太田述正コラム#5751(2012.9.29)
<皆さんとディスカッション(続x1678)/映画音楽で読み解く20世紀>
<CCai3xUO0>(「たった一人の反乱」より)
 米韓FTAで、韓国のいろんな共済は、ローカルルールということで、いろいろ変えられるようですね。
 米金融、保険業界「我々がもっと上手く運用してあげよう」、米政府「その通りだよ、だって我々は同盟国じゃないか。中国、北朝鮮の件は、ちゃんとしてあげるから。」ということでしょう。
<太田>
 典拠付けよう!
<slcKxVGa0>(「たった一人の反乱」より)
 <Bdgqm8Ya0クン(コラム#5749)、>2ch でも経団連の会長の評判は良くないが、営利法人側の人間としては当然の反応ではないかな?
 今回の一件で、営利法人側にとってはマイナスにしかなってないし、経団連が尖閣を所有しているわけでもなければ、所有していたとしても、売り上げに多大な貢献をしているわけでもない。
 営利法人側としては、どうでもいい石っころの為に、大きな損失が出たという認識でしかないのでは?
<太田>
 本日、紹介すべき記事はありませんでした。
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–映画音楽で読み解く20世紀–
一、始めに
 振り返ってみれば、私に音楽との再会を促してくれたのも、映画により関心を向けさせてくれたのも、太田コラムの読者とのご縁でした。
 前にも書いたことがあると思いますが、スタンフォード大学で、音楽の授業を取った時、教授がピアノを弾きながら、クラシック音楽について解説してくれたことを覚えています。
 これに倣い、今回は、音楽と映画を結び付け、同じような感じで、映画音楽を通じて20世紀を読み解いてみたいと思います。
 以下は、基本的に「国」ごとの構成になっており、ユーチューブのURLの右側にドレミ表示・・私の心覚えです・・が付いている曲は、私が2012年9月29日のオフ会での「講演」の際に、ピアノでその一部を弾くことにしたものです。
二、映画音楽で読み解く20世紀
1 プロローグ
 (1)満州の丘に立ちて(On the Manchurian Hills)(1906年)
 まず、この曲から始めましょう。
 これは映画音楽ではありませんが、1905年の奉天会戦(Battle of Mukden)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%89%E5%A4%A9%E4%BC%9A%E6%88%A6 
での敗北がロシア人にどれほど大きな衝撃と屈辱を与えたかが分かる曲であるところ、日露戦争の結果が、共産主義やファシズムの興隆ないし植民地解放/欧米の相対的衰退の契機になり、いわば20世紀史を規定することとなったことから、この曲を冒頭で取り上げることにした次第です。
 満州の丘に立ちて」は、1906年、日露戦争に軍楽隊員として従軍したイリヤ・アレクセエヴィッチ・シャトロフ( Ilya Alekseevich Shatrov。1879~1952年)によって作曲された吹奏楽であり、日本軍との戦いで死んだ戦友を偲んで作られた曲とされています。

 マンドリンによる演奏もどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=8VjaD2tbr0A&feature=related
 さて、この曲には後から歌詞が付けられていきますが、最初の歌詞(Stepan Petrov作詞)を英訳から仮邦訳してみました。
 
