太田述正コラム#15333(2025.11.25)
<皆さんとディスカッション(続x6446)/映画評論497:ブレードランナー ファイナル・カット>
<太田>
安倍問題/防衛費増。↓
<下僚達の言動は受け流してりゃよろしい。↓>
「独断専行か、理性への回帰か――選択を迫られる日本・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2025/1124/c94474-20394422.html
「王毅氏「日本は過ちを押し通さず、早急に反省し改めるべき」・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2025/1124/c94474-20394173.html
「日本が中国台湾の近隣諸島に中距離ミサイル配備、外交部「強く警戒」・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2025/1124/c94474-20394383.html
「中国の国連大使が国連事務総長に書簡、高市早苗首相の中国関連の誤った言動に立場表明・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2025/1124/c94474-20394317.html
「外交部「中日韓サミット開催の条件が整っていない」
http://j.people.com.cn/n3/2025/1124/c94474-20394374.html
「中国と日本を結ぶ国際線のうち12路線が完全運休へ・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2025/1124/c94476-20394251.html
<モチ、台湾は的確に認識をしている。↓>
「台湾「日本が防衛との解釈は困難」 高市総理の答弁受けて台湾外交部が議会に分析・・・・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/entertainment/%E5%8F%B0%E6%B9%BE-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%8C%E9%98%B2%E8%A1%9B%E3%81%A8%E3%81%AE%E8%A7%A3%E9%87%88%E3%81%AF%E5%9B%B0%E9%9B%A3-%E9%AB%98%E5%B8%82%E7%B7%8F%E7%90%86%E3%81%AE%E7%AD%94%E5%BC%81%E5%8F%97%E3%81%91%E3%81%A6%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E5%A4%96%E4%BA%A4%E9%83%A8%E3%81%8C%E8%AD%B0%E4%BC%9A%E3%81%AB%E5%88%86%E6%9E%90/vi-A
<※で批判した箇所を除き、概ねその通り。
当然、習ちゃんも同じ認識さ。↓>
「・・・高市首相は、台湾周辺で中国軍が海上封鎖を行った場合について、「戦艦を使って武力の行使を伴うものであれば、どう考えても『存立危機事態』になり得る」と断言した。
<ここ、これまで主要メディアじゃあ報じてなかったのでは?
今まで私は、当然そういう前提だろうと踏んで本件を取り上げてきたので正解だったわけだが・・。↓>
さらに、「米軍が来援し、それを防ぐために武力行使が行われる」というシナリオまで具体的に語ってみせた。・・・
<サナエ女史は「愛国的態度」はとっているがウソで実は国賊なので、「敬意を表し」ちゃあいけませんや。(※)
(ついでに言えば、サナエ女史は、要は、(国賊であることもさることながら、)アタマが悪いガリ勉だもんで、前に役人から聞かされたことがあるところの、存立危機事態の一シナリオ、をそのまんま得意げにしゃべっちまったのよね。)↓>
これは単なる失言ではない。国家運営がバグを起こしている証拠である。なぜこの発言がそれほどまでに致命的なのか、高市首相の愛国的態度には敬意を表している私ではあるが、・・・
「存立危機事態」とは、かなりマージナルな特殊な事態だ。集団的自衛権の行使の可能性をなんとかこじ開けようと、相当無理して創った概念であり、以下の厳格な定義が与えられている。
(1)我が国と密接な関係にある「他国」に対する武力攻撃が発生
(2)これにより我が国の存立が脅かされ
(3)国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態。
集団的自衛権の行使は、これらの条件を満たした場合のみ国内法的に整合的となる。特に重要なのは(1)だ。
高市首相は、この伝家の宝刀をあまりに軽々しく抜いてしまった。ここで論理的な詰み(デッドロック)が発生する。
もし首相の言う通り「米軍が来ない」状況で台湾有事が起きたらどうするのか。トランプ政権が介入を拒否した場合だ。それでも日本が「存立危機事態だ」と言って自衛隊を出すなら、日本は「台湾という『国』」を守るために戦うことになる。
