太田述正コラム#15017(2025.6.20)
<皆さんとディスカッション(続x6291)/映画評論356:エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命>
<gSQiwB0U>(「たった一人の反乱(避難所)」より)
どうでもいい話だが、土偶ネタ<(コラム#15011)>は専門家からかなり批判されてたと思う。
個人的に、遮光器土偶=サトイモというのは怪しいと思ってた。
少なくとも、土偶に関して統一理論はないと思う。
https://note.com/22jomon/n/nf752c626f69e
⇒ついでに、同じ筆者による下掲にもざっと目を通した
https://note.com/22jomon/n/n8fd6f4a9679d
https://note.com/22jomon/n/n213f1979a479
https://note.com/22jomon/n/n12c313a766c2
けど、この筆者、自分は「専門家」ではない、と、断ってるよね。
「専門家」による竹倉説批判が行われていないのは、竹倉説が端にも棒にもかからない代物だから、という可能性ももちろん否定できないが、他方で、「専門家」がいないからじゃないかという気もしている。
そして、日本の考古学も、そしてどうやら竹倉氏は人類学者ということになる
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B9%E5%80%89%E5%8F%B2%E4%BA%BA
らしいが、日本の人類学も、当然のことながら脳死してるんじゃないか、という気まで・・。(太田)
<山本>
政治家に有能な人材が集まらないのは日本の労働市場が終身雇用で転職できないから。つまり終身雇用と解雇規制を廃止すると無能な人材は首になるので、解雇反対の政党に無能が集まることになる。
https://x.com/joshigeyuki/status/1934024888316223974
<太田>
自分は年をとるにつれて気が短くなってきている感が拭えない、とまずはお断りしておきます。
典拠を付けたのは形式的にはよしとしても、匿名の短文なんて実質的には典拠たりえない、と、最初に申し上げなければならないのは残念です。
まず、おっしゃってることの前段と後段はそれぞれ必ずしも間違ってはいないけれど、前段と後段を単に併記するのはおかしいと言わざるをえません。
後段に、落選の場合に労働市場を通じて再雇用ができるようになることから、有能な人材が(解雇反対のであれ解雇反対のであれ)政党に集まることになる、といった一文を付け加えるのであれば話は別ですが・・。
さて、ここからがキモなんですが、私自身が、現在の日本で政治家に有能な人材が集まらない理由をかねてから指摘している以上は、私の指摘と異なる指摘を、単に記されるのでは、事実上、私の指摘を否定されておられるに等しいけれど、本当にそれでいいんですか、です。
念のために記しておきますが、私の指摘とは、第一に、戦前の日本は脳死していなかった、第二に、戦前の日本の有能な政治家の供給源の最たるものは官僚(軍官僚を含む)であった、ところ、現在の日本は脳死している、よりピンポイントで言えば日本の中央政府は脳死している、から、有能な人材は、政治家になってもやりがいのある仕事ができないので政治家にならない、また、戦後しばらくは依然有能な政治家の供給源の最たるものであった官僚・・軍官僚は存在しませんが・・も、現在では有能な人材は官僚になってもやりがいのある仕事ができないので官僚にはならないため、有能な政治家は払底するに至った、です。
<太田>
安倍問題/防衛費増。↓
<2001年に立候補することになった折、「事前運動」の一環として、現在の環境相をしてる浅尾慶一郎君・・当時はもちろん民主党議員・・に連れられて同宮を訪問し、昼飯を御馳走になった宮司・・確かめなかったけれど、同宮司の就任時期からして多分間違いなかろう・・じゃん。懐かしいというか、当時はまだ同宮もまだ加盟していた神社本庁の政治団体の神道政治連盟にさんざん「可愛がってもらった」思い出が蘇るなあ。↓>
「神社本庁離脱にあやしい女性関係… 鶴岡八幡宮を「独裁」する宮司がついに訴えられた! 「不当に給与を減らされ、降格も」・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/2ae6da028c5a27a096233f6802afa8e6bf5202c2
<去年紹介したかもしれないけど・・。↓>
「「宮司が独裁で神職、巫女が大量退職」 神社本庁離脱の「鶴岡八幡宮」で何が起きているのか・・・」
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/03290556/?all=1
ウクライナ問題/ガザ戦争。↓
<よく言った。↓>
「ドイツの・・・メルツ首相は・・・、イランの核開発能力破壊を目的としたイスラエルの攻撃を「我々全員のための汚れ仕事」と表現し、「イスラエル軍と政府に最大限の敬意を表さざるを得ない」と述べた。さらに、「今回のイスラエルの攻撃がなければ、イラン政権によるテロをさらに目撃することになっただろう」とし、「この政権が終わることを願う」とも発言した。」
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E4%BE%AE%E8%BE%B1%E7%9A%84%E3%81%AA%E7%99%BA%E8%A8%80%E3%81%A0-%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E9%A6%96%E7%9B%B8%E3%81%8C%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%81%AE%E6%94%BB%E6%92%83%E3%82%92%E6%94%AF%E6%8C%81-%E6%B1%9A%E3%82%8C%E4%BB%95%E4%BA%8B-%E7%99%BA%E8%A8%80%E3%81%AB%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E6%BF%80%E6%80%92/ar-AA1GZNc8?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=959553eb515145538da7f68e9882860e&ei=11
<でもトラがくれるかねえ。↓>
「・・・バンカーバスター・・・GBU57の使用に必須とされる米空軍のB2ステルス爆撃機がなくてもイスラエルが独自に爆弾を投下できるという予想も出てきた。米軍事専門メディアTWZは「イランの防空網が無力化された状況でB2のステルス機能は大きく必要ない。(理論的には)イスラエルのC130輸送機にGBU57を搭載して投下することもできる」と伝えた。」
