太田述正コラム#3801(2010.1.31)
<皆さんとディスカッション(続x730)>
<ΒΒλλ>(「たった一人の反乱」より)
http://www.mbs.jp/news/jnn_4343825_zen.shtml
 アメリカは回復してきてるな。オバマは雇用減税もすることだし失業率も回復する。
 なぁ、なんでアメリカはこんなにすごいんだ?
 『アバター』見たか?あの映像技術は世界の十年先に言ってる。
 ipadを見たか?Appleは最早商品デザインを介して、生活デザインにすら手を伸ばしてる。
 それに比べて日本は駄目だ。トヨタはリコールが大規模展開されてる。
 これが陰謀だろうと、下請けいじめが過ぎた結果であろうと、もう日本企業に生活デザインを根本から変革させる様な哲学はない。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100130ATGM3001B30012010.html
 中国とアメリカが決定的な対立をすることは避けられそうもない。
 日本はいつか中国とアメリカのどちらを選ぶか迫られるだろう。
 その時はアメリカを選んでほしい。中国企業には哲学がない。得るものが何もない。
 アメリカこそ日本が超えるべき好敵手であり、先生なのだ。
<ΒλλΒ>(同上)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100130-00000191-yom-pol
 太田さんの言うとおりでしたね。鳩山はガンジーをよく分かってなかったみたい。
 労働なき富に自分が当てはまると自覚しながら、ガンジーは間違ってないから大丈夫。なんて言ってます。
 おいおい。自分の語る社会悪に自分を含ませてることを恥じ入る精神ぐらいは持てよ。全く。
<太田>
 ガンジーは耳障りの良いことも言ったかもしれないけど、下掲のようなひでえピンボケ発言も少なくない。
I do not consider Hitler to be as bad as he is depicted. ・・・
I want you to fight Nazism without arms or … with non-violent arms. ・・・
Hitler killed five million Jews. It is the greatest crime of our time. But the Jews should have offered themselves to the butcher’s knife. They should have thrown themselves into the sea from cliffs.・・・
The materialism of affluent Christian countries appears to contradict the claims of Jesus Christ that says it’s not possible to worship both Mammon(富の神) and God at the same time. ・・・
http://en.wikiquote.org/wiki/Mohandas_Karamchand_Gandhi
 しかし、これらピンボケ発言は、その耳障りの良い発言の論理的帰結でもあるんだな。
 要するにガンジーは宗教家なのであって政治家ではない。
 もちろん、インドの独立にガンジーはほとんど何の貢献もしていない。
 鳩山首相は、政治家なのだから、宗教家の言などを施政方針演説で引用して欲しくなかった。
 いわんや、自分が良くも知らない宗教家の言などを引用すべきではなかった。
 蛇足だけど、稀代の悪人であるヒットラーの『我が闘争』
http://www.crusader.net/texts/mk/
からだって、目を皿にして探し回りゃ、ガンジー並みの耳障りの良いことが記されてる箇所、発見できるんじゃないかなあ。
 誰か、ヒマのある人、邦訳をもとに調べてみたら?
<midshipman>
 過去のコラムを読んでいたのですが、以下の点がきになりましたので質問します。
≫海上自衛隊は、発足以来、船団護衛…という、海上自衛隊にとっての最重要任務につき、根本的疑問が投げかけられ続けてきたこともあり、自らの権限擁護に熱心であるが、新規施策等に対する関心が 極めて高い。但し、このことが、今や、皮肉にも、防衛庁としての総合的施策推進に当たっての阻害要因の一つとなっている。≪(太田コラム#3430)
 なぜ、阻害要因になるのですか?
 海自は、その設立以来の歴史から、防衛省に「入ってやっている」感があり、省内において唯我独尊的だからでしょうか?
