太田述正コラム#4161(2010.7.30)
<皆さんとディスカッション(続x908)>
<MK>
 ・・・けだし、本コラム<(#4158。未公開)は>痛快でした。
≫私に言わせれば、イギリス人は、日本と同様主体的に、しかし、日本と違って「換骨奪胎」することなく、渡来した人々が背負ってきた他文化を1度ならず2度にわたって「完全に吸収」したことがある、という意味で世界で唯一無比の存在なのです。≪(コラム#4158。太田)
 ずいぶん昔のオフ会で、お聞きしたかったのはこのことであります。
 (皆々様の”?”に流されてしまいましたが)
 そこでぜひともご教授いただきたいのは、続く
≫具体的には、イギリス在住民たるバスク人は、まず(ここはブリテン諸島在住の他のバスク人同様)≪(同上)
さらに、
≫渡来したケルト人の文化を主体的に「完全に吸収」しケルト化します≪(同上)
 この引用2点の典拠を、先生はどこから導いてこられたのでしょうか。
 ぜひご教授くださいませ。
<太田>
 こういう時は、有料読者であれば太田コラム・バックナンバー、無料読者であれば(もちろん有料読者でも)太田ブログで「バスク」でもって検索をかければいいのです。
 コラム#1687をご参照下さい。(なお、コラム#379、2271、2470-1、3079、3269もお時間があればどうぞ。)
 ついでに、中西の名誉のために付言すれば、彼も、「イギリス<という>・・・島国<に>・・・最初はイベリア系の民族が渡って来た。その後ケルト人がたくさん渡ってくる。・・・」(西尾幹二・中西輝政『日本文明の主張―『国民の歴史』の衝撃』(PHP研究所 2000年11月)122~123頁)と述べており、イギリス人=バスク人説を無視はしてません。
<NTT食品@絶滅危惧種(通りすがりの草莽人)>
 この度は私のmixiから引用して頂きまして有り難う御座います。
≫ローズベルトが、この公電を踏まえた上で、直前の真珠湾攻撃情報を握りつぶした、という消極的陰謀説がますます本当らしくなってきました。≪(コラム#4159。太田)
 これについて。私はmixi以外のネットでは「通りすがりの草莽人」という名前を使って色々なサイトに書き込みをしていますが、2009/02/07 15:51:04に「bk1」という書籍通販サイトに、
「真珠湾の真実 ルーズベルト欺瞞の日々」
ロバート・B.スティネット著
妹尾 作太男監訳
荒井 稔共訳
丸田 知美共訳
という書籍の書評を書いています。
 それをここに転載させて頂きます。
ここから転載。
【アメリカは日本の真珠湾攻撃を事前に知っていた!
通りすがりの草莽人 2009/02/07 15:51:04
 大東亜戦争はアメリカ(ルーズベルト大統領)が日本に対して卑劣極りない方法で追い込み、その結果日本国を国家存亡の危機にまで貶め、日本を無理矢理戦争に引きずり込んだという事は今や明白になっており、この本にもその事実について公文書という証拠を基に書かれている。
 この本で注目出来るのは、やはり「第11章 戦争は意外に早い?」(315ページ~333ページ)に書かれている下記の事だろう。
 アメリカ軍(の監視局CAST)は12月1日から5日にかけて、日本海軍の無電を常時監視して、空母を含む全艦艇の呼出符号を突き止めた。南雲中将と連合艦隊司令長官山本五十六大将の呼出符号も入手した。
 それを証明するアメリカの公文書はTESTM電報であり、監視局US文書、RG38、MMRB、第2公文書館に収録されている(本書の485ページにそのコピーが提示されている)。
 これは、真珠湾に向かっていた日本の連合艦隊が無線封鎖を破っていたという証拠でもある。
 しかし、これらの情報は、当時、米太平洋艦隊司令長官兼合衆国艦隊司令長官だったハズバンド・キンメルには報告されなかった。
 このTESTM電報の記録は1986年12月に情報の自由法により本書の著者に公開される迄、海軍の地下書庫に保管されていたのでハズバンド・キンメルがこの書類を持ち出す事は不可能だった。
 ハズバンド・キンメルの遺族からの要請によりアメリカ議会は1995年4月から真珠湾攻撃に関する調査を開始、このTESTM電報が証拠となり、1999年5月25日アメリカ上院にて「真珠湾攻撃によって降格させられたウィリアム・シュート海軍大将とハズバンド・キンメル陸軍中将の名誉回復決議」がされ真珠湾攻撃の責任をとらされ降格されていたハズバンド・キンメルの名誉回復が成された。