https://news.yahoo.co.jp/articles/3ebd28221ef3f66c798928245ddf36594914f48a
<カッコつけてずにさっさとやれー。↓>
Trump sets deadline of two weeks to decide if US will join Israel’s war on Iran–US president leaves window for negotiation after Israeli defence minister openly embraces regime change・・・
https://www.theguardian.com/world/2025/jun/19/israel-attacks-irans-arak-heavy-water-reactor-as-iran-hits-israeli-hospital
<「軍事的手段「だけ」では危機解決できない」だろ。↓>
「「軍事的手段では危機解決できない」イスラム諸国20か国がイランへの攻撃停止を求める緊急声明・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E7%9A%84%E6%89%8B%E6%AE%B5%E3%81%A7%E3%81%AF%E5%8D%B1%E6%A9%9F%E8%A7%A3%E6%B1%BA%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84-%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%A0%E8%AB%B8%E5%9B%BD20%E3%81%8B%E5%9B%BD%E3%81%8C%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%94%BB%E6%92%83%E5%81%9C%E6%AD%A2%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%82%8B%E7%B7%8A%E6%80%A5%E5%A3%B0%E6%98%8E/ar-AA1H0DdV?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=e41fda8036414bd9a174fcbde2398999&ei=50
<核保有国相手にハメネイもさすがにやらんだろ。↓>
「・・・有力シンクタンク、米科学国際安全保障研究所(ISIS)のデビッド・オルブライトとサラ・バークハードは報告書で「比較的コンパクトな核爆弾を作るためには60%の濃縮レベルで事足りる。80%ないし90%まで濃縮を進める必要はない」と書いた。
さらに、この種の兵器は「飛行機や輸送コンテナ、トラックといった簡易な運搬システムによる運搬」に適しており、「イランを核保有国として確立するのに十分だ」としている。
イランはイスラエルに衝撃を与えて戦争の終結に追い込もうとして、簡易な核兵器を作ってみせる道を選ぶ可能性がある。
もう一つの可能性は、放射性物質をまき散らすために通常の爆薬を使う「汚い爆弾」を実際に爆破させることだ。・・・」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/89003?utm_source=editor&utm_medium=mail&utm_campaign=link
<しかし、いずれにせよ、「犯罪」者は処罰されねば。↓>
Assassinating Iran’s Supreme Leader a recipe for chaos–Netanyahu suggests killing Ayatollah Khamenei would end Israel-Iran conflict but he’s woefully mistaken・・・
https://asiatimes.com/2025/06/assassinating-irans-supreme-leader-a-recipe-for-chaos/
<さっさとユダヤ教なんぞ生活習慣教へと世俗化させた上で居住地域に同化しようとしなかったという、自分達の原罪を直視せずして、エラそうなこと言うな。↓>
「6月13日、米国とイランの間で核をめぐる協議が続いているなかで、イスラエルは、イラン核施設への空爆を強行し、軍トップや核科学者らの要人殺害まで実行した。その後、攻撃対象を核施設だけでなく、エネルギー施設や行政施設にも広げつつある。 【画像】トッド氏の新著『西洋の敗北』 こうしたイスラエルの“暴走”を、自身もユダヤ系である仏の歴史人口学者のエマニュエル・トッド氏は半ば“予言”し、 「文藝春秋」2025年2月号 で、「これ〔ガザ侵攻〕がまだ始まりにすぎず、今後、事態がさらに悪化することに気づいているのでしょうか」と警鐘を鳴らしていた。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/1e16f7650215fb6ba6f020124f89efcaebf38664
妄想瘋癲老人米国。↓
<分かったけど、記事が長過ぎる。↓>
The U.S. has exerted a strong pull on international travelers for years, especially from Germany. But since the beginning of President Donald Trump’s second term, the tourists are staying away. For many regions in the U.S., it’s becoming a problem.・・・
https://www.spiegel.de/international/business/trumps-homemade-tourism-crisis-international-travelers-are-growing-skeptical-of-the-u-s-a-bae271e2-69e9-40a4-bba9-57e656b50138
それでは、その他の国内記事の紹介です。↓
日本以外でもそうなんかしら。↓
「性加害少年は学歴高い傾向も・・・」
https://digital.asahi.com/articles/AST6853XQT68UTIL00RM.html?iref=comtop_Rensai1_02
日・文カルト問題。↓
<日本は天皇が「元首」だからねえ。↓>
「駐日韓国大使館主催「韓日国交正常化60周年記念レセプション」に石破首相はじめ首相経験者4人出席–前例のない大物の出席、李在明大統領の日本重視メッセージに応える–内閣序列2・3・4位を含む日本の国会議員100人が出席・・・