<太田>
 その箇所は、よけいな論議を引き起こさないために、分かる人間だけが分かりゃいい、というつもりであえてぼかして書いたのではなかったかな。
 あらあらの言い方をすれば、航空自衛隊と陸上自衛隊は守りにも使えますが、海上自衛隊は攻撃にしか使えません。
 (空母や揚陸艦(、後にはこれに原子力潜水艦が加わった)がなきゃ、本当の意味での攻撃力たりえないわけですが、それらの取得は見果てぬ夢として、海上自衛隊の幹部達の心の奥深く抱かれ続けました。)
 これに加えて、戦後、日本列島は守る必要が一貫してなかったというのに、戦後の日本は吉田ドクトリンの下、いわゆる専守防衛に徹してきたわけです。
 そうなると、海上自衛隊の存在意義は、二重の意味でないことになります。
 だから、海上自衛隊は、内局に対してはもちろんのこと、航空自衛隊や陸上自衛隊に対しても警戒をし、内に閉じこもらざるをえなくなっても不思議ではありません。
 実際海上自衛隊はそうして来たのです。
 その代わり、海上自衛隊は米海軍とは胸襟を開いて語り合えました。
 そして米海軍を通じて、(そしてもちろん旧海軍の伝統も受け継ぎ、)軍事のグローバルスタンダードに接し、そのことをもって自らをなぐさめてきたのです。
 これでもまだ腑に落ちなかったら、改めて質問をしてください。
<Chase>
 Nobumasa Ohtaでぐぐった出てきたものを記します。
 (既にご確認と思いますが・・・。)
(Spiegel)1982
http://www.spiegel.de/spiegel/print/d-14333881.html
ポイント:読めないが、日本から学ぶべきものはあるか?論の中で、太田氏等の「日本型経済体制論」を引用。
→私がフォーリン・プレス・センターでやった講演の取材を踏まえたものでしょうね。(太田)
(JSTOR)1988
http://www.jstor.org/pss/2644589
ポイント:読めないが、humanisticな日本の企業システム論の中で、太田氏等の「日本型経済体制論」を引用。
(informaworld)1999
http://www.informaworld.com/smpp/content~content=a778631656&db=all
ポイント:読めないが、[Political economy of Korean and Japanese foreign direct investment]の中で、太田氏等の「日本型経済体制論」を引用。
→この二つは面白そうですね。(太田)
(New York Times) July 29, 1999
http://www.nytimes.com/1999/07/29/news/29iht-japan.1.t.html?pagewanted=1
(NAPSNet Daily Report)july 27, 1999
http://www.nautilus.org/archives/napsnet/dr/9907/JUL27.html
(nucnews.net)1999
http://nucnews.net/nucnews/1999nn/9908nn/990802nn/990802nn.07.asia.japan.korea.htm
ポイント:北朝鮮の脅威に対する日本の対応について
→これの私との関係は?(太田)
(IIST WORLD FORUM)july 16, 2001
http://www.iist.or.jp/wf/magazine/0351/0351_E.html
ポイント:軍事とアングロサクソン
→これは、私の同誌への寄稿の英訳です。(太田)
(JSTOR)2006
http://www.jstor.org/pss/4497216
ポイント:読めないが、”日本はHNSを止めるべきである”と訴えている。
→これの私との関係は?
(Cinematical)Jan 28, 2007
http://www.cinematical.com/2007/01/28/sundance-review-nanking/2
ポイント:日本人のコメント:南京事件の反論の文脈で、大戦中の日本は民主主義だったことを援用。
→これも面白そうですね。(太田)
(The Japan Times)Nov. 21, 2007
http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/nn20071121a6.html
ポイント:額賀の口利き問題
→これは、当時の国内マスコミの報道の一つ以上のものではないでしょうね。(太田)
(Department of Political and Security Council Affairs United Nations Centre for Disarmament
Report of the Secretary-General)
http://www.un.org/disarmament/HomePage/ODAPublications/DisarmamentStudySeries/PDF/SS-7.pdf
ポイント:報告書”Comprehensive Study on Confidence-building Measures United Nations”に協力した専門家として
→こりゃなつかしい話ですねえ。(太田)
<Chase>
 ご質問の件ですが、以下に記します。
1.
http://nucnews.net/nucnews/1999nn/9908nn/990802nn/990802nn.07.asia.japan.korea.htm
ポイント:北朝鮮の脅威に対する日本の対応について
→Nobumasa Otaでの発言引用が文中にありました。
 At nearly 500 pages, this year’s report was the longest ever issued — the result of a spate of incidents that have strained ties between Japan and some of its Asian neighbors, said the agency’s deputy director general, Nobumasa Ota.
