」ならぬ「ナショナル」なものだったというのが第一点であり、その3祭神うち、1神は神功皇后であること、もう1神は応神天皇「であるとされている」こと(★)、から、この神社が、隼人征伐を熊襲征伐の再生起的なものないし延長線上のもの、と捉え、だからこそ、この征伐と関わりの深い神功皇后と応神天皇とを持ち出して創設されたと考えられる、からです。
 (熊襲征伐が三韓征伐の前に行われたとされていること、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E5%8A%9F%E7%9A%87%E5%90%8E
そして、私が、神武天皇ならぬ応神天皇による東征は三韓征伐の後に行われたとという仮説を展開していること(コラム#15215)、を思い出してください。)(太田)

 宇佐神宮が謎のように思われるのは、邪馬台国論争のせいで比売神が卑弥呼を連想させることと、九州で起こった大反乱であった隼人の乱がなぜか忘れられてしまったせいだと思います。宇佐神宮のwikiにも載ってない始末ですから。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E4%BD%90%E7%A5%9E%E5%AE%AE

⇒上で説明済みです。(太田)

 宇佐神宮は、ヤマト王権の神棚のように見えますが、元は応神天皇をヤマト王権の始祖として祀っているという訳ではなく、元々は西方鎮守の守り神としてであって(だから、寺院が山を背にせず内陸部に向いている)、聖武天皇による神仏習合、東大寺との深い結びつきによって国家の鎮守神へと拡大したのであって、伊勢神宮とは本質的に異なるように思いますね。

⇒同上です。(太田)

 宇佐神宮の成り立ちを考えると、応神天皇こそがヤマト王権の始祖であると証明するのは不可能であると思います。

⇒宇佐神宮の話は、私の応神天皇始祖論の根拠の一つに過ぎないので、宇佐神宮だけ持ち出されても困ってしまいます。
 もっとも、おかげさまで、私の説の補強材料を提供していただいた形になりましたが・・。
 それにしても、私の江戸時代史論の方の反応がありませんねえ。
 皆さんがぶつ切り日本史観に染まっているせいなのか、それとも、日本の歴史に関心がないということなのか、それとも、ひょっとして、日本に関心がないということなのか?(太田)

<qpBydiZ.>(同上)

 「高市早苗氏、初の女性総裁に 総裁選をともに戦った女性議員が目元押さえる場面も 敗れた小泉進次郎氏は同志に「ありがとう」と感謝・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/dcd8d58750afc54eb8e5b778fa56f6c873246dc4
 属国初の女性族長誕生。

⇒戦後の日本の体制は、祭祀王卑弥呼だけが存在し、政治王は空席で海の向こうの宗主国元首が日本の政治を取り仕切っている、というものであり、女性酋長誕生は、むしろ、遅きに失した感があります。(太田)