 つまり、アメリカは日本軍の真珠湾攻撃を事前に知っていたのである。
 そして、日本軍に真珠湾攻撃をさせて、それまで日本との戦争に反対だったアメリカ国民に”リメンバー・パールハーバー”と訴え日本は卑怯卑劣な国だと煽りたててアメリカ国民に反日意識を植え付けて行ったのである。
 そう、真の戦争犯罪者は、この様な卑劣な工作をした当時のアメリカ大統領であったルーズベルトであり、日本はその被害者なのである!】
ここまで転載。・・・
<太田>
 件の本からの紹介部分を、原文(邦訳)を「」に入れて引用し、あなたの文章を<>に入れた形で提供していただければ、そのまま次著に使えるんですがねえ。
 いずれにせよ、グルーの公電は次著に使えそうです。
<εΓΓε>(「たった一人の反乱」より)
≫死刑廃止論て何でこんな幅利かせてんの? ≪(コラム#4159。εΓεΓ)
 EU加盟国になるためには、死刑廃止に署名しないといけないみたい。
 「EUの加盟国はすべて死刑を廃止しており、死刑廃止はEU加盟の条件でもあります。2002年5月以降は全加盟国が、戦時中を含むすべての状況における死刑の完全廃止を規定した欧州人権条約の第13議定書の署名国となっています。」
http://www.deljpn.ec.europa.eu/union/showpage_jp_union.death_penalty.php
 「欧州における法律上の死刑廃止は、欧州評議会の「人権と基本的自由の保障のための欧州条約」(欧州人権条約)、特にその第6議定書(平時における廃止)および第13議定書(戦時を含むあらゆる場面における廃止)で定められている。
EUの全加盟国は、次の一覧の通り、同議定書に署名および批准している(ただし、フランス、イタリア、ラトヴィア、ポーランドおよびスペインでは第13議定書の批准は完了していない)。」(2006年)
http://www.deljpn.ec.europa.eu/home/news_jp_newsobj1935.php
 じゃあ、なぜ、EUが死刑廃止に転じたかは、ウィキペディアに色々書いてるけど、よく知らない。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%BB%E5%88%91%E5%AD%98%E5%BB%83%E5%95%8F%E9%A1%8C#.E6.AD.BB.E5.88.91.E5.BB.83.E6.AD.A2.E8.AB.96.E3.81.AE.E7.B3.BB.E8.AD.9C
 ちなみに、Ipsosによる2007年の死刑に関する世論調査では、↓となっている。
 「強く賛成、やや賛成、やや反対、強く反対
米国   42 27 17 13
フランス 14 31 19 33
ドイツ  14 21 21 42
イタリア 14 17 15 49
スペイン 13 15 11 57
英国   29 21 16 29」
http://www.ipsos-mori.com/researchpublications/researcharchive/poll.aspx?oItemId=163
 アシュトン外交安全保障上級代表はイギリス人だけど、イギリス世論は死刑復活に傾いているみたい。
 もっとも、世論がどうであろうと、EUに留まるために死刑を復活しないだろうけど。
 「There should be the death penalty for certain kinds of murder 賛成66%、反対32%」(2008年、BBC調査)
http://www.ipsos-mori.com/researchpublications/researcharchive/poll.aspx?oItemId=150
 「70 per cent think the UK should still have the death penalty as the maximum possible penalty for at least one of the twelve different types of crime surveyed.」(2009年、Channel4調査)