 “Japan has never seen itself as being under a military threat,” Ota said. But he added that, “militarily speaking, North Korea is attracting our utmost attention right now.”
2.
(JSTOR)2006
http://www.jstor.org/pss/4497216
ポイント:読めないが、”日本はHNSを止めるべきである”と訴えている。
→サイトではわかりませんが、googleでの検索結果一覧の頁の箇所
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&lr=&q=Nobumasa+Ohta&start=10&sa=N
に、
Japan’s Host Nation Support Program for the U.S.-Japan Security … – 2 回閲覧 – 17:18 –
ment should end the HNS.25 Nobumasa Ohta, a former senior official of the Japan … Nobumasa Ohta, Boeicho Saisei Sengen [Declaration to rebirth the Defense Agency] (Tokyo: Nihon Hyoron sha, July 2001), pp. 78-79. …
www.jstor.org/stable/4497216 –
と記されていました。検索では本の中身のkeywordも検索していると思われます。出だしは、Japanese Governmentと思われます。
<太田>
 どうもありがとうございました。
 それでは、記事の紹介です。
 小沢の土建業選挙のやり方からして、こんなことは、当時からミエミエだった。
 なんで、こういう記事が当時出ないの?
 そして、なんで、当時小沢の金銭不祥事を暴こうとするジャーナリズムが皆無だったの?
 日本のジャーナリズムの闇は余りにも深い。↓
 「・・・小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る事件に絡み、98年の参院選で小沢氏<(当時自由党党首)>の事務所が大手ゼネコンなど土建業者計60社 から約15万人分の名簿の提出を受け、選挙運動にフル活用していた実態が、毎日新聞の入手した内部資料で判明した。重点選挙区では各社社員らに選挙を手伝 わせ、その人数や日数を小沢事務所が管理して「貢献度」を競わせており、こうしたスタイルの選挙は05年12月に業界が談合決別宣言するまで続いた・・・」
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100128k0000m040134000c.html
 イランの核施設を攻撃するための準備が米軍によって大車輪で続けられているとしか見えませんねえ。↓
 ・・・The Obama administration is accelerating the deployment of new defenses against possible Iranian missile attacks in the Persian Gulf, placing special ships off the Iranian coast and antimissile systems in at least four Arab countries・・・
 ・・・the countries that accepted the defense systems were Qatar, the United Arab Emirates, Bahrain and Kuwait. ・・・“eight Patriot missile batteries, two in each of four countries.”・・・
 Saudi Arabia and Israel have long had similar equipment of their own.・・・
 ・・・the United States was now keeping Aegis cruisers on patrol in the Persian Gulf at all times. ・・・
 Gulf countries are also taking steps of their own to harden their defenses. Saudi Arabia and the United Arab Emirates have bought more than $15 billion in American arms in the past two years, including missile defense systems. The United States is helping support a plan by Saudi Arabia to triple the size, to 30,000 people, of a Saudi force that protects the kingdom’s ports, oil facilities and water-desalinization plants・・・
http://www.nytimes.com/2010/01/31/world/middleeast/31missile.html?hp=&pagewanted=print 
 米国で医療保険改革がまたもや頓挫しかかっていることに関し、どうして米国の有権者達、とりわけ貧しい有権者達が自分達のためになる改革に反対するのか、追求がなされています。
 私に言わせれば、平均的米国人のレベルが想像を絶するほど低い、ということではないでしょうか。↓
 ・・・it is striking that the people who most dislike the whole idea of healthcare reform – the ones who think it is socialist, godless, a step on the road to a police state – are often the ones it seems designed to help.