<太田>

 安倍問題/防衛費増。↓

 <皆さんご存じの通り。↓>
 「高市早苗氏が自民党総裁に決定・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/f9121fc1111d02f248e61c5cdce4b99f6dd49681
 「・・・最大の要因は、キングメーカーといわれた麻生最高顧問と、茂木前幹事長の陣営が、決選投票で塊となって高市氏を支持したことです。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/43c22cfc87c2ce6c33d5042e56822efd236f3857
 <私、全然、知らんかったわー。↓>
 「・・・84年3月 神戸大経営学部卒業<、>4月 松下政経塾に入塾<、>89年3月卒業・・・」
https://news.livedoor.com/article/detail/29708704/
 <切り捨てられる前に身を引くつもり?↓>
 「・・・公明党は「政治とカネ」、「靖国神社参拝」、「外国人政策」などについて懸念があるとして、政策協議を通じて懸念を払拭することを求めました。 政治とカネについては、与党が選挙で大敗した原因の一つに不記載の問題があるとして、「きちんとけじめをつける」ことを求めました。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/2fe9ff93c59a2a4a8487c1faf8631c43c91f49de
 <公明党にも、社民党の未来が見えている?↓>
 「福島瑞穂氏、高市新総裁は「女性初でも嬉しくない」首相就任阻止へ野党呼びかけ「公明党もぜひ」・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/d2cdb2b7552677fa87646012200db63fa3d42152
 <大きく出たねえ。↓>
 「【総裁選】「自民と維新の連立話はいったん白紙」高市早苗新総裁誕生で維新元議員が投稿・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/62daa1717b40b20175c1b6935478384c2da02dcb
 <そうそう、そうして、せめて日本文明に死装束・・スパイ防止法の制定、憲法9条二項削除の試み、・・を纏わせて葬ってちょーだい。↓>
 「高市新総裁の命運握る野党連携 側近「連立の相手は国民民主」・・・」
https://digital.asahi.com/articles/ASTB4413NTB4UTFK03DM.html?iref=comtop_7_01
 「国民民主の玉木代表「基本政策の一致点はかなりある」…高市氏との連携前向き、連立入りにも含み・・・」
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20251005-OYT1T50016/
 <卑弥呼に喩えなさい!↓>
 「「TOKYOの鉄の女」独紙が高市早苗新総裁を紹介 イタリア紙「日出ずる国のメローニ」・・・」
https://www.sankei.com/article/20251005-MG7OPWR47ZMG5FFWIAW34FCKMQ/
 <主要欧米メディアじゃあ、BBCが最も早くしかも詳しい報道をした。↓>
https://www.bbc.com/news/articles/cx2pmy7m72lo
 <記事本数じゃ、ワシントンポストがイチバン。↓>
https://www.washingtonpost.com/world/2025/10/04/sanae-takaichi-japan-prime-minister/
https://www.washingtonpost.com/world/2025/10/04/japan-takaichi-liberal-democrats-first-prime-minister/34c941a4-a0ed-11f0-af12-ae28224a8694_story.html
https://www.washingtonpost.com/world/2025/10/03/japan-ldp-ishiba-prime-minister-election/43c3e110-a0c4-11f0-af12-ae28224a8694_story.html

ウクライナ問題/ガザ戦争。↓

 <血は水よりも濃い? でも、ハンガリーはスラヴじゃないよなあ。↓>
 Populist billionaire Andrej Babiš wins Czech parliamentary election–With Babiš’s victory the Czech Republic looks set to join Hungary and Slovakia in refusing support for Ukraine・・・
https://www.theguardian.com/world/2025/oct/04/populist-billionaire-andrej-babis-wins-czech-parliamentary-election
 <エッ?↓>
 Shock in Gaza as Trump appears to welcome Hamas response to US peace plan・・・
https://www.bbc.com/news/articles/c15k199j1x3o

 妄想瘋癲老人米国。↓

 なし。

 それでは、その他の国内記事の紹介です。↓

 そうじゃないよ、という説を私は唱えているわけだ。↓

 「・・・天皇に示した態度を、徳川家に対しても貫いた。  こうして家斉および治済と対立し、それが表面化した挙句、寛政5年(1793)7月23日に、定信は将軍補佐役および老中職を罷免されてしまうのである。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/d926df62bbe478aa503c9d10e7a21edbdf42b6e1

 私は、彼が、「絶大な権力」どころか、全く「権力」など持っていなかった、という説を唱えているわけだが・・。↓

 「・・・治済が“黒幕”だったのかと問われれば、おそらく「いいえ」と答えるほかない。しかし、暗殺も策謀も仕組まなかったからといって、決して善き統治者とは言い難い。  彼は黒幕ではなかった。しかし、彼とその子家斉が統治者としての責務を放棄したことは、結果的に幕府を揺るがし命運を縮める一因となった。歴史は治済を「稀代の謀略家」としてではなく、「絶大な権力を持ちながら何もしなかった欲の亡者」として記憶するべきだろう。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/c35c6c1ddbbe57d2390ba96cfa5562e333c0d707