http://www.ipsos-mori.com/researchpublications/researcharchive/poll.aspx?oItemId=2504
<太田>
 多かれ少なかれファシズムに染まったことがある国は死刑反対、アングロサクソンは死刑賛成って感じですね。
 前者の国民は全体主義的で依然として国に依存し高福祉高負担志向、その代わり過去さんざ悪いことをした国の手をしばるために死刑廃止、後者の国民は自由主義的で国に依存せず、悪いことをした個人には自己責任で死刑を含め償わせる、ということかな。
 現在の日本はこのいずれでもない。
 縄文モードなら、本来、戦争を放棄するだけでなく死刑も廃止しなきゃ一貫しないはずなんだけど・・。
 ま、戦争を放棄しつつ軍隊もどきは持ち、死刑を事実上廃止・・死刑宣告数が少なく執行数は更に少なく、法務大臣によっては任期中に死刑執行させない者がいる・・しつつ、死刑制度そのものは廃止しない、という風にとらえれば、一貫してるかな。
 
<takahashi> (同上)
≫外から見れば日本だって平然とやっていると思っておいたほうがバランス感覚としては健全だろうね。≪(コラム#4159。ΓΓΕΕ)
 中韓には同情する余地はあるが、忘れちゃいかんよ、中国は全体主義国家、韓国は原理主義者であることを。
 そして、両国とも学問の自由がないことを。
 ソースであるサイトを忘れているから典拠は提示しなかったんだが、中国の日常的な反日ドラマはこんな感じだ。↓
 <「中国人の中でも比較的頭のいい人、大学を卒業している人の方が日本人を激しく憎み、激しく嫌うようになります。
 そうかと思えば憎むとか嫌うというよりも、単にバカにしているだけの人たちがおります。日本人ないし日本兵というのは、アホでマヌケで女好きで、酒飲みで騙されやすくて居丈高で日本刀を振り回すのが好きで弱いものいじめが好き。でも追い詰められるとすぐ泣いて、切腹しようとする・・・という感じです。侮蔑と嘲笑の対象とみなしているのです。この手の人たちはどちらかといえば学歴が高くない、教養の高くない人たちに多く見られる傾向だと思われます。」>
http://www.blackchina.info/archives/1599
→フムフム。なるほどね。前者には訪中した時に出会ったけど、後者は気が付かなかったな。(太田)
 鳩山が来ると聞けば、こんな感じ ↓
 <「中国共産党宣伝部が、先週末の鳩山由紀夫首相訪中に合わせ、抗日戦争を題材にしたドラマなどを今後制作する際、登場する悪役の日本人に「鳩山」姓を使わないよう求める通知を国内メディアに出していた・・・」>
http://blog.livedoor.jp/jyoushiki43/archives/51224540.html
 韓国がサバをよんで5千年の歴史ってのは、コリア内じゃ常識ですぜ。
http://www.lifeinkorea.com/information/generalj.cfm
→ほほう、韓国じゃ数の数え方切り上げ方式だったのね。(太田)
 青山里戦闘、別名は間島出兵
http://ww1.m78.com/sib/kanto%20shuppei.html
→日韓併合からそれほど時間の経っていない満州の様子が良く分かるね。(太田)
 「金佐鎮は山賊の親分」…作家金完燮氏在宅起訴
http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/101618/91171/12137048
→おお、キム・ワンソプ(コラム#249、260、264、495)、今でも活躍しとんのね。きちんと典拠を付けるように心がけ、今後とも頑張ってくれや。(太田)
 基本的に中国は共産党がすべてを決める。
 韓国は民主主義国家で、中国よりマシだがかなり、やっかいだ。
 不幸な歴史と儒教のせいで民族主義的思考が強い。
 自力で独立出来なかったので、フィクションを捏造せざるを得ない。
 「しかし、韓国では歴史的事実よりも、歴史に関わる「物語」に重きが置かれている。そこでは、「民族」 の価値が強調され、近代史でも、如何に韓国人が日本に抵抗したかが、重視される。」
http://blogs.yahoo.co.jp/ranboo_bongo/47817578.html
 古田博司教授という人は親韓派で、韓国に留学経験を持ち、奥さんは韓国人だったと思う。