 In Texas, where barely two-thirds of the population have full health insurance and over a fifth of all children have no cover at all, opposition to the legislation is currently running at 87%. ・・・
 It might be tempting to put the whole thing down to what the historian Richard Hofstadter back in the 1960s called “the paranoid style” of American politics, in which God, guns and race get mixed into a toxic stew of resentment at anything coming out of Washington.
 But that would be a mistake.
 If people vote against their own interests, it is not because they do not understand what is in their interest or have not yet had it properly explained to them.
 They do it because they resent having their interests decided for them by politicians who think they know best. ・・・
 ・・・stories always trump statistics, which means the politician with the best stories is going to win: “One of the fallacies that politicians often have on the Left is that things are obvious, when they are not obvious.
“Obama’s administration made a tremendous mistake by not immediately branding the economic collapse that we had just had as the Republicans’ Depression, caused by the Bush administration’s ideology of unregulated greed. The result is that now people blame him.” ・・・
 ”It’s like a French Revolution in reverse in which the workers come pouring down the street screaming more power to the aristocracy.”
As Mr Frank sees it, authenticity has replaced economics as the driving force of modern politics. The authentic politicians are the ones who sound like they are speaking from the gut, not the cerebral cortex.・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/8474611.stm
 先の大戦中、ほとんどのドイツ人がユダヤ人虐殺を知っていたということを裏付ける証言が載っています。↓
http://www.spiegel.de/international/europe/0,1518,674375,00.html
 これほど基本的な点で対蹠的なんだから、日米合邦はムリ。日本の「独立」しかありえません。↓
 ・・・タイプ1(C中央型):3人とも一緒の部屋で、子供が真ん中に寝る
? タイプ2(M中央型):3人とも一緒の部屋で、母親が真ん中に寝る
? タイプ3(F別室型):母子が一緒の部屋で、父親は別室に寝る
? タイプ4(C別室型):夫婦が一緒の部屋で、子供は一人で別室に寝る ・・・
 2002年1月に日本家族社会学会が実施した全国調査「戦後日本の家族の歩み」・・・<の>結果は、タイプ1(C中央型)が50%台でトップ、続いてタイプ2(M中央型)が30%台、この二つのタイプが日本の家族(子供がまだ小さい3人家族)の寝方の90%近くを占めている。他方、タイプ3(F別室型)は105程度で、タイプ4(C別室型)にいたっては2、3%あるかないかである。日本の家族の同室就寝傾向はすこぶる高い。
 これはアメリカの家族の寝方の主流がタイプ4(C別室型)であるのとは鮮やかに対照的である。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/adv/wol/opinion/culture_100125.htm
 キース・ジャレットによるモーツアルトの装飾的即興演奏を批判したばかりですが、それよりずっと前は、欧州でも、装飾的即興演奏、当然だったんだね。↓
 「ルネサンス期・・・の楽譜には、奏でるべき音すべてが書かれているわけではない。シンプルな音の連なりに自由に装飾を加え、即興的に変奏させて、演奏家たちはその腕前や音楽性を披露した。・・・」
http://www.asahi.com/showbiz/music/TKY201001290325.html
 ご同慶の至りです。
 私の映画評論が、日本での更なる映画人気に結びつけば・・てなこと言うと誇大妄想狂だな。↓
 「・・・邦画の興収は千百七十三億九百万円(前年比1.3%増)で、相変わらず好調。興収十億円以上の作品は三十四本あり、前年より六本増加。公開本数も四百四十八本で、前年より三十本増えている。・・・
 洋画の興収は八百八十七億二千六百万円(同12.3%増)と勢いを取り戻した。だが、興収十億円以上の作品は二十二本で、前年より二本少ない。公開本数も前年より七十四本減っている。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2010012902000098.html
 東京のラーメン狂騒曲について、好意的ルポ記事が載ってました。↓
http://travel.nytimes.com/2010/01/31/travel/31ramen.html?8dpc=&pagewanted=print
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太田述正コラム#3802(2010.1.31)
<人種主義的帝国主義米国の中南米政策>
→非公開