 我々の周りは静かだ。丘はもやに包まれている。
 突然、月が雲の間から姿を現す。
 たくさんの墓が彼らの静けさを保っている。
 たくさんの十字架が白く光っている–英雄たちは眠りについている。
 過去のたくさんの影が周りを回る。
 たくさんの戦闘の犠牲者を思い出しながら。
 愛しい母さんが涙を流している。
 若い妻がすすり泣いている。
 まるでみんなが一人の人間になったように泣いている。
 運命を呪い、宿命を呪い。
 我々の周りは静かだ。風が霧を吹き払った。
 戦士達は満州の丘々で眠っている。
 でも彼らには、ロシア人達の泣く声が聞こえない。
 モロコシのサラサラという音があなた方を眠りへと誘うように。
 安らかにお眠り、ロシアの地の英雄達よ。
 祖国の愛しい子供達よ。
 愛しい母さんが涙を流している。
 若い妻がすすり泣いている。
 まるでみんなが一人の人間になったように泣いている。
 運命を呪い、宿命を呪い
 君達はロシアのために斃れ、祖国のために亡くなった。
 我々を信じて欲しい。我々は君達の無念を晴らしてやる(Believe us, we shall avenge you)←
 そして<君達の>血なまぐさい目覚めを祝うのだ。(And celebrate a bloody wake!)←
http://en.wikipedia.org/wiki/On_the_Hills_of_Manchuria
 「←」が付いている個所に注目してください。
 何ともはや露骨な歌詞ですねえ。
 ロシア干渉戦争(シベリア出兵)において日本が大きな役割を果たしたことで、ロシア人の対日復讐心は一層高揚します。
 その後の「1926年発表の、アレクセイ・イワノヴィッチ・マシストフ(Алексей Иванович Машистов) の歌詞が、よく聴かれる。ロシア革命後の混乱のさなかのシベリア出兵による日本軍との戦闘で亡くなった兵士をイメージに置いたものとされて」います。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%80%E5%B7%9E%E3%81%AE%E4%B8%98%E3%81%AB%E7%AB%8B%E3%81%A1%E3%81%A6
 日本語詞:笹谷榮一郎
1 静かに霧は流れ
  雲の彼方に 月は輝きぬ
  白く光る十字架
  安らかに勇士は 丘に眠りぬ
  面影わすれじ 永久(とわ)に
  勝利の誓い はたさん ←
  やがて平和は来たりぬ
  我等が上に(繰り返す)
2 静かに霧は流れ
  雲の彼方に 月は輝きぬ
  白く光る十字架
  安らかに勇士は 丘に眠りぬ
  なつかし母 若き妻 嘆き悲しむ
  勇士を偲び惜しむ 全ロシア
  静かに霧は流れ
  雲の彼方に 月は輝きぬ
http://duarbo.air-nifty.com/songs/2008/06/post_ecca.html
 この歌詞は、最初のものの焼き直しであると言えそうです。
 ところが、その後、この曲は、思いがけない歴史を辿ることになるのです。
 Manchurian(Mandschurian) Beat The Sounds(フィンランド。1963年) エレキバンド曲に。歌詞はついていない。

 こんな風↑に編曲されたこの曲は、米国等、世界中で流行ります。
 編曲されたこの曲に、日本では歌詞が付けられるのですが、何と、日本に対する怨恨歌が日本では恋愛歌に化けてしまうのです。
 日本人ってノーテンキで面白いですね。
 さすらいのギター ザ・ピーナッツ(←小山ルミ)(1971年)
http://www.youtube.com/watch?v=3n9DM2RxiE4&feature=fvwrel
 あなたに全てを奪われた私
 めぐり逢うのを知ってったような運命にひかれ
 あなたに全てを奪われた私
 唇噛んで両目を閉じて言葉さえ忘れ
 あなたの思いのまま変わってゆくの私
 自分でも解からないのこれが愛なのかしら
 怖いけど幸せなのよ
 あなたの為に生まれてきたと神様が教えてくれた
 あなたに全てを奪われた私
 心の隙間を涙で埋めて微笑みを浮かべ
 いけない女の子ね逢うまでの私
 今更に恥ずかしいのこれが愛なのかしら
 返してと決して言わないわ
 あなたの為に生まれてきたと神様が教えてくれた
 (2)クワイ河マーチ(The River Kwai March)
 表記の曲をお聴きください。ミッチ・ミラー楽団と合唱団によるものがこれです。↓
http://www.youtube.com/watch?v=TaY3qzl9kdQ ソ
 クワイ河マーチは、マルコム・アーノルド(Malcolm Arnold)が、『ボギー大佐(Colonel Bogey)』にカウンター・マーチを加え、を映画『戦場にかける橋(The Bridge on The River Kwai)』(1957年)のテーマ音楽として編作曲した行進曲です。
http://en.wikipedia.org/wiki/The_River_Kwai_March
 ちなみに、原曲の『ボギー大佐』(ボギーたいさ、Colonel Bogey )は、1914年に作曲された行進曲であり、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%82%AE%E3%83%BC%E5%A4%A7%E4%BD%90

