太田述正コラム#15235(2025.10.7)
<皆さんとディスカッション(続x6399)/映画評論448:教皇選挙>

<太田>

 安倍問題/防衛費増。↓

 <全然分かっちゃないねえ。アングロサクソンの(現在ようやく終焉しつつある)世界制覇をもたらしたところの核心が軍事のための(個人主義/資本主義による)財政経済運営だったのであり、「防衛強化」と「積極財政」に何の「矛盾」もないし、「右派<と>・・・左派・・・という、本来は相容れない二つの軸」なんてのも存在せんで。
 問題は、彼女にとって、「防衛強化・憲法改正」」も「右派」も、安倍チャン同様、見せ金でしかないところにあるんだよ。↓>
 「・・・高市早苗政権の最大の特徴は、右派イデオロギーと左派的経済運営という、本来は相容れない二つの軸を大胆に同居させた点にある。防衛強化・憲法改正・経済安全保障といった保守の文法を踏襲しつつ、一方で、積極財政・賃上げ支援・中小企業救済という再分配政策を前面に出す。国家を強くしながら、同時に支える――この二重構造が高市政治の核心である。戦後日本の政治は、長く「中庸の保守」によって維持されてきた。官僚と財界の協調を基盤とし、政治が極端な理念対立を避けることで安定を保った。しかしこの「安定」はやがて「惰性」と化し、社会の構造疲労と経済の停滞をもたらした。高市政権はその惰性を打ち破るべく、あえて矛盾を抱き込み、相反する要素を同時に駆動させることで、政治のダイナミズムを取り戻そうとしている。この構造的実験を支えるのは、彼女が掲げる「責任ある積極財政」という独特の経済哲学である。それは、国家が自ら需要を創出し、雇用を守り、賃金を底上げするという発想だ。ここでの「責任」とは、放漫財政を防ぐという意味ではなく、国家が経済の未来に対して責任を負うという理念である。すなわち、国家を“支配装置”ではなく、“経済の推進装置”として再定義する思想だ。
 しかし、この路線はリスクを伴う。国家主導を強めれば市場が反発し、財政支出を拡大すれば国債の信認が揺らぐ。逆に、金融正常化を急げば景気後退の圧力が高まる。高市政権は常に、理念と現実、理性と感情の綱渡りを強いられることになるだろう。それでもなお彼女が矛盾を抱えたまま前に進むのは、「矛盾こそが構造のエネルギーである」と信じているからではないだろうか。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/953c5456f1d08391906cd1458c1705955177c6dc
 <これが本来のダメ上野女史。↓>
 「「初の女性首相の誕生、うれしくない」上野千鶴子氏、高市総裁選出に フェミニズムの重鎮・・・」
https://www.sankei.com/article/20251006-RFHCPC2JNBENPGNF2E5YUM4PE4/
 <その限りではまさにその通り。↓>
 「「女性という尺度を都合よく」自民・三谷氏 高市総裁「うれしくない」上野千鶴子氏を批判・・・
 「都合のいいときだけジェンダーギャップ指数を使い、都合が悪い時には使わない。つまり、主義主張を通すためのツールにしかみていないことになる」と指摘。「女性の首相が誕生してランキングが上がるのを望むべき人たちが、そうではないと明らかにした。『女性とはこうあるべき』『こういう女性しか女性と認めない』という偏見のようなものを植え付けようとしている。最も多様性を認めない発信だとがっかりしている。残念だ」と述べた。・・・」
https://www.sankei.com/article/20251006-65EHRQLP2ZDLTA3TW6MRV4AUZU/
 <四半世紀、遅過ぎたぜ。↓>
 「自民党の高市総裁と国民民主党の玉木代表が5日に東京都内で会談していたことが6日、明らかになった。自民の麻生太郎最高顧問と国民民主の榛葉幹事長も6日に約30分間、会談した。それぞれの会談で、自民側は連立政権の枠組み拡大も視野に、今後の連携のあり方について政策面での協議を行ったとみられる。・・・」
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20251006-OYT1T50245/