ある外交関係者は「韓日関連の行事は、たとえそれが良い趣旨であっても常に『機械的な公平性』もあって気を使うが、今回は日本が快くこれを破ってくれた」と語った。10年前の国交正常化50周年記念行事には当時の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と安倍晋三首相が同じ日にソウルと東京で行事に出席した。・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2025/06/20/2025062080060.html
<報道価値、殆どなし。↓>
「石破氏「日韓、新たな一歩を踏み出そう」…初の首脳会談翌日に友好ムードで対応・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/335274
<はいはい。↓>
「韓日最優先の協力分野、韓国は「経済」、日本は「安全保障」・・・」
https://www.donga.com/jp/article/all/20250620/5673253/1
「韓日国民「経済・安全保障の戦略的利益」に共感、両国関係の新たなページを開く時・・・」
https://www.donga.com/jp/article/all/20250620/5673235/1
「米中貿易戦争のなか…韓国77%、日本80%「米国との関係が中国より重要」・・・」
https://www.donga.com/jp/article/all/20250620/5673259/1
「「韓日防衛協力」に韓国60%、日本56%が「強化すべき」…中朝ロ密着への牽制には共感・・・」
https://www.donga.com/jp/article/all/20250620/5673250/1
<彼も亦、一種の、岸カルトにたかるアブの一人。↓>
「フランシス・フクヤマ氏「戒厳事態の解決、韓国を見て多くのインスピレーション」・・・」
https://www.donga.com/jp/article/all/20250620/5673256/1
とにかく、インドはまだまだ旧宗主国に甘過ぎる。↓
The Indian who called out a massacre – and shamed the British Empire・・・
https://www.bbc.com/news/articles/c24ql23qm73o
中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓
<ご愛顧に深謝。↓>
「「ちいかわパーク」が東京・池袋にオープン!・・・中国のSNS・微博(ウェイボー)・・・「日本に行くしかない」・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b955098-s25-c30-d0201.html
「<・・・地下鉄でスマートフォンをなくしてしまった・・・中国人観光客が見た日本>息を切らして走ってきた駅長の「神対応」に胸を打たれた・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b954924-s25-c60-d0201.html
<日中交流人士モノ。↓>
「<卓球>張本兄妹が中国ペアに勝利=中国ネット「想定の範囲内」「美和は松島と組んだ方がいい」・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b955298-s25-c50-d0052.html
<一応、同じく。↓>
「日本のエレベーターで乗り合わせたおじいさんが中国人の悪口、「私も中国人ですけど」と言うと・・・中国のSNS・小紅書(RED)・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b955306-s25-c30-d0052.html
<太田>
一 Kindle洋書
後出の映画に触発されて、’Daniel Yon’s A Trick of the Mind’ (コラム#15015) の表記をAmazonで注文した。9月9日に「届く」ので、次回のオフ会「講演」原稿に、部分的にでも反映できるかもしれない。
二 X
リツイートも表記の「通知」頁に表示されるように回復していた。
--映画評論356:エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命--
今回の『エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命』(英題:Kidnapped)は、2003年の伊仏独映画
https://eiga.com/movie/99301/
https://en.wikipedia.org/wiki/Kidnapped_(2023_film) ←筋
なのだが、知らなかった史実で、しかも、結構大きな史実を、かなりの部分忠実に描いた作品である・・Several historians highlight the affair as one of the most significant events in Pius IX’s papacy, and they juxtapose his handling of it in 1858 with the loss of most of his territory a year later. The case notably altered the policy of the French Emperor Napoleon III, who shifted from opposing the movement for Italian unification to actively supporting it.
https://en.wikipedia.org/wiki/Mortara_case
ことに加え、6歳の時にユダヤ人の家庭から拉致されカトリックの聖職者として養成された主人公がそのまま聖職者として活躍を続け人生を終える、ということから、人の世界観を根本的に作り変えることが小1前後からでも完全に可能であることが分かり、自分自身が、カイロで小1~小5まで過ごしたことが、(自分の場合は両親の下で養育され続けた点では主人公のケースとは異なるといえども、)私の世界観を、同世代及びそれ以降の一般の日本人と全く異なったものにしてしまったことの原因であることを痛感させられた点で、この映画、極め付きに面白かった。
なお、ユダヤ教ももちろん悍ましいが、とりわけ当時法王がイタリア半島中部の広大な地域の「国王」でもあったカトリック教会なる教義宗教の悍ましさに改めてへどがでた。
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太田述正コラム#15018(2025.6.20)
<渡辺信一郎『中華の成立–唐代まで』を読む(その48)>
→非公開