この曲を作曲したケネス・ジョゼフ・アルフォード(Kenneth Joseph Alford、本名:フレデリック・ジョゼフ・リケッツ(Fredrick Joseph Ricketts。1881~1945年)は、英国の軍楽隊の作曲家です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%BC%E3%83%95%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%89
 というわけで、ようやく映画音楽の話になりました。
 この曲が辿った歴史も傑作です。
 まず、第二次世界大戦(1939年9月~)が始まる直前の8月に、ナチスの指導者達をからかうために、ブリティッシュカウンシル職員のトビー・オブライエン(Toby O’Brien)が、この曲に、以下のような歌詞を付けた、という説が流布しています。
Goring has only got one ball
Hitler’s [are] so very small
Himmler’s so very similar
And Goebbels has no balls at all
[ゲーリングのキンタマは1つだけ
ヒトラーのはすごく小さい
ヒムラーのもほとんど同じ
そしてゲッベルスはタマが無い]
 そのほかにも、以下のようなバージョンもあります。
Hitler: he had but one left ball,
Mussolini: he had none at all,
Stalin: he was three-ballin’,
And that’s the dictator’s rise and fall!
http://en.wikipedia.org/wiki/Hitler_Has_Only_Got_One_Ball
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%9E ([]内)
 このような因縁のある曲を、英国人のデヴィッド・リーン監督は、先の大戦中の日本軍による英軍捕虜「虐待」を描いた映画『戦場にかける橋』のテーマ曲にあえて選んだ、ということです。
 イギリス流の底意地の悪さ、と言って悪ければ、強烈な皮肉を感じますねえ。
 なお、「『戦場にかける橋』・・・は、1957年公開の英・米合作映画。・・・製作会社はコロムビア映画で、監督はデヴィッド・リーン。・・・アカデミー賞作品賞受賞作品。題名の「戦場にかける橋」とは、タイ王国のクウェー川に架かるクウェー川鉄橋を指す。・・・第二次世界大戦の真っ只中である1943年のタイとビルマの国境付近にある捕虜収容所を舞台に、日本軍の捕虜となったイギリス軍兵士らと、彼らを強制的に泰緬鉄道建設に動員しようとする日本人大佐との対立と交流を通じ極限状態における人間の尊厳と名誉、戦争の惨さを表現した戦争映画」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%A6%E5%A0%B4%E3%81%AB%E3%81%8B%E3%81%91%E3%82%8B%E6%A9%8B
であることをご存じ方が多いと思います。
 ところが、その後、この曲は、日本で、下掲のようなとんでもなくさわやかな歌詞がつけられてNHKのみんなの歌で放送されることになります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%9E 前掲
 日本人ってまことにもってノーテンキで面白いですね。
 口笛ふいて 西六郷少年合唱団

 作詩=中原光夫(1963年)・・完全には聞き取れませんでした。どなたか「完成」してください。↓
さあみんな行こう
手をつなぐ仲間
野を越えて山越えて響け口笛
いざ進め丘をどこまでも進め 
雲流れそな晴れて心はずむよ
さあみんな行こう
肩寄せる仲間??風に声そよぐ若い歌声
いざ胸をそらすこの若い力??汗流せ
楽しこの日よ
 そして、「現在では若年層を中心に無意味な替え歌の歌詞が広まっており、「サル・ゴリラ・チンパンジー」など霊長類の動物名を列挙されることが多い」のです。(下掲参照)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%9E 前掲
 もはや、苦笑するほかありません。
さる ごりら ちんぱんじー
さる ごりら ちんぱんじー
さる ごりら さる 
ごりら さる だごり らだー
(以下上記4行を繰り返す)
http://love.mania.daa.jp/?eid=989639
2 ロシア
 次に、ワルツ2 ショスタコーヴィッチ作曲(『第1梯団(Pervyy eshelon=The First Echelon)』(1955年)より)
http://www.youtube.com/watch?v=ZYhZVqODYsI ミ
をどうぞ。
 『第1梯団』ですが、「この映画は、コムソモールによる処女地の開発だ。…そして、この映画の中でコムソモール員達はショスタコーヴィッチのワルツに合わせて踊る」というわけです。
http://www.youtube.com/watch?v=tKlS2Ez2UqY (←当該画面だけの動画がアクセス不可になってしまったので、仕方なく映画全体を掲げた。5:02~5:98)
http://updateslive.blogspot.jp/2011/06/shostakovici-waltz-2-kalatozov-first.html
 この映画のテーマであるシベリアの開発が失敗に終わった・・ロシア崩壊後のシベリアの人口の減少はとりわけ著しい・・ことは、ロシアにおける共産主義(すなわち赤露)の実験がいかに壮大な無駄であったかを象徴しています。
 また、この傑出した名曲は、あくまでも19世紀欧州的なワルツ以上でも以下でもないのであって、この曲には、本来マルクス主義が持っていたところの理想主義的な要素やロシアが目指してしかるべきであるユーラシアニズムの要素など皆無です。
 ショスタコーヴィッチ自身を含め、ひたすらソ連の崩壊を待ち望んでいた、当時のソ連の過半の人々の心情がこの曲に込められている、とみてよいのではないでしょうか。
 この曲が、退廃的な映画である、キューブリック監督の『アイズ ワイド シャット(Eyes Wide Shut)』(1999年)のオープニング・テーマとして使われた
http://en.wikipedia.org/wiki/Eyes_Wide_Shut
http://www.youtube.com/watch?v=RsDBgsCsZf0
ことは不思議ではない、と言えそうです。
 (参考 これも傑出した名曲であるところの、同じくショスタコーヴィッチによるリリック・ワルツ(Lyric Waltz)もどうぞ。 
 映し出される静止画のスライドショーはこの曲を使った大韓航空の広告動画からとられたものです。この広告、傑作だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=AzI95AK6RSs レ↓ファファラ↓ファミ ラ )
3 米国
 SUNRISE SUNSET ジェリー・ボック 作曲(『屋根の上のバイオリン弾き(Fiddler on the Roof)』(米国。1964年)より)