<ここはビミョーであり、台湾と国交を結んでいないという形で事実上、台湾を「国」と認めていない形だが、国際法上の「国」でないとまではしていない。↓>
ここで思い出さなければならないのは、日本政府は公式には台湾を「国」として認めていないという現実である。
<そんなことをサナエ女史はやるつもりは毛頭ないので、意味がない指摘だ。↓>
もし「台湾という他国を守るために自衛隊を出す」という理屈を立ててしまえば、その瞬間に日本は「一つの中国」という日中関係の土台を自ら破壊することになる。それは中国との国交断絶、あるいは全面戦争を意味する。
<前段だけが意味ある指摘だ。↓>
「米軍が来る前提」ならアメリカに迷惑をかけ、「米軍が来ない前提」なら中国との関係が崩壊する。高市首相の発言は、どちらに転んでも日本が行き詰まるような、あまりにも浅はかな想定に基づいているのである。法律の条文が持つ意味の重さを、全く理解していないと言わざるを得ない。・・・」
https://news.livedoor.com/article/detail/30057452/
<まさにその通りではあるのだが・・。↓>
「「一つの中国」日本は認めている? 解釈の違い、日中対立の根底に・・・」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA213OR0R21C25A1000000/
<トラに怒られたっぽいサナエ女史。↓>
「高市早苗首相、トランプ米大統領と電話協議・・・
電話はトランプ氏からの申し入れだった。・・・
首相はトランプ氏と台湾問題についてやりとりしたか言及を避けた。「会談内容は外交上のやりとりなので詳細は差し控える」と答えた。・・・」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA250Z00V21C25A1000000/
<だって、トラは、力のある者にはチェンバレンになっちまうんだからさあ。↓>
「米中「極めて強固」トランプ氏 SNSで会談発表も台湾に言及せず 習氏の国賓訪米発表・・・」
https://www.sankei.com/article/20251125-6OATM5LTV5NW7FUYHTEPLVKBYY/
<習ちゃんに、台湾問題でさんざカミつかれたようで・・。↓>
Xi Presses Trump on Taiwan as They Agree to Meet in China in April・・・
https://www.nytimes.com/2025/11/24/business/economy/trump-xi-meeting-china.html
<このタイトルの認識は完全に誤り。
サナエ女史には、日本の、米国から中共への宗主国移行が既に進行中であることの認識が完全に欠如してるってこと。↓>
「高市発言」への過剰反応で見えた中国の焦り、無謀な台湾軍事侵攻・・・
2023年1月に米シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)が公表した、台湾侵攻シミュレーションの悲惨な結果が、世界中に衝撃を与えた。
<むしろ、既に3年近く前の分析で、台湾を巡る戦争において米中の死者数で前者が上回るとされた読めることに衝撃を受けなくっちゃ。米中間の地域軍事バランスはその後も刻刻後者に更に有利に傾きつつある。そんな戦争に米国は絶対に乗出さないさ。↓>
全24のシナリオからなり、そのほぼ全てで中国が台湾占領に失敗するとの判定だったが、驚きは推定された米中両軍の損害の大きさだ。
全シナリオを平均すると、アメリカは空母2隻、水上戦闘艦7~20隻以上、潜水艦(原子力潜水艦)4隻、航空機90~774機、死者・行方不明者約1万人と推計。中国は空母、強襲揚陸艦の大半を含む艦船138隻、航空機155~327機、死傷者(海上・地上含む)1万4500人とはじき出した。
台湾は航空機の半数と主要艦船のほぼ全部を喪失、日本は中国から攻撃を受けて参戦すると仮定し、航空機121~161機、艦船26隻を失うと推測している。・・・
<この場合だって、米国が、日本以外から、非戦略核を搭載した米軍機を出撃させて、中共軍の上陸部隊を攻撃する可能性が排除できない以上、中共は台湾占領を試みることまでは考えにくいのであって、要するに、中共が軍事的に勝利することは、ほぼありえない。
しかし、逆に言えば、この場合は、中共側は本土がほぼ無傷で台湾に壊滅的被害を与えることが可能であって、中共は政治的に勝利することができよう。
つまり、私見では、中共は、既に、台湾を屈服させることができる状態だと言える。↓>
1つのシナリオだけが辛うじて中国軍が台湾制圧に成功すると判定されたが、その設定は「日本は不介入で、在日米軍基地も台湾介入の米軍に使わせない」ことだった。・・・」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/91849?page=2
<とばっちり。↓>
「・・・朝鮮日報は「高市早苗首相の台湾発言以来、深まっている日本と中国の対立が芸能界にも急速に広がっている」と伝えた。
