太田述正コラム#4465(2010.12.29)
<皆さんとディスカッション(続x1059)>
<唯我独尊>
≫『ロビン・フッド』は駄作。ただし、イギリス人の世界観がえげつないほどストレートに出ている映画。≪(コラム#4463。太田)
 おっしゃるとおり壮大なる駄作でした(笑)。
 脚本家はアメリカ合衆国出身で、両親共にノルウェー人だそうですが、監督のリドリー・スコットが生粋のイギリス人なので監督の色が表面に出過ぎたのでしょうね。
http://eiga.com/person/63906/
 なんと、この監督はSFの歴史に残る名作『ブレードランナー』(1982年公開)も手がけていたのです。
 年末、映画館に足を運んで落胆しない作品として、実話に基づいた『アメリア 永遠の翼』を自信をもって推薦しますが、この映画は人気が出なかったので上映打ち切りが続出しているようで残念です。
出演女優(過去の作品で主演女優賞)が実在した人物と似ており、ストーリーも史実に忠実(?)に作られているようで、映画作品としても大作で秀作だと思いました。
http://amelia-movie.com/
年末になるとテレビでは今年1年を振り返る特集番組が乱立しますけど、政治も事件も借金も仕事も忘れて、映画と音楽、そしてお酒などを楽しみましょうか(笑)。
<太田>
 アメリア・イアハートについては、以前、(コラム#3473、3475で)言及したことがありましたね。
<太田>(ツイッターより)
 最寄りの駅のマクドナルドが閉店になったんだけど、<一昨>日行ったシネコンが入ってるビルにあったマクドナルドもなくなってた。
 スゴく厳しい経営やって最高益を更新してるなと舌を巻いた。
 ああビッグマックが恋しい。
 田園調布通りと中原街道の交差点で起こった悲惨な交通事故、近くだけに、また、私自身の想い出が詰まっている場所だけに胸が痛む。
 桜坂
http://www.netpro.ne.jp/~itaru/sakura/ 
のすぐそばだ。
 このところ、ボクのもフツーのツイッターらしくなってきちゃったな。反省。
<mildsevenextra>(同上)
 太田先生も ぜひ その庶民目線で 引き続きよろしく頼みます。
<sinxxxxx>(同上)
 普通のつぶやきも好きです!
<bonkers_blunder>(同上)
 <(コラム#4463に関し)太田>革命家はでかすぎる!
<太田>(同上)
 <昨日1300>からNHKのBS2で映画を2本見る・・・。
 <一>昨日見た2本と併せて4本。そのうちどれが映画評論の対象になるかなあ。
<太田>(Mixi太田コミュより)
 <NHKのBS2で鑑賞した>『コンタクト』も『パーフェクトワールド』もどっちも面白かったな。
 後者は、終わり近くからは前にケーブルテレビで鑑たことがあったことを思い出した。
 恐らく、NHK、どちらも父と子の愛情がテーマになってるからこそ、ぶっ通しで2本の映画を放映したんだろうね。
<ΡΡΔΔ>(「たった一人の反乱」より)
 『コンタクト』(と『パーフェクトワールド』)っすか。
 ミクロの決死圏は見ました?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%81%AE%E6%B1%BA%E6%AD%BB%E5%9C%8F
 米国の科学映画が非科学的(宗教的)になったのは何故なんざしょう?