 Anatevka 同上(同上より)

 これらの曲↑が登場する『屋根の上のバイオリン弾き』は、米国を象徴する映画(ミュージカル)です。
 というのも、それは、ロシアにおけるユダヤ人迫害を描いたものであるところ、米国人は、その建国神話において、ユダヤ人が抱く選民思想や宗教的難民としての歴史を共有しており、それがこの映画の生まれた背景としてあるからです。
 しかも、この映画が制作された頃は冷戦の真っ最中であり、敵はロシアだったわけですから、この点でも映画と現実は交錯していました。
 (参考:「純正」ユダヤがいかなるものかを、味わってください。↓
 ハバナギラ(Hava Nagila=Let us rejoic) ユダヤ民謡

 曲それ自体は必ずしも純正ユダヤ音楽とも言えませんが、現在の歌詞は、1918年に、英国によるパレスティナ占領とバルフォア宣言を祝してAbraham Zevi (Zvi) Idelsohn によって作詞されたという説が有力です。
http://en.wikipedia.org/wiki/Hava_Nagila )
 ひまわり ヘンリー・マンシーニ(伊系米国人)作曲(『ひまわり(Sunflower)』より)(イタリア。1970年)↓もどうぞ。

 これはイタリアで制作された反戦映画ですが、マンシーニは、ベトナム戦争(1960~75年)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%A0%E6%88%A6%E4%BA%89
反対運動酣(たけなわ)であった当時の米国に在って曲想を練ったと想像されます。
 私が繰り返し指摘しているように、ベトナム戦争は、日本帝国を瓦解させたために生じたところの戦争の一つです。
 (参考:スペイン・・愛のロマンス(Romance) ナルシソ・イエペス作曲(『禁じられた遊び(Jeux interdits)』(フランス(1952年)より)
http://www.youtube.com/watch?v=EWxg4tE-QbM ミ
もついでにいかが。
 戦前に内戦を経験したスペインのギタリスト/作曲家たるイエペスが、WWIIにおける悲劇を描いたフランス映画のテーマ音楽を作曲したものですよ。 )


4 英国
 テリーのテーマ チャップリン作曲 (『ライムライト(Limelight)』(米国。1952年)より)

 戦前・戦中にかけて「反赤露で自由民主主義の日本帝国」を軍国主義国として叩き潰した米国は、戦中・戦後にかけて(「反ファシズムで自由民主主義の大英帝国」を植民地主義国として日本と「協力」しつつ崩壊させたのみならず)、戦後には「反ファシストで自由民主主義者の英国人チャップリン」を、親赤露だとして、この映画制作直後に米国から追放しました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3 (但し、最後のくだりの事実関係のみ)
 米国ってそんな国なのです。
 とまれ、古代ギリシャ人、ユダヤ人、と並ぶ天才民族であるイギリス人の中の天才俳優チャップリンの異能ぶりを遺憾なく物語っているのがこの曲です。
 (参考:Titine–Je cherche apres Titine(1917年) レオ・ダニデルフ作曲(チャップリンの『モダンタイムス』(米国。1936年)で使用) これについては、つい最近まで、チャップリン自身の作曲だと勘違いしていました。

 そう言えば、この曲を聞くと決まって連想するのがこの曲です。
 似てるでしょう。↓
 Volevo un gatto nero”(黒いネコがほしかった)(日本では「黒ネコのタンゴ」) フランチェスコ・パガーノ(イタリア人)作曲(1969年)
http://www.youtube.com/watch?v=EzmxHQp3MEA )
5 ドイツ
 夜のタンゴ オットー・ボルグマン作曲(『夜のタンゴ(Tango Notturno)』(1937年)より) 

 これ↑は、ナチス時代のドイツが生み出した、唯一の名映画音楽です。
 戦後のドイツからも私の琴線に触れる映画音楽等は生まれていません。
 ナチス時代以降のドイツ文化はかつてのそれの抜け殻である、という感を深くします。
 (この映画↓の筋等は分かりませんでした。
http://en.wikipedia.org/wiki/Tango_notturno
 ご存じの方はご教示ください。)
6 フランス
 I will wait for you ミシェル・ルグラン作曲(『シェルブールの雨傘(Les Parapluies de Cherbourg)』(1964年)より)

