太田述正コラム#13910(2023.12.15)
<映画評論94:グランド・ブダペスト・ホテル>(2024.3.10公開)

1 始めに

 次は、『グランド・ブダペスト・ホテル』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%80%E3%83%9A%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%86%E3%83%AB 
です。
 「『グランド・ブダペスト・ホテル』(・・・The Grand Budapest Hotel)・・・は、<2014年の独米>合作のドラメディ(コメディ・ドラマ)映画である。とある高級ホテルのカリスマ的コンシェルジュである初老の男と若いベルボーイの交友を描いた作品である。・・・監督・脚本はウェス・アンダーソン、主演はレイフ・ファインズが務めた。第64回ベルリン国際映画祭審査員グランプリや、第87回アカデミー賞の4部門などを受賞している。ゴールデングローブ賞 映画部門 作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)も受賞した。」(上掲)という「傑作」です。

2 本題

 原案がヒューゴ・ギネスと監督・脚本のウェス・アンダーソン(上掲)というのですから、ウェス・アンダーソン(1969年~)の映画かと言えば、「テキサス州ヒューストンに生まれる。父親は広告業界で働いており、母親は元考古学者で不動産ブローカーだった。・・・テキサス大学オースティン校で哲学を学び、この大学で俳優のオーウェン・ウィルソンと出会い、映画の共同制作を始める。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%B3
という経歴からは、(私自身は傑作とまでは思わなかったが、)激動の20世紀欧州史の転換点群をひねって生かした、エスプリの効いた華麗な紙芝居、のようなこの映画に結び付くものを余り感じません。
 私は、原案を彼と共に書いたところの、ヒューゴ・ギネス(Hugo Guinness。1959年~)
https://en.wikipedia.org/wiki/Hugo_Guinness 
の貢献度が極めて大きかったのではないかと思います。
 というのも、ヒューゴ・ギネスは、あのギネス一族の一員であり、ロンドン生まれでイートン校卒で、かのロスチャイルド家の一員と結婚しているところの、テレビ・プロデューサーたる姉
< https://en.wikipedia.org/wiki/Sabrina_Guinness >
を持つ、英国人画家(artist)、イラストレーターにして作家(上掲)、だからです。
 ヒューゴ・ギネスの姉妹は他にも2人おり、やはりロスチャイルド家の一員に嫁ぎ未亡人になった姉、や、皇太子夫妻の長男のジョージ王子の代父母(godparents)7人中の1人になったところの、福祉事業で大英帝国勲章(MBE)を受賞した妹、がいます。
https://en.wikipedia.org/wiki/Julia_Samuel 
 絵にかいたようなイギリス・セレブ一族出身ですよね。
 暇つぶしにご覧になって決して後悔されないことを保証します。