 俺は彼が書いた「朝鮮民族を読み解く」「悲しさに笑う韓国人」という本を読んだことがある。
 そんな彼でも韓国に対する現状認識はこれだ。↓
 有名なネタだ。貼り付けておこう。
———————————————-
–韓国との歴史研究の実務協議場面でのやり取り–
関川: ‥‥先方(韓国人)が実証的歴史事実の積み重ねでは説得されるつもりがないことは認識しておかないといけない。
古田: 日韓歴史共同研究委員会も似てますよ。‥‥日本側の研究者が「資料をご覧になってください」と言うと、韓国側は 立ち上がって、「韓国に対する愛情はないのかーっ!」と、怒鳴る。‥‥さらに、「資料をみせてくれ」と言い返すと、「資料は そうだけれど」とブツブツ呟いて、再び「研究者としての良心はあるのかーっ!」と始まるのです。
関川: 歴史の実証的研究では韓国に勝ち目はないでしょう。事実よりも自分の願望というか、「かくあるべき歴史の物語」を 優先させるようですから。‥‥
古田: 民族的感情を満足させるストーリーがまずあって、それに都合のいい資料を貼り付けてくるだけなんですね。当然、 それ以外の様々な資料を検討していくと、矛盾、欠落、誤読がいっぱい出てくる。
櫻井: それは韓国の大学の歴史研究者ですか。
古田: イエス。これは韓国の伝統的な論争の流儀であり、思考パターンなのですね。李朝時代の両班の儒教論争も、 みなこれですから。要するに「自分が正しい」というところからすべてが始まる。実はこの「自分が正しい」という命題が実証不可能なんです。この思想が突出したものが、北朝鮮の主体思想にほかなりません。
櫻井よしこ・関川夏央・古田博司「韓流“自己絶対正義”の心理構造」(文藝春秋『諸君!』2006年4月号 69~70頁)
——————————-
 俺は中韓、特に韓国ネタをふってきたが、嫌韓>嫌中なのはネット環境によるものも大きいだろう。
 韓国は日本語でのサイト紹介が多い。もっとも、それが日本人の反感を呼ぶわけだ(笑)。
 韓国起源論も一役買っている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%93%E5%9B%BD%E8%B5%B7%E6%BA%90%E8%AA%AC
→「韓国の個人・団体が、他国の文化などの起源・伝播を朝鮮半島に求める、根拠不十分で非合理な言説群の俗称<である>韓国起源論・・・を揶揄<する言葉として、>・・・「我々の」を意味する「ウリ」をかけて「ウリジナル」<とか>・・・「コリエイト(korea+create)」がある」(ウィキ上掲)ですかい。面白いねえ。(太田)
 中国のほうが、基本的にヘヴィーな現実があるんだがな。
 中国が民主化しようと朝鮮半島が統一しようと、反日は120%、続くことは間違いない。華夷秩序とはそういうものだ。
 最後に口直しに中韓の映画を紹介しておこう。
 意外に思われるかもしれんが、俺は中韓の映画はよく見るんだ。
 チャン・イーモウの高倉健への敬愛ぶりがよくわかる、高倉健のためだけにつくられた映画↓
「単騎、千里を走る。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%98%E9%A8%8E%E3%80%81%E5%8D%83%E9%87%8C%E3%82%92%E8%B5%B0%E3%82%8B%E3%80%82
 ポン・ジュノの映画はどれも素晴しい。↓
「殺人の追憶」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E3%81%AE%E8%BF%BD%E6%86%B6
 「殺人の追憶」が韓国で大ヒットした年、日本では「踊る大捜査線2」が大ヒットした。
 俺は悲しかったよ、あんなゴミ映画がヒットするなんて信じられなかった。
 踊るファンには悪いけどな(笑)。日本人の劣化を証明するみたいだったよ。
「殺人の追憶」 動画
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10559487
<ΓεΓε>(同上)
 日本にも中国にも韓国にも不満なんですね。
<太田>
 ウフ、確かにそうだ。
 まずは、自分の国の批判に専念し、「独立」を達成してから、おもむろに周辺諸国の人々を月旦したら?