 この映画↑は、アルジェリア戦争(1954年11月1日~62年)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%82%A2%E6%88%A6%E4%BA%89
がもたらした悲劇を描いた恋愛映画です。
 ちなみに、アルジェリア戦争は、英米が日本を追い込んで始まった太平洋戦争において、日本の東南アジア席巻が引き金となって戦後大英帝国が瓦解したこと、そして日本の敗戦によって第一次インドシナ戦争(1946~54年8月1日)が起こってフランスがベトミンに敗北したこと
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E6%AC%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%B7%E3%83%8A%E6%88%A6%E4%BA%89
、に触発されて起こった戦争である、とみることができます。
 (参考:The Windmills of Your Mind(風のささやき) 同じくミシェル・ルグラン作曲(『The Thomas Crown Affair(華麗なる賭け)』(米国。1968年)より)
http://www.youtube.com/watch?v=XXGSllDMtZA&feature=fvwrel ミミファファミミララミミドドシラシ
 この曲↑の映画での用いられ方は下掲の通りであり、原曲の抒情性がぶちこわされています。上掲の久石譲による編曲と比べてみてください。

 この映画、実業家が銀行強盗でもある、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%AF%E9%BA%97%E3%81%AA%E3%82%8B%E8%B3%AD%E3%81%91
という米国の野蛮性(すぐ後のイタリアの項参照)を誇張的に表象したような内容ですが、テーマ音楽とのミスマッチが面白いですね。)
 
7 イタリア
 愛のテーマ/Speak Softly Love/Brucia la terra ニーノ・ロータ作曲(『ゴッドファーザー(The Godfather)シリーズ』(米国。1972年、1974年、1990年)より)


 私がどうしてこの曲↑をイタリアの範疇に入れたのかですが、原作(1969年)・脚本がイタリア系米国人のマリオ・プゾ
http://en.wikipedia.org/wiki/Mario_Puzo
で、監督がやはりイタリア系米国人のコッポラ
http://en.wikipedia.org/wiki/Francis_Ford_Coppola
で、準主役が同じくイタリア系米国人のアルパチーノ・・この映画の第2部と第3部では主役・・
http://en.wikipedia.org/wiki/Al_Pacino
すからねえ。
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Godfather ※
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Godfather_Part_II
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Godfather_Part_III
 ところで、『ゴッドファーザー』シリーズのテーマは一体何なのでしょうか。
 「「・・・ゴッドファーザーの影響(The “Godfather Effect)には、・・・広範な哲学的次元があった。プゾが、見事に提示したのは、米国的な夢の狂気、栄光、そして失敗についてのまさに入念な議論なのだ・・・。この小説の始めの方で、○○が「我々は米国を信じている」と宣言する。この小説は、次いで、マフィアと大企業が同じ硬貨の表裏であることを描写する。どちらも腐敗しており、部分的にしか本当のことを言わず、自分達のやりたいことをやってのける。この洞察は、遠慮会釈なく、<あの息子の方の>マイケル・コルレオーネによって喝破される。彼は、イタリア系米国人は「ロックフェラー一族のような慈善家達から学ばなければならない。まずみんなから盗み、それから貧者に与えるってことを・・」と。」(※)
 プゾの原作が、私がスタンフォード・ビジネス・スクールに学んだ時、その一つの授業・・私自身はとっていない・・の指定図書とされていたので、本を購入したことを覚えています。
 私は、かねてから、米国はアングロサクソン文明と欧州文明のキメラだと申し上げてきたわけですが、それは極端に単純化して言えば、前者のコモンセンスと後者の野蛮性のキメラなのであり、欧州文明の野蛮性を一身に体現しているのが、個人ではドイツ人・・正確にはオーストリア人・・のヒットラーだとすれば、社会ではイタリア、とりわけその南部のマフィアが跋扈する社会です。
 『ゴッドファーザー』は、従って、イタリア・・『ゴッドファーザー』3部作中、イタリアでの場面が何度かある・・、とともに、米国の野蛮性という暗部を赤裸々に描いた作品なのです。
8 EU
 La Playa(浜辺)(1964年) ジョー・ヴァン・ウェッター(Jo Van Wetter。ベルギー人)作曲(『夜霧の忍び逢い(The Red Lanterns)』(ギリシャ。1968年)で使用)
http://www.youtube.com/watch?v=GSYACFEweUI&feature=related シ 
 この曲↑ですが、作曲者が名前からしてオランダ系ベルギー人で、彼は、ベルギーのバンド「ロス・マヤス」・・スペイン風の名称ですね・・のリーダー、この曲の最も有名な歌詞はフランス語のもの・・ただし、そのタイトルだけは『La Playa』とスペイン語です・・
http://duarbo.air-nifty.com/songs/2008/07/post_2895.html
で、ギリシャの重たい恋愛映画
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Red_Lanterns
のテーマ音楽に用いられたわけですから、まさにEUの現在を先取りしているかのような映画音楽であり、映画であると言えるでしょう。
 「EU・・・の主要機関の多くが首都ブリュッセルに置かれているため、ブリュッセルはEUの首都とも言われて」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC
いますが、EUができたために地域主義が高まり、同国はオランダ語圏とフランス語圏に分裂する可能性が高まっていますし、また、ギリシャのEU加盟は1981年、ユーロ導入は2001年
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%A3
であるところ、ギリシャはユーロ圏の落第生であることはご承知の通りです。
 ちなみに、この映画は、アテネの売春婦達を描いたものであり、事実上の主人公は、ルーマニア・・2007年EU加盟(ユーロ未導入)・・
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%82%A2
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%AD%E5%9C%8F
から流れ着き、売春婦になった女性です。
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Red_Lanterns 
 「近代的な」仕事の乏しいギリシャ、そんなギリシャより更にうさんくさいルーマニア、なんてところも、EUの現在を先取りしていると思いませんか?
 ところで、『La Playa』は、フランス人のクロード・チアリ(Claude Ciari。1944年~)のギター演奏版(1964年)で最初にレコード化され、フランス等で大ヒットしましたが、そのチアリが日本に定住し、帰化した
http://www.answers.com/topic/claude-ciari
ことは、奇遇と言わずして何でしょうか。
9 欧米(West)
 ラーラのテーマ(『ドクトル・ジバゴ』より)