記事は香港・中国メディアの報道を引用。日本のボーイズグループ「JO1」が28日に広州で開催予定だったファンイベントが突然、中止になったことを紹介しているほか、中国人メンバーのニンニンが所属するガールズグループ「aespa」に、この問題が「飛び火した」と詳しく伝えている。
aespaは大晦日の「第76回NHK紅白歌合戦」出場が決まったが、出場停止を求めるオンライン署名活動が行われ、19日の時点で7万筆を超える賛同が集まったという。ニンニンは2022年、SNSに「きのこ雲」を思わせる形の卓上ランプの写真を投稿したことで批判を受けていたが、「日中対立のあおりで騒動が再燃した」と記事は説明している。
香港紙・星島日報は「aespaは緊張状態にある中日外交の最大の被害者に浮上した」「aespaが予定どおりステージに立てるかが、中日関係の緊張度を測る風向計となる」などと伝えているという。・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b964656-s39-c30-d0195.html
ウクライナ問題/ガザ戦争。↓
<そう言うしかないカワイソーなゼレンスキー。↓>
「ゼレンスキー氏「和平案修正された」 対米協議に満足感 28項目→19項目に減少と報・・・」
https://www.sankei.com/article/20251125-OOXREFJSC5PYTFAIDUUTMXNL3Q/
<で、結局、トラ・チェンバレンの基本的ラインで、ウクライナ、屈服へ?↓>
Updated peace plan could be a deal Ukraine will take – eventually・・・
https://www.bbc.com/news/articles/cn4d27dx80no
<やっぱ、記録に残しておくことにした。
トラは弱い者には直接、間接、軍事力で言うことをきかせるのよね。↓>
Israel kills top Hezbollah official in first attack on Beirut in months・・・
A Western diplomatic official, who spoke on condition of anonymity, told the BBC the・・・Lebanese・・・authorities are under pressure from the Trump administration, which is growing impatient with what they see as the slow progress against the group, considered a terrorist organisation by countries including the US and UK.・・・
https://www.bbc.com/news/articles/cn81j54xjx1o
妄想瘋癲老人米国。↓
<そりゃそうだが、トラの米国の根本的問題はそんなところにはないで。↓>
Japan’s approach to aging, debt-ridden decline is no model for the U.S.–America urgently needs entitlement reform and economic growth, not Japanese-style debt risk.・・・
https://www.washingtonpost.com/opinions/2025/11/24/japan-demographics-economy-debt-united-states/
それでは、その他の国内記事の紹介です。↓
少なくとも原理主義的イスラム教徒の一定部分の日本永住化を回避できているというのに、どうぞいらっしゃいってことになっちまうぞー。↓
「大分県日出(ひじ)町のイスラム教大規模土葬墓地計画に関連し、町に隣接する杵築(きつき)市の自民党市議団が国に対し、「日本全国で国が責任を持ち、複数の地域に土葬対応可能な墓地を確保・整備すること」などと求める異例の要望書を提出した。要望活動には地元選出の岩屋毅前外相が尽力したという。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/5495db3e3739f709ebca76294016bcd83a842d3d
「「ある意味さすが」参政・梅村みずほ氏 イスラム土葬墓地整備要望に岩屋毅前外相が尽力・・・」
https://www.sankei.com/article/20251125-JOTNPERBXBEINDSIOY5N6ZGRBU/
後の2人は?↓
「ドジャース大谷翔平がWBC出場表明 「日本を代表してプレーできることをうれしく思う」・・・」
https://www.sankei.com/article/20251125-U4RKFARDFFOPJAVQAN7VTHHQBE/
「一週間限定」?!↓
「映画「国宝」が米国でも 吉沢亮さんと李監督がNYで登場、拍手喝采・・・
米国では今月、ロサンゼルスでは14日から、ニューヨークでは21日から、現地の映画館でそれぞれ1週間限定で公開されている。」