 なお、takahashiサン、中韓の映画を並べてたけど、私への映画評論のオススメではない、と理解します。でも、みんな機会があったら鑑賞してみたいな。
 末筆ながら、典拠の後出し、しかし手厚い後出し、アプリシエートします。
<植田信>(2010.7.27)http://8706.teacup.com/uedam/bbs?OF=20&
 ・・・国益とは何か。
 この問題で、悩みに悩んだのが、ポツダム宣言後の天皇以下、当時の日本の支配層でした。
 彼らの答えが、「国体の護持」でした。
 さて、それでは私たちにとっての国益は何か。
 といえば、簡単なこと、普通の日本人の生命と財産の安全保障です。
 では、生命と財産とは何か。
 といえば、国家の場合は、領土や領海、領空の安全保障であり、諸個人の場合は、自分の資産であり、家族です。
→「国益とは・・・諸個人の場合は、自分の資産であり、家族です。」じゃありえませんよ。
 それなら、「対米従属」でも全く問題がないからです。
 そうじゃなくて、個人にとっても国にとっても、国にとって最も大切なのは「ガバナンスの維持」なんです。
 これを先の大戦中、我々の先輩達は「国体の維持」・・私見では、天皇制を不動点とする日本的ガバナンスの維持・・と表現していたわけです。(太田)
 では、これを具体的にどうするか。
 ここで意見が分かれます。
 <元外務官僚の>田中均氏は、アメリカべったりで行け、と主張するわけです。
 吉田茂体制でいる限り、私もこれしかない、と思います。
 ただし、それで本当に良いのか、といえば、そりゃあ、違う、となります。
 現実的選択としては、今は、それしかない、ということです。
 私としては、憲法9条を改正して、日本国の安全保障くらいは日本人が自分で処理する、とリップサービスだけでもいいから、宣言せよ、と。
 これが出来ない限り、対米従属はやむをえないではないか、と思います。
 だから、戦後日本人の対米従属は、自業自得なのですよ。
 ここは私は、太田述正氏の意見に同意しています。
 日本人が「自分で望んだ対米属国」、です。
<太田>
 毎度どうも。
 しかし、これも繰り返しますが、属国であることすら知らないか得心がいかない日本人が大部分であり、歯がゆい限りです。
<植田信>(同上)
 必要なのは、なぜ日本人がそれを自分で欲するのか、の分析です。
 なぜ自国の安全保障を自分では放棄して、他国人に丸投げするのか?
 ここにペリー以後の日本の現代史の問題があるわけです。
 ここがまだまったく戦後日本人によって整理されていません。
<太田>
 ここは、日本文明の古層としての縄文的要素を持ち出さない限り「整理」不可能である、というのが、かねてからの私の見解です。
 太田説ではなお「整理」できていないとおっしゃるのであれば、そのことを具体的に説明された上で、ご自分の手になるよりよい「整理」案を提示していただきたいものです。
 どうしてそれをされないのか。
 いや、ぶっちゃけ、できないんじゃないですか、植田さん。
 なーんて柄にもなく挑発しちゃってゴメンなさい。(太田)
 
<Fat Tail>
 「中共の「資本主義」」シリーズ(コラム#3994、#3996、#3998、#4000)で取り上げられた黄亜生(Yasheng Huang)が、Tarun Khanna(HBSの教授)と共に、アルジャジーラの”Does democracy hinder economic growth?”という面白い切り口の番組に出演していました。
 中共とインドの経済成長の比較と民主主義・アカウンタビリティーが果たす役割を論じています。コラム#4073でも言及があった、「民主主義(ポピュリズム)がインドの経済発展を妨げている」という点にも触れています。
 不満を言えば、20分程度の番組なので、せっかくの議題にも係わらず、やや内容が散漫になっており、もう少し時間をとっても良いのではなかったかと思います。アルジャジーラ、目の付け所はなかなかのものかと。
 中将の十八番を拝借すれば、日本のテレビ局こそ、こういう番組を作らなくっちゃ。
“Riz Khan – Does democracy hinder economic growth?”
http://www.youtube.com/watch?v=gHFcj_A2kYk
(2010年06月09日)
<太田>
 いつも、貴重な情報提供、ありがとうございます。
 しかし、一体、太田コラム読者のうち何人が、英語映像を鑑賞できるかなあ。
<FUKO:翻訳>
 この前はコロンビア電子百科事典から保護国の定義を教えてくださって<(コラム#4149)>ありがとうございました。
 その文を和訳したのでお送りします。
 保護国(protectorate):国際法において、ある国が他の国に主権の一部を譲り渡している関係において成り立つ。従属的地位の国家が保護国と呼ばれる。この用語は多種多様な関係を指すが、典型的には保護される国家は、内政に関しては独立した手段を引き続き広汎に保持しつつも、外交に係る統制権の全てまたは一部を手放す。この関係は、支配的な強国が軍事力行使の威嚇の下にまたは軍事力行使によって、もしくは従属的地位の国家がかかる関係を取り結ぶメリット(通例、軍事的な保護を受けるメリット)を見い出した場合に生じる。
 現在、公式に保護国の地位についている国家はないが、いくつか保護国のような国家はある。クック諸島、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、そしてニウエ(Niue)等がそうだ。
<太田>
 
 おおむね結構でした。10ポイントですね。
 それでは、記事の紹介です。
 ケネディの父さんの英国(ひいては米国)のナチスドイツへの宣戦布告に疑問を呈した手紙↓、実に面白い。全く同感だな。
 A month after the Nazis invaded Poland in 1939, Joseph P. Kennedy, the American ambassador in London and father of a future president, expressed grave doubts about “this war for idealism” against Hitler.