 Trio Los Panchosがスペイン語の歌詞を付けて唄ってる! 0:44~

 映画『ドクトル・ジバゴ』は、1957年に出版された、ソ連の作家ボリス・パステルナークの小説が原作ですが、この小説に対して、「ソ連の共産党は「(『ドクトル・ジバゴ』は)革命が人類の進歩と幸福に必ずしも寄与しないことを証明しようとした無謀な試みである」と非難した」経緯があります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%90%E3%82%B4
 この、アカデミー賞で5部門を受賞した映画↑は、冷戦時代の1965年に、英国のデヴィッド・リーン監督(前出)による米・伊合作の長編大作映画であって、映画音楽は、フランス人のモーリス・ジャールが担当した、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%90%E3%82%B4_(1965%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%98%A0%E7%94%BB)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB
という具合に英米伊仏がからんでおり、この映画は、やや大げさに言えば、反ソ的意図を秘めつつ、欧米の主要諸国が力を結集して制作された欧米(West)映画なのです。
 たまたまにせよ、この中にドイツが入っていないのは、ドイツの文化的凋落を示すものだと言えそうですが、日本が入っていないのは、当時の日本について、その文化水準に対する評価がまだ低かった、また、冷戦の担い手であると目されていなかった、更には、(この点は今でも変わっていないと思いますが、)そもそも欧米の一員にはカウントしてもらえなかったからである、という理解もできそうです。
10 日本
 長崎の鐘 古関裕而作曲・サトウ・ハチロー作詞(1949年)(『長崎の鐘』(日本。1950年)で使用)
http://www.youtube.com/watch?v=uWkeZwhReJ4&feature=related ミラドミードシラソ#-ラシーララミレファミレシー
 この曲↑(ないし映画)は、「単に長崎だけではなく、戦災を受けた全ての受難者に対する鎮魂歌」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E5%B4%8E%E3%81%AE%E9%90%98
です。
  しかし、2:23~の歌詞・・
 「こころの罪を うちあけて
  更け行く夜の 月すみぬ
  貧しき家の 柱にも
  気高く白き マリア様
  なぐさめ はげまし 長崎の
  あゝ 長崎の鐘が鳴る」
・・に反発を示すむきもあります。
http://nipponism.net/wordpress/?p=3462 
 確かに、これは占領軍史観ないし吉田ドクトリン史観の浸透を物語る歌詞である、と言えないこともありません。
 この曲の作詞をしたサトウ・ハチロー(1903~73年)は次のような人物です。
 「第二次世界大戦が激しくなる中でも妻子を千葉県に疎開させ、自身は東京に残って仕事を続けた。・・・軍歌「台湾沖の凱歌」<(古関裕而作曲)>