 かもね。↓

 「・・・江戸時代に成立した『太閤素生記』よりも、同時代の史料である『関白任官記』を優先すべきではないか、・・・。実は現在の江南市に飛保、そして村久野という地名があります。江南市は愛知県の北部、岐阜県との県境に近いエリアです。木曾川の南です。この村久野が「飛保村雲」だとすると、この地にはかつて大乗院と呼ばれた70にも及ぶ塔頭を抱える大伽藍がありました。のちに音楽寺と名をあらため、いまでは紫陽花と円空仏で知られるお寺です。この寺院都市も秀吉の出生地の可能性があります。父親は何らかの理由で名前を出せない人だったのかもしれません。秀吉の母は、やんちゃな女性だった可能性もあります。のちに秀吉母の子と称する人物が現れ、秀吉が母に問うてその人物を処刑したことまであるのです。秀吉の父は木下弥右衛門ではない可能性もあります。誰かわからないか、あるいは僧侶ということもあり得るのです。最終的な結論はさらなる研究の進展を待つとして、少なくとも秀吉出生の候補地として、江南市村久野は検討に値するのではないでしょうか。」
https://news.yahoo.co.jp/articles/c129d2f292924752ed8b8d271b8743f79dc59062

 日・文カルト問題。↓

 <確かに、トルコだってNATOに入ってはいるが・・。それよか、韓国の主要メディアって、日曜は完全お休みだっけ? 日本の高市新総裁誕生のニュースがゼロだね。↓>
 「韓日で協力して「アジア版NATO」をつくろう・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/09/29/2025092980094.html

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <総体継受、進捗中。↓>
 「日本の駅員さんの優しさに感動させられた―中国人女性・・・」

https://www.recordchina.co.jp/b961406-s25-c30-d0052.html

<太田>

 –HP新パソコン–

 結局、表記、windowsのアプリ一覧に、HP旧パソコンに入っていたアプリの大部分が表示されているだけで、そこにあるアイコンをクリックするだけでインストールされるものと、自分でウェッブから探してインストールしなければならないものがあること、中には表示されていないアプリがあること、が、判明。
 で、インストールしていく過程で、ロボフォームのインストールの際には、Googleでの二段階認証が求められ、アンドロイド・タブロイドの設定のGoogleのところに表示される数字入力を求められたりし、目を白黒させた。
 残された主要課題はThunderbird・・インストールはした・・の設定を、J:COM提供のメルアド群が表示されているところの、MSIパソコンのThunderbirdのプロファイルをコピーし、それでもってHP新パソコンのプロファイルを上書きすることだが、来週回しにした。
 ところで、HP旧パソコンにもLANポートがないことを「思い出した」が、HP新パソコンは大きいのでポートがたくさんあるのにLANポートがないので驚いたのだろう。

 で、小USBポートに差し込むLANポート・ドッキングステーション(大USBポート3個付き)を「発見」したので、HP新パソコンで使うことにした。

 
           –映画評論446:沈黙の歌–

 今回の『沈黙の歌』(L’uomo che verrà=The Man Who Will Come)は、2009年のイタリア映画で、1944年秋の、イタリアの山間の寒村におけるドイツ軍によるマルツァボット殺戮事件をベースにし、ショックにより唖状態になっている少女の眼から見たこの事件を描いた芸術映画
https://filmarks.com/movies/24841
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Man_Who_Will_Come
であり、佳作。
 なお、マルツァボット殺戮事件(Marzabotto massacre。1944年9~10月)では、ナチ親衛隊によって、パルチザン活動への見せしめ的報復目的で770~1830人の幼児を含む民間人・・神父達も含まれる・・が殺害されている。
 ちょっと腑に落ちないのは、戦後の裁判で下手人で起訴された者は多数いるけれど、死刑が現実に執行された者が一人もいないことだ。
https://en.wikipedia.org/wiki/Marzabotto_massacre
 日本兵の同種のBC級戦犯の扱いと差があり過ぎだ。

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太田述正コラム#15232(2025.10.5)
<岡本隆司『中国」の形成』を読む(その8)>

→非公開