ウクライナ問題/ガザ戦争。↓

 <パレスティナ人の連帯責任。↓>
 On Oct. 7, 2023, terrorists broke into my home in Kibbutz Be’eri. My wife, Lianne, our daughters Noiya and Yahel and I hid in our safe room as the gunmen burned and murdered their way through the kibbutz. After they took me, I was seized, bound and dragged into Gaza. My first experience was not only with Hamas fighters but also with an ecstatic civilian mob — men, women, children — fighting to try to rip me limb from limb. The Hamas terrorists needed to push the mob back. I did not know my wife and daughters had already been murdered. ・・・
https://www.washingtonpost.com/opinions/2025/10/06/israeli-hostage-gaza-hamas-captivity/

 妄想瘋癲老人米国。↓

 なし。

 それでは、その他の国内記事の紹介です。↓

 もう生きてる間には、自然科学分野での日本人ノーベル賞受賞ニュースには接することができないかもって思ってたからうれしいね。↓

 <大阪大学特任教授なんだけど・・。↓>
 「ノーベル生理学・医学賞に坂口志文氏ら 京都大学名誉教授、「制御性T細胞」発見・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/a441a4f6e3d0eaf4141da15d324a0d4582a95500
 <出た。↓>
 「阪大悲願のノーベル賞受賞者 「世界トップの坂口先生を呼ばないと」・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E9%98%AA%E5%A4%A7%E6%82%B2%E9%A1%98%E3%81%AE%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E8%B3%9E%E5%8F%97%E8%B3%9E%E8%80%85-%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%81%AE%E5%9D%82%E5%8F%A3%E5%85%88%E7%94%9F%E3%82%92%E5%91%BC%E3%81%B0%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A8/ar-AA1NWU93?ocid=msedgntp&cvid=68e439686de04be7b1c448ce77d4e204&ei=10
 <松平定信やねー。↓>
 「・・・国語の知識も豊富だったという坂口さん。「樋口一葉の『たけくらべ』の授業でも、彼は所蔵する文学全集で周辺作品まで全部読み、深いところまで理解した上で議論する。全くかなわなかった」。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/ba426c3ba46a06383fe901da857871cbd24854ac
 「・・・中学時代は美術部に所属し、絵描きになるのが夢だった。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/974f01180d938402030bb2f6a265147ab373ccb8
 <後の研究生活を暗示するような・・。↓>
 「・・・1年間の浪人生活の後、京都大医学部に進学・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/e16bf4596d0f0cd3d9a1fdb5e65813487a4b6d7e
 <なるほど。↓>
 「ノーベル賞の坂口志文、「眉唾」と言われても研究貫く…現役で京大不合格も予備校行かず宅浪で成果・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/303f29d34b9527bc8513db0f4f8b56946559cd49
 <うらやましいね。↓>
 「同じ研究室で活動の妻と二人三脚で大発見 ノーベル生理学・医学賞の坂口志文さん・・・」
https://www.iza.ne.jp/article/20251006-Y74NIDX7XNJJDGGC5DFF2CIU6U/?utm_source=yahoo%20news%20feed&utm_medium=referral&utm_campaign=related_link
 <京都に自宅があるみたいだし・・。↓>
 「坂口志文氏のノーベル生理学・医学賞受賞を縁の京都で首長が祝福「快挙を府民と喜びたい」・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/cc2fe2cd44986db789a32220850ec108333856cb
 <日比谷高校はまだマシだったっちゅうことね:母校シリーズ。↓>
 「・・・「大学は圧倒的に東大・京大だが…」ノーベル賞受賞者28人のほとんどが“地方の公立高校”出身である理由 なぜ東京の高校から“圧倒的才能”が輩出されないのか・・・
 東京の高校出身でノーベル賞を受賞したのは、日比谷高校卒の利根川進氏(生理学・医学賞、1987年)ただ1人。私立高校出身の受賞者もまれで、旧制同志社中学校(現・同志社中学校・高等学校)を経て旧制三高を卒業した江崎玲於奈氏(物理学賞、1973年)と、灘中・高卒の野依良治氏(化学賞、2001年)の2人だけである。・・・」
 日本のノーベル賞第1号(湯川秀樹氏。物理学賞、1949年)と第2号(朝永振一郎氏。物理学賞、1965年)を立て続けに出したのが、京都の洛北高校である。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/4058cd8381b239d2bf03f010f63df24ff0726549