 “I can’t see any use in everybody in Europe going busted and having communism run riot,” Kennedy wrote to Marguerite LeHand, President Franklin D. Roosevelt’s personal secretary. “My own belief is that the economics of Germany would have taken care of Hitler long ago before this if he didn’t have a chance to wave that flag every once in a while.”
 “But, of course,” he added, “one isn’t supposed to say this out loud.” ・・・
 Kennedy’s letter presaged his further public disparagement of the war・・・, comments that, along with his efforts to arrange a conciliatory meeting with Hitler, forced him to resign as ambassador in 1940. “The British are going about this war hating it, but with the determination to fight it out,” Kennedy wrote. “I still don’t know what they are fighting for that is possible of accomplishment.” ・・・
http://www.nytimes.com/2010/07/29/us/29fdr.html?_r=1&pagewanted=print
 だけど、私としてはめずらしく、“My own belief is that the economics of Germany would have taken care of Hitler long ago before this if he didn’t have a chance to wave that flag every once in a while.”↑のところ、意味が分からなかった。Fat Tailさんあたり、どう解釈します?
 米国人のヨガへの傾倒ぶりは滑稽としか言いようがないね。↓
 ・・・nearly 16 million Americans were practicing yoga in 2008, and the yoga industry earns some $6 billion a year in the United States.・・・
 ・・・how did yoga arrive at this point? How did a centuries-old spiritual discipline, associated with meditative practices in Buddhism and Hinduism, become a fitness routine・・・?・・・
 Emerson (with his interest in Indian thought) and Thoreau (with his practice of meditation) helped create a context in which an American yoga could take root.・・・
http://www.nytimes.com/2010/07/30/books/30book.html?hpw=&pagewanted=print
 私の予想は、日本に関してはそうはならない。
 私は、ダムが決壊して、発展途上国から日本に無秩序に移民が押し寄せてくる、と見ているわけだが・・。↓
 With 267 people being born every minute and 108 dying, the world’s population will top seven billion next year, a research group projects, while the ratio of working-age adults to support the elderly in developed countries declines precipitously because of lower birthrates and longer life spans. ・・・
 ・・・by 2050 the planet will be home to more than nine billion people. ・・・ While the United States, Australia, Canada and New Zealand will continue to grow because of higher birthrates and immigration, Europe, Japan and South Korea will shrink・・・
 ・・・by 2050, Russia and Japan would be bumped from the 10 most populous countries by Ethiopia and the Democratic Republic of Congo.
http://www.nytimes.com/2010/07/30/world/30population.html?ref=world&pagewanted=print
 コラム#3792で酷評した本(Joel Mokyr ‘The Enlightened Economy’)の書評がウォールストリートジャーナルに出てた。↓
 ・・・The reason for Britain’s exceptionalism, Mr. Mokyr says, lies in the increasing hostility to rent-seeking?the use of political power to redistribute rather than create wealth?among the country’s most important intellectuals in the second half of the 18th century. Indeed, a host of liberal ideas, in the classic sense, took hold: the rejection of mercantilism’s closed markets, the weakening of guilds and the expansion of internal free trade, and robust physical and intellectual property rights all put Britain far ahead of France, where violent revolution was needed to disrupt the privileges of the old regime.
Such political upheaval in Europe, notes Mr. Mokyr, disrupted trade, fostered uncertainty, and may well have created all kinds of knock-on social disincentives for technological and scientific innovation and collaboration with business.・・・
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748703940904575396112998790810.html?mod=WSJ_Opinion_LEFTTopOpinion
 いかにも、同紙らしい、リバタリアン的書評↑であるわいな。
 日本の111歳ミイラ事件、BBC電子版で紹介されたけど、アクセス・トップになってた。↓
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Shared1: Tokyo’s ‘oldest man’ was a corpse 2: Mother bear rescues cub from fishing net in Alaska 3: Frenchwoman ‘smothered newborns’ ・・・
http://www.bbc.co.uk/news/
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-10809128
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太田述正コラム#4162(2010.7.30)
<狩猟採集時代の性(その2)>
→非公開