<太田>
 『ミクロの決死圏』、確か昔TVで見てるな。
 ところで、米国映画の『コンタクト(Contact)』(1997年)
http://en.wikipedia.org/wiki/Contact_(film)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%83%88_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
についてだが、その原作たる小説を執筆した、セーガン夫妻や監督のゼメキスにとっての、この物語のサブリミナル・テーマは、私の見るところ、米国の人種主義的帝国主義の軌跡の描写とその未来への外挿(extrapolation)です。
 主人公の女性(ジョディ・フォスター)の研究拠点が、最初はプエルトリコ、次いでニューメキシコの天文台であること、人類による、異星人と接触するための宇宙への旅プロジェクトが最初に試みられるのがフロリダのケープカナベラル基地であり、彼女自身がこのプロジェクトで宇宙に「出発」し「帰還」するのが、米国人大富豪が所有し、米国政府が事実上管理する北海道北部沿岸の基地であること、(ついでに言えば、このプロジェクトに日本政府は多額のカネを拠出し(させられ)つつも口をほとんど出していないこと、)そして、その彼女も、その彼女の一番頼りになる同僚の男性も、彼女の恋人であり友人である男性も、はたまた、その彼女より前に、一回目の宇宙の旅プロジェクトで宇宙に「出発」することとされていたけれど殉職する男も、すべて白人であること、このプロジェクトで中心的役割を果たすのが、白人(クリントン大統領)率いる米国政府と白人たる上記米国人大富豪であること、がその根拠です。
 フロリダは、1821年に、米国が事実上スペインから乗っ取ったものであり、
http://en.wikipedia.org/wiki/History_of_Florida
プエルトリコは、1898年の米西戦争の結果、米国が1899年にスペインから奪取したもの
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B1%B3%E8%A5%BF%E6%88%A6%E4%BA%89
であり、ニューメキシコは、1846~48年の米墨戦争の結果、米国がメキシコから奪取したもの
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B1%B3%E5%A2%A8%E6%88%A6%E4%BA%89
です。
 そして、言うまでもなく、北海道は、1945年以来、米国の被占領国を経て属国であり続けている日本の一部です。
 フロリダ、プエルトリコ、ニューメキシコは、たまたま関連施設があっただけだと言い訳ができたとしても、北海道まで登場するとなると、偶然ではなくなります。
 その米国が、この映画では、宇宙にまで覇権を及ぼそうとしている存在として描かれている、とも受け止められるわけです。
 私は米国のSF映画全体を俯瞰できるだけの映画鑑賞歴を持ちあわせていませんが、更に申し上げれば、米国の人種主義的帝国主義とキリスト教原理主義とは、もともと切っても切り離せない関係にあるのであり、この映画が、結局のところ、神・・しかも唯一神・・の存在を強く示唆するものとなっているのは当然である、と言うべきでしょうね。
 以上、小映画評論でした。
<ΡΔΡΔ>(同上)
 【激突ふたたび】小沢氏先手、執行部守勢 時限爆弾に吹き飛ばされるのは「どっち?」
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/101229/stt1012290100000-n1.htm
 ついに観念したのか!?と思ったら通常運転の小沢さんでした。
 この諦めの悪さ、(悪)知恵の働きっぷりを国益の為に費やしたら日本史に残る名政治家として後世に名を残せたかも?
 ・・・なんてそんな有り得ない ” if ” はともかく菅首相達はどう反撃するんだろ?
ヤラれっぱなし?
<太田>
 太田コラム読者の中にも小沢ファンが結構いたけど、現在の心境を聞いてみたいね。
 相当ファン減ったと思うけどな。
<ΡΔΔΡ>(同上)
 コラム・2ちゃんとも今年もお世話になりましたぁ。
 年末年始はPC開かないので、年明けにまとめて適当に読み飛ばしま~す。
 日本の独立云々の前に、揺らぎっぱなしの自分の生活の基盤を固めないことにゃ~。
 まぁ、来年も今年以上に厳しい世の中となりそーなんで、それなりの準備と覚悟をして(冬道の運転のように、滑る心構えをすると慌てないので…)新年に臨みます。
 太田さんも、太田さんを応援する皆さんたちも、太田さんのおつむのように輝く、希望溢れる素晴らしい年となるよう(まぁー、そうは簡単にはいかんだろーけど)適当に祈ってます。・・・
<太田>
 「おつむ」って外だけじゃなく内も含んでんだろ、と勝手読みする年の瀬かな。
 それでは、記事の紹介です。
 旧日本帝国後継2国たる日本と韓国、どっちの悩みがより深い?↓
 「・・・米国で理工系の博士号を取得した日本人の数(2007年基準)は、中国(4395人)に比べ5%程度の235人に過ぎない・・・。日本の米国博士号取得者の数は、インド(1956人)はもちろん、人口規模が3分の1の韓国(1137人)とも比較にならない水準だ。・・・
 米国博士学位取得者数が急減したのは、留学生の数そのものが減っているからだ。09年基準で、日本から米国に向かう留学生は2万4842人。これは、1997年の半分の水準にすぎない。中国(12万7628人)やインド(10万4897人)と比較にならないだけでなく、韓国(7万2153人)の半分にもならない。
 ・・・中国の場合、国内の大学でのポスト獲得に米国留学が大きな助けになると判断されるが、日本は閉鎖的な大学構造のため、留学組が国内の大学内で仕事を得ることは難しい・・・。」
http://www.chosunonline.com/news/20101229000016
 「・・・<旧京城帝国大学である>ソウル大<の>工学部が、博士課程で3年連続して大幅な定員割れを起こしている・・・
 兵役特例の恩恵を受けようと工学部大学院に進学する学生がおり、純粋に工学博士号を取得しようという学生だけを数えると、競争倍率はさらに低下する・・・
 ソウル大工学部の教授310人のうち、同大工学部大学院出身者は11.3%に相当する35人だけだ。同大工学部で教授になれる確率が低いため、大学院の志願率も低い。・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20101228000061
http://www.chosunonline.com/news/20101228000062
 「・・・ソウル大工学部は、世界的な大学評価機関クアクアレリ・シモンズ(QS)の工科大学分野評価で今年38位となった。アジア圏だけを見ても東京大(7位)、シンガポール国立大(10位)、清華大(11位)、京都大(17位)に大きく後れを取り、10番目という成績だ。世界38位、アジア10位の大学の博士号では、韓国国内の中堅大学の教授職に就くのも難しい。・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20101228000063