 日・文カルト問題。↓

 <朝鮮日報の高市報道スルー続く。だけじゃなく、中央日報以外は、このニュースまでスルー。むしろ、韓国はよりオカシクなってる? いや、正常になりつつある?↓>
 「日本、30例目のノーベル賞受賞…大阪大学教授が生理学・医学賞・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/339476
 <だから、こういうマイナーなメディアまでかき集めざるをえないワケ。↓>
 「日本初の女性首相誕生へ…日韓関係はどうなる?・・・韓国メディア・オーマイニュース・・・=韓国ネット「確実に冷え込む」・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b961633-s39-c10-d0035.html

 この程度の話がどうして問題に?
 インドはムツカシー。↓

 ・・・Dismissing a plea to reconstruct a seven-foot idol of Lord Vishnu at a temple in Madhya Pradesh state last month, the chief justice had said: “This is purely publicity interest litigation… Go and ask the deity himself to do something.”・・・
https://www.bbc.com/news/articles/c80g4d5epm8o

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <総体継受、進捗中。↓>
 「中国のSNS・小紅書(RED)に・・・、「日本で見知らぬ人の善意に本当に感動してしまった」との投稿があり、反響を呼んだ。
 投稿者の女性は、「今日は雨が降ったけど、ちょうど傘を持っていなかった。バスに乗ろうと列に並んでいたところ、急に雨が強くなってきた。列に並んでいる人で私だけが傘を持っていなくて、バスの到着も少し遅れていた」とした。
 そして、「少し気まずくなっていたら、ほどなくして頭上に傘が現れた。振り返ると後ろの日本人のお姉さん(35歳くらい)が私に自分の傘をさしかけてくれていた。彼女の旦那さんが、彼女と一緒に傘に入っていた」と振り返った。
 女性は、「本当に感動した。私がつたない日本語で彼女に丁寧にお礼を言うと、彼女は笑顔で『どういたしまして』と言った。本当に心が温まった」とつづっている。・・・
https://www.recordchina.co.jp/b961629-s25-c30-d0052.html
 <日中交流人士モノ。↓>
 「天安門の八つの巨大な宮灯は日本人が設計した・・・香港ニュースポータルの香港01・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b961607-s25-c10-d0192.html
 <面白い説だが、いずれにせよ、遠因は杉山元らが設計したところの仕掛けを習ちゃんらが使って反中感情を掻き立ててるってことさ。狙いは、欧米に黄禍論を再来させないところにあるのよね。↓>
 「香港メディアの香港01は・・・、「なぜ2008年が日本人の『反中』の起点なのか」との論評文を掲載した。著者は思哲研究所の李冠儒氏。・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b961626-s25-c10-d0052.html
 <これも、根源には、習ちゃんらの「日本文明総体継受」政策があるのだよ。↓>
 「中国が国慶節(建国記念日)の連休を迎える中、SNS・小紅書(RED)では「日本が中国人に占領された」といった投稿が相次いでいる。・・・」

https://www.recordchina.co.jp/b961628-s25-c30-d0052.html

 
          –映画評論448:教皇選挙–

 今回の「『教皇選挙』(・・・Conclave)は、2024年制作の<米英>ミステリー映画」で、主役のローマ教皇庁首席枢機卿は、レイフ・ファインズが演じる」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%99%E7%9A%87%E9%81%B8%E6%8C%99_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
というものだが、傑作。
 ファインズは、既紹介(コラム#14751)。
 ご案内のように、枢機卿もそうであるところの、神「父」、という名称が象徴しているように、バチカンは男の世界であり、・・ネタバレで言うと、だからこそ、それが、エンディングの近くで大問題になりかける・・女性は端役でしか登場せず、従って、美女とは無縁の映画だ。
 但し、7分しか登場しない「端役」ながら、「選挙中の枢機卿達が滞在する「聖マルタの家」の管理を務める修道女」(上掲)役を演じるイザベラ・ロッセリーニ(Isabella Rossellini。1952年~)は、知る人ぞ知る、「父親は映画監督のロベルト・ロッセリーニ、母親はスウェーデン出身の女優イングリッド・バーグマン<で、伊・米二重国籍者>」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%99%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%BB%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8B
というサラブレッドであり、若い頃は超絶美女だった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%99%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%BB%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8B#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Isab

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太田述正コラム#15236(2025.10.7)
<岡本隆司『中国」の形成』を読む(その10)>

→非公開