https://digital.asahi.com/articles/ASTCS0SPRTCSUHBI006M.html?iref=comtop_Culture_04
日・文カルト問題。↓
<ゲップ。ご愛顧に感謝。↓>
「今年の韓国観客動員数1位『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』、全世界興行収入も日本歴代1位–日中確執の渦中で中国でも1位–歴代の北米公開海外映画でも1位・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/11/24/2025112480031.html
<日韓交流人士モノ。↓>
「韓国首相 日韓協力委の代表団と面会=「民間レベルの交流も重要」・・・」
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20251124001000882?section=japan-relationship/index
<片面的日韓交流人士モノ。↓>
「戦禍を逃れ日本へ渡ったウクライナ出身力士、相撲大会で初優勝・・・」
https://www.donga.com/jp/article/all/20251125/5979520/1
中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓
<やっぱ、中共に人口減少くいとめ兆候、だわ。↓>
「中国メディアの環球時報は・・・、「中国で結婚ブーム、ナイトクラブでの結婚式が認められる」とする英フィナンシャル・タイムズの記事を紹介した。・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b964766-s25-c30-d0192.html
<太田>
–Copilot–
昨日、Copilotで英→日翻訳をやらせてみたところ、出来がいいのにいささか驚いた。
そこで、次のオフ会「講演」原稿では、英文引用部分をCopilot翻訳したものを使うことにした。
但し、通常のコラムに関しては、当面、英語・・印欧語のGoogle英訳を含む・・の部分は、そのままにするつもりだ。
現在以上に「執筆」時間をかけたくないのと、読者が、必要に応じ、自分で(Edge標準装備の)Copilot翻訳してくれることに期待し・・。
–映画評論497:ブレードランナー ファイナル・カット–
『ブレードランナー』(Blade Runner)については、様々なバージョンがある中の、最新のかつ最も権威あるバージョンが表記の今回のだ。
https://en.wikipedia.org/wiki/Versions_of_Blade_Runner
1982年の国際版ってのをかつてケーブルTVで観たことがある気がするが、完璧に中身を忘れていて大変楽しめはした。
その1982年版の紹介からだが、「<米>SF映画。監督はリドリー・スコット、出演はハリソン・フォード、ルトガー・ハウアー、ショーン・ヤングなど<で、>フィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を原作としている」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%BC
もの。
未来のロサンゼルスが舞台だというのだが、日本人街と思しきところから流れてくるメロディがなんともはや、背筋がこそばゆくなるオリエンタリズム的な代物なのがなんとも鼻についた。
助演女優のヤング(Sean Young。1959年~)は、無学のこの映画当時はクールビューティだったところの、破滅型お騒がせ米女優、で、現在の容貌はもはや見る影もない。
https://en.wikipedia.org/wiki/Sean_Young
原作者のディック(Philip Kindred Dick。1928~1982年)は、「カリフォルニア大学バークレー校に進学してドイツ語を専攻したが、ROTCに参加するのが嫌で中退した・・・米SF作家<で、>・・・<そ>の小説は社会学的・政治的・形而上学的テーマを探究し、独占企業や独裁的政府や変性意識状態がよく登場する。後期の作品では、形而上学と神学への個人的興味を反映したテーマに集中している。しばしば個人的体験を作品に取り入れ、薬物乱用や偏執病・統合失調症や神秘体験が『暗闇のスキャナー』や『ヴァリス』といった作品に反映されている。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BBK%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF
という人物だ。
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太田述正コラム#15334(2025.11.25)
<Morris, Marc『The Anglo-Saxons: A History of the Beginnings of England』を読む(その25)>
→非公開