や戦時歌謡「敵の炎」<(古賀政男作曲)>

などの作品もある。・・・広島市への原子爆弾投下によって弟の節を失った。・・・2万にもおよぶ詩のうち3千が母の関する詩である反面、私生活は放蕩、奇行が多かった(<異母妹の>佐藤愛子の長編小説『血脈』に詳しい。なお、『血脈』によると、ハチローは小学生時代から不良少年で、実母に対しても愛情らしきものは示したことはなく、作品に表現されている「母親への想い」はフィクションだという。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%88%E3%82%A6%E3%83%8F%E3%83%81%E3%83%AD%E3%83%BC 
 つまり、サトウは、戦時中には、戦争遂行に作詞家としての立場で献身した人物だったわけです。
 もとより、当時の日本人の大部分はそうでした。
 上記歌詞の「罪」とは、サトウがそんな自分自身を含む当時の日本人を断罪したものである、と受け止めてよさそうですね。
 私は、サトウは、世相を忠実に反映する・・反映させようとする・・カメレオンのような人物だったのではないか、と想像するのです。
 この想像が正しいとすると、興味深いのは、同じくサトウが作詞して戦争直後に大ヒットした次の曲です。
 りんごの唄 万城目正作曲(日本の戦後映画の第1号『そよかぜ』(1945年)で使用)
http://www.youtube.com/watch?v=OFXIXF_RYyw ミミレ#ミーラソ#ファ# ミ
 この曲↑の歌詞ですが、「サトウハチローがこの詞を作ったのは戦時中であったが、「戦時下に軟弱すぎる」という理由で検閲不許可とされ、戦争終了後に日の目を見た。可憐な少女の思いを赤いリンゴに託して歌う歌詞が、戦後の焼け跡の風景や戦時の重圧からの解放感とうまく合っていたのと、敗戦によって憔悴しきった国民の心を癒される楽曲と評価され、空前の大ヒットとなった」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B4%E3%81%AE%E5%94%84
とされています。
 この曲をユーチューブにアップした「右」チックな人物は、「林檎は日の丸、日の丸は日本 子供の頃から変な歌詞の唄だなと思っていた」という感想を記していますが、これが戦時中につくられた歌詞だとすれば、林檎が日の丸であったとしても、あながち不思議ではありません。
 また、この歌詞が明るい内容であるのは、戦後の日本人の戦争からの解放感を反映しているのではなく、戦中の日本が明るかった・・そして大部分の日本人が日本(林檎)に自己同一化して、楽しく戦争遂行に献身していた・・という事実を反映している、と考えざるをえないのです。
 ついでにですが、「「リンゴの唄」吹き込みの際、作曲者の万城目正は度々ダメを出し、「もっと明るく歌うように」と指示した。しかし、この注文は当時の並木には酷で、並木は戦争で父親と次兄、3月10日の東京大空襲で母を亡くしていたため、とてもそんな気分にはなれなかったのである。その事を聞いた万城目は、「君一人が不幸じゃないんだよ」と諭して並木を励まし、あの心躍らせるような明るい歌声が生まれたという」(ウィキペディア上掲)が物語っているように、戦争直後の日本が「戦時の重圧からの解放感」に満ちていた、というのも、ウソに近いと思った方がよろしいのではないでしょうか。
 長々とサトウ・ハチローを論じてきましたが、要するに、私が言いたいのは、日本人は、日支戦争/太平洋戦争当時の自分達・・今や正確には自分達のご先祖様・・の姿を直視するのを避けたまま現在に至っている、とということです。
 さて、日本では爆発的に流行しても、これらの曲は、世界に何のインパクトも与えませんでした。
 武満徹は、現代音楽の作曲家として、世界で認められたけれど、映画音楽作品としては下掲くらいで、この映画がさほどあたらなかったのは残念です。
 ワルツ(『他人の顔』より)(コラム#4263)
http://www.youtube.com/watch?v=zwSGGPrTdMU
 世界にインパクトを与えた日本の映画音楽作曲者としては、まず坂本龍一(Ryuichi Sakamoto) をあげなければなりますまい。
 Merry Christmas,Mr Lawrence(戦場のメリークリスマス)(同名の映画より)(コラム#3532)
http://www.youtube.com/watch?v=NkWjsT_SJNI&feature=related
 坂本自身によるピアノ演奏。
http://www.youtube.com/watch?v=WZQYg0vjLxE
 村治佳織によるギター演奏です。坂本もピアノの共演をしています。

 このほか、下掲の3つも有名です。
 The Last Emperor(同名の映画より)

 嵐が丘(The Wuthering Heights)(同名の映画より)(コラム#3532)

 リトル・ブッダ(Little Buddha)(同名の映画より)(コラム#3532)
http://www.youtube.com/watch?v=YsBjA6CO1jU&feature=related
 しかし、日本発で何と言っても圧倒的に世界の人気を博しているのは、(たまたま、次回の「一人題名のない音楽会」で私による紹介が完結するところの、)久石譲による、一連の映画音楽でしょう。
 もちろん、私自身も大好きです。
 ここでは、スペースの都合から、下掲の1曲だけを取り上げましょう。
 (私は、同じくワルツであるところの、『太陽照常升起(太陽はまた昇る=The Sun Also Rise)』及び『讓子彈飛(Let the Bullets Fly=さらば復讐の狼たちよ)』のテーマ(コラム#5695)