 中共で、昨日紹介したようなエリートじゃない一庶民が権力のお眼鏡にかなわないと、物理的に抹殺されちゃうって、おっとろしーオハナシが紹介されている。
 日本の主要メディアにはかかる報道を行う意思も能力もありましぇーんぞ。↓
 ・・・In 2004, the city government approved construction of a power plant in Zhaiqiao Village・・・,Zhejiang(浙江省)・・・. The company building the plant got virtually all the arable land in the village, and the 4,000 or so villagers received no compensation, according to a blog・・・that was written four months ago under Mr. Qian’s name. At the time, Mr. Qian・・・54・・・ and other villagers went to government offices to protest the land grab, and riot police officers beat more than 130 people and arrested 72・・・
 Mr. Qian, reported to be a member of the Communist Party, traveled to Beijing to file a petition with the central authorities. In the news conference on Monday, city officials said Mr. Qian had been arrested, found guilty of criminal conduct and imprisoned at least twice. Mr. Qian continued his crusade after recently being released from prison. Before his death, he was the overwhelming favorite of the villagers in a coming election for village chief・・・
 ・・・ another villager, Qian Chengwei, told people that he had watched as the victim was held down in the road by several men wearing security uniforms. One of the men waved his hand, and a truck then drove slowly over Mr. Qian・・・
 ・・・the horrific photographs of Mr. Qian’s death on Saturday have ignited widespread fury, forcing local officials to offer explanations in a news conference. ・・・
http://www.nytimes.com/2010/12/29/world/asia/29china.html?ref=world&pagewanted=print
 世界は、ある意味、中世に戻りつつある、というのはよく聞く主張だけど、改めていかが?↓
 ・・・the world we are moving into in 2011 is one not just with many more prominent nations, but one with numerous centres of power in other ways. It is, in short, a neo-medieval world. The 21st century will resemble nothing more than the 12th century.
 You have to go back a thousand years to find a time when the world was genuinely western and eastern at the same time. Then, China’s Song(宋) dynasty presided over the world’s largest cities, mastered gunpowder and printed paper money.
 At around the same time India’s Chola(チョーラ)<(注)> empire ruled the seas to Indonesia, and the Abbasid caliphate(アッバース朝カリフ) dominated from Africa to Persia. Byzantium(ビゼンツ帝国) swayed and lulled in weakness both due to and despite its vastness. Only in Europe is this medieval landscape viewed negatively.・・・
 In medieval times, one’s welfare depended on family status, guild membership and property holdings. Cities were stratified according to socio-economic caste. Loyalty was not to the “state” as such, but to whoever delivered the goods.・・・
http://www.ft.com/cms/s/0/02a84976-12ba-11e0-b4c8-00144feabdc0.html#axzz19Sg0JJiR
 (注)南インドのタミル人(ヒンドゥー教徒)のつくった大帝国(英語ウィキ:紀元前3世紀~13世紀。日本語ウィキ:9~13世紀)。11世紀央の最盛期には、南インドから東南アジアにかけて、その全沿岸部(スマトラ全部とボルネオ西部を含む)を支配した。
http://en.wikipedia.org/wiki/Chola_Dynasty
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%A9%E6%9C%9D
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太田述正コラム#4466(2010.12.29)
<戦間期米国人の東アジア論(その3)>
→非公開