太田述正コラム#8622005.9.11

<郵政解散の意味(補論)(続x8)>

 あまりにも長くなったので、このあたりで強引に結論に持っていくことにしましょう。

 今回の総選挙は、日本を真に弥生化させるための、最後の環境整備を行う選挙である、と私はとらえています(注1)。

 (注1)私のコラムを読んでおられるほどの人であれば、もはや一人として、今次総選挙を、(政府提案の)郵政民営化に賛成か反対かを問う選挙などという雑駁なとらえ方はしておられないと信じたい。

     さりとて、小さな政府か大きな政府かを選択する選挙、ととらえるわけにもいかないことについては、http://www.asahi.com/politics/update/0910/001.html(9月10日アクセス)参照。この記事は、自民党は現状と等似形の小さな政府、民主党と公明党は小さな政府だが公共事業から社会保障への重点の移動、共産党と社民党は社会保障の拡充に重点を置いた大きな政府、国民新党は公共事業の拡充に重点を置いた大きな政府、新党日本は政府の大きさは現状のままで公共事業から社会保障への重点の移動、をそれぞれ追求しているとしている。確かにこれでは、連立与党(自民党・公明党)と第一野党(民主党)との違いはほとんどない。

 この場合、真に弥生化させるとは、日本を真にアングロサクソン的社会へと変貌させることです。

 どうして「的」がついているのでしょうか。

 それは、アングロサクソン側としては、日本が大陸法を捨てて、完全に英米法(コモンロー・衡平法体系)に切り替えるところまで徹底しない限り、日本をアングロサクソンの一員とは認めないであろうからであり、日本としても、中間組織の活用、といった「日本的」特徴・メリットを捨ててまでアングロサクソン化することは不可能だからです。

 ただし、真にアングロサクソン的社会へと変貌するためには、日本が軍事並びに移民・難民の受入に係る禁忌を廃棄すること、そして男女差別を撤廃することが必要不可欠です。

 軍事については、アングロサクソン的社会の人間は、全員が自分及び他人の自由を守るための戦士でなければならないからであり、また、アングロサクソン的世界を維持・拡大するために軍事による貢献を求められるからです。

 移民・難民受け入れについては、自由を求めてやってくる人々を受け入れることは、アングロサクソン的世界の維持・拡大・・受け入れ側のアングロサクソン的社会の活力の維持向上並びに送り出す側の非アングロサクソン的社会のアングロサクソン的社会化・・に資するからです(注2)。

 (注2)米英を始めとして、アングロサクソン社会がどんなに人種的多様性に富んでおり、人口減少を免れており、活力があるか、はご存じのとおりだ。日本は、まずはアジア(南西アジアを除く)人を対象に、学者/技術者・保父/保母/ベビーシッター・介護士・看護士(及びその配偶者・子供)の受け入れから始め、徐々に拡大して行くことが望ましい。

 男女差別の撤廃については、アングロサクソン的社会化以前の課題であり、説明は省きます。

 では、今回の総選挙がそのための最後の環境整備を行う選挙である、とはどういう意味なのでしょうか。

 それは、日本のアングロサクソン的社会化に反対する勢力(反対勢力)(三つの新党及び社民党)、日本の民主主義独裁社会化ないし社会民主主義社会化を追求する党(欧州化追求勢力)(共産党)に打撃を与え、自民党と民主党内の反対勢力及び民主党内の欧州化追求勢力を萎縮させるための選挙であり、かつ、宗教政党(中世的勢力)(公明党)に打撃を与え、自民党、ひいては日本を中世的勢力の重しから解放する選挙である、ということです。

 私としては、政財官の癒着構造を一挙に断ち切るため、上記が、民主党が躍進する形で実現して欲しかったところですが、残念ながら自民党が躍進する形で実現することになりそうです。

 しかし、いずれにせよ、上記諸勢力に打撃を与えることができれば、その後に論理的に待ち構えているのは、日本のアングロサクソン的社会化を徹底的に成し遂げようとする勢力と、これに抵抗する勢力、という二大勢力に分化する形の政界再編です。

 前者は、日本の独立、すなわち米国の保護国からの離脱を目指す勢力であり、後者は日本が米国の植民地と化し、ついには日本が滅びるのを座視しようとする勢力です。

 既に私のように期日前投票を済ませた人もおられるでしょうが、とにかく投票をしましょう。そしてできれば民主党に、さもなくば自民党に投票しましょう。

 そして、私のコラムを広めましょう。