の後半部(の更に後半部)の方がもっと好きなのだが、残念ながら、前半部はイマイチであり、また、全体の構成に難がある。それに何と言っても、映画そのものが鳴かず飛ばずだった。)
 人生のメリーゴーランド 久石譲作曲(『ハウルの動く城』(2004年)より)
http://www.youtube.com/watch?v=ZG6bKvtlkg0&feature=related レレ#レレ#レレ#
 (この曲自体は21世紀の作品ですが、久石の音楽活動、とりわけスタジオジブリとのコラボは20世紀から始まっていたわけであり、ドンマイドンマイ。)
 ご存知、クミコによる歌唱。(コラム#5639)
http://www.youtube.com/watch?v=Y49tZviXe0k&feature=related
 ダンス版! 日本人カップルだがまことに微笑ましい。

 しかし、スゴイのはロシア人カップルだってこの曲で踊ってること。振付も踊りも上のより数段上。

 ピアノ演奏だってもちろんあるよ。
http://www.youtube.com/watch?v=ovcGDsnomWY&feature=related
 今度はギター。韓国人の青年かな?

 ピアノ+ヴァイオリン。一人二役とはスゴイ。支那系米国人の青年かなあ。

 楽譜をピアノ画面に落としたものまであるよ。(3:26~からのスローテンポのバージョンまで付いている。)投稿にも出て来るように、手が3本なきゃ到底弾けないが・・。

 ちなみに、この映画の原作者のダイアナ・ウィン・ジョーンズ(Diana Wynne Jones。1934~2011年)は、オックスフォード卒の英国のファンタジー作家であり、「子どものときから古典に親しみ、英雄がほとんどが男性で、女性がいつも受身であることに歯がゆさを覚えた・・・ジブリファン」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%BA
で無神論者
http://en.wikipedia.org/wiki/Diana_Wynne_Jones
、という人物です。
 (なお、この英語版↑には、上記「」内の記述はない。)
 以下に出てくる映画評ですが、鋭いと思いますね。
 私がこの映画を見た時の感想がまさにそうであり、筋がさっぱり分からなかった・・私(わたくし)的な表現を用いれば連歌的だなあと思った・・記憶があります。
 「雑誌『タイム』は「ストーリーを進める意志が感じられない」と酷評し<たが、>・・・第61回ヴェネツィア国際映画祭においてオゼッラ賞、翌年にはニューヨーク映画批評家協会最優秀アニメーション賞を受賞。さらにアニメーションのアカデミー賞と言われる第33回アニー賞の長編映画部門作品賞にノミネート(33rd Annual Annie Award Nominees and Winners)されたことに続き、『千と千尋の神隠し』以来となる第78回アカデミー賞にもノミネートされ・・・2008年の英エンパイア誌では史上最高の映画500本の中に選出された。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%81%AE%E5%8B%95%E3%81%8F%E5%9F%8E
 「スタジオジブリの長編映画で宮崎駿監督のものでは『魔女の宅急便』・・・原作は角野栄子・・・以来15年ぶりとなる宮崎自身の原作ではない作品・・・2004年と2005年の<日本の>興行成績第1位を記録・・・」(同上、及び↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%94%E5%A5%B3%E3%81%AE%E5%AE%85%E6%80%A5%E4%BE%BF_(%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%AA%E3%82%B8%E3%83%96%E3%83%AA%E4%BD%9C%E5%93%81) )
 でも、少なくとも日本ではこの映画、子供達を中心に大当たりでした。
 人生そのものに起承転結があるわけじゃないのですから、映画だって起承転結が明確じゃなくたっていいのです。
 美しい自然の中で、女性がのびやかにたくましく活躍し、連歌的に筋が流れていく、といった意味でこの映画は、従ってこの映画音楽もまた、実に日本的であり・・このように、映画にぴったりの曲の作曲ができるところが久石の偉大なところなのですが・・、それが故にこそ普遍性がある、と言えるでしょう。
 21世紀は、人間主義の日本文明の時代になって欲しいと思いますし、そのためにも、日本人はもっともっと世界に発信し、かつ貢献して行って欲しいと思うのです。
10 エピローグ 
 お気づきだと思いますが、この中に、インドはもとより、支那も登場しません。
 果たして、21世紀には登場できるのでしょうか。
 あなたはどう思いますか?
三、終わりに 
 アンコール?
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太田述正コラム#5752(2012.9.29)
<2012.9.29オフ会